忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

中国放出中止あらためて要求日米韓首脳会議に反発

2023年08月24日 | 随感随筆



日本からすれば毛沢東は素晴らしい指導者だった。1958年には「東風が西風を圧倒する」と言い出して「人民公社」をつくり集団農場化させ、同時に工業化を急速に進める。世に言う「大躍進」だが、それで急激に経済が破綻。わずか2~3年ほどで4000万人の自国民を餓死させた。

さすがに権力を失いかけるが、そこであの「文化大革命」を行い、その後10年以上、中国の発展を停滞させる。日本もアメリカも何もしないのに勝手に滅びそうになっていた。そして飢えのために人民が省外に出るのも命がけの時代。国外に出る中国人もほとんどいなかった。つまり、中国人を減らして外に出さない。毛沢東は良い指導者だった。

比して、日本にとって迷惑極まりないのは胡錦涛政権だった。

第一次安倍政権時、安倍総理の「電撃訪中」からひと月、CCTV(中国中央電視台)が制作した歴史ドキュメンタリー「大国崛起」が放映された。全12編の大作だが、これのDVDは完売、同名の著作もベストセラーになった。中身は歴史を振り返って「大国」は如何にして大国になったか、みたいなもので、出てくる国はスペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、ロシア、そしてアメリカであった。

これらの国名をして、日本人なら違和感はないが中国人民は少々戸惑った。何故かというと、共産党指導部が言う大国に「日本」が含まれている。日本といえば「小日本」だ。小日本とはこすからい猿真似でちっぽけな経済をなし、野蛮で粗野で粗暴、文化文明なども我が中国から与えてやらねば未開の小国のままだったはずのしょうもない国だ。そんなことは丹羽宇一郎でも知っている。だから丹羽は「将来は大中華圏の時代が到来します。日本は中国の属国として生きていけばいいのです」とか、愛いことを言っている。

そんな小日本が、いまから「偉大な中国を見習います」と言うならまだしも、欧米列強に名を連ねて「大国扱い」されているが、これはいったいどういうことか。それに世界の中心にあるはずの「大中華帝国」がない、と訝しんだが、胡錦涛体制のブレーンやエリート層は、中国の将来のために「事実」を人民にみせた。

番組は明治維新から高度成長期をやる。所得倍増計画など一世紀を客観的にやる。岩倉使節団や大久保利通の殖産興業政策、渋沢栄一の儒教道徳に基づく経営理念を紹介し、世界を席巻する「二ホン」のブランドもやった。もちろん、それだけではなく「軍国主義日本」もやらなければ煩いのもいる。だからアリバイ的に「日清戦争から第二次世界大戦で日本は軍国主義でした」とさらりと流して、さて、それでは日本が成功した秘訣とは何なのか、と続けた。世にも珍しい中国共産党の「日本アゲ」番組だった。NHKにはやれない。

比較的マトモな胡錦涛体制の所為で、日本の政治家も経済界の大物も「なんだ、中国は真面になったじゃないか」として大量の「親中派」が誕生したが、世界では「日本は素晴らしい」と言ってはいけない国がいくつかあって、それは先ず中国と朝鮮半島、それから日本になる。日本では以前、日本は良い国だった、と論文を書いただけで更迭された航空幕僚長がいたが、胡錦涛は北京で開催された「共産党大会」で前国家主席だというのに、習近平から退席させられていた。逆に「日本は酷い国だった」が褒められる国、それが中国朝鮮日本だ。この意味はもうみんなが知ることになった。


しかし、その後の習近平は毛沢東を彷彿とさせるほど素晴らしい指導者だ。その証拠に68年ぶりに「共同富裕」とか言い出した。スターリンも草葉の陰で喜んでいることだろう。「高所得者の収入を調整し、中所得者層を拡大し、低所得者の収入を増加させる」と聞いて中国の富裕層、既に世界に出ているレベルのサッカー選手やピアニスト、俳優やIT長者などは青ざめ、ささやかな抵抗として「胸に翡翠をつけて」祈ったりしている。翡翠の「翡」は「習に非ず」。「翠」は「習が卒(たお)れる」とのことだ。健気なものだ。

もちろん、そんなことで悪い奴が倒れるならバイデンが大統領になっていないが、習近平は15万発も金門島に砲弾を撃ち込んでも台湾が取れなかった毛沢東の「遺訓」を果たそうとしている。それもやるかやらないか、ではなく「いつやるか」というレベルにある。

際限なく軍備を増強し、無礼で強圧的な言動で外交をし、アフリカなどにも露骨な成金外交を行い、周辺国を武力で侵略して、世界中から「人類の敵」と見做される。昨年の8月4日には「ペロシ訪台」への報復措置として、日本のEEZ内に弾道ミサイルを5発も着弾させて外相会談を中止にしたりした。中国共産党とは危険で話が通じない、と世界中に改めて自己紹介した。実に中国共産党らしい、良い指導者だ。

そのお陰もあってピュー・リサーチ・センターが2021年に「中国の好感度」を調査したら、先進17か国で75%の国民が「中国嫌い」となった。日本では88%が「好ましくない」だった。天安門事件もないのに過去最悪とのことだ。

それでも留学生や旅行者、ビジネスに犯罪目的など、日本にもどんどん中国人がやってくる。テレビで「インバウンド」やら「爆買い」とかで盛り上げるが、それでも日本全体からすれば微々たるものだとバレてもいる。玉川徹の朝のプロパガンダ放送、2022年の視聴率は個人5.4%、世帯9.7%だった。ちなみに民放ではトップの視聴率だ。朝の忙しい時間帯、時計代わりにつけたテレビで阿呆がなんか喋っているだけ。あとは私のように「ネタ探し」感覚で小馬鹿にしてみているのが数%、極左勢力の監視でみている人が数%、真面目に「勉強になるわぁ」とみているおばはんが何人か、つまり、誰も見ていないに等しい。

「爆買い」も風邪薬や化粧品、ブランドバッグだけではなく、日本の土地や水源も爆買いしていると知れてきて、これも日本人というか、移民推奨のホリエモン以外は誰も喜んでいない。上海電力も有名になったが、日本のインフラを牛耳られて喜ぶのは中国人か、心の底から中国人が好きな売国変態くらいで、あとはオノレの金儲けだけのため、あるいはなにか「逆らえない理由」がある人だけになる。中国共産党もそれを自覚するから、ぱっと見「中国企業」とわからないように工夫もしてある。

大手マスコミが「次の総理になってほしい政治家」として、すらり、親中派を並べるもネット世論では総ツッコミも入る。ネット世論はネットの中だけでもなく、ちゃんと巷の世間話の中、アレは酷いな、ンなわけあるかい、と共有されている。多くの店舗でも、明らかに日本語を解しない、特有のファッションセンスの東洋人の集団が、まるで叫び声に近い声量で騒ぎながら来店すれば、小声で「気をつけて」と声を掛け合い、可能な限りの警戒態勢を取るようになった。トラブル抑制のためだ。

中国共産党100周年記念大会。習近平は演説の中で「中国人民はいかなる外部勢力がわれわれをいじめ、抑圧し、隷属させることも決して許さない。そのような妄想を抱く者はだれであれ、必ずや14億余の中国人民が血と肉で築いた鋼の長城に頭をぶつけ、血を流すだろう」と言った。100年経ってもまだ嫌われていると自覚しているのは結構だが、世界第二位の経済大国で国際社会に大きな影響力を持つとされる「大国」の国家主席が「血を流すだろう」は素晴らしい。そんな野蛮なこと、「ロシアの日」の演説の中、戦争中のプーチンでも言わない。

繰り返すが、その点、習近平は素晴らしい。中国共産党は100年経っても「人類の敵」だという自己紹介を欠かさない。日本にも同じ「共産党」を名乗る公安監視対象の団体があるが、これまた、ちゃんと支持されていない。その委員長も22年と言わず、この先100年でも頑張ってもらいたい。





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