忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

映画評426~巨乳ドラゴン・温泉ゾンビVSストリッパー5

2010年08月05日 | 過去記事
真夜中、部屋で本を読んでいると妻の叫び声がした。泣いている。

妻は自分の寝床(夫婦の寝室ともいう。スティッチの間と呼ばれている。スティッチがたくさんいる。特殊な訓練を受けていない人は発狂する。ウリ発狂)で寝ずに、私の部屋のどこかのスペースで寝ることが多い、と言うか、毎日である。まあ、正確に言うとリビングのソファの隙間とか、台所の下のところとか、どこでも寝てしまうのであるが、それでもフラフラ寝ぼけて起きてきたと思ったら、なぜだか私の部屋に来て寝るのである。

だから、どうしても微妙な場所(カウンターの椅子の隙間など)で犬と一緒に寝ることになる。私の部屋のクーラーは「私専用」でもあるから、私以外を冷やさない角度でガンガン効いているのだが、妻が犬と一緒に犬のように寝る部分は、冷気が伝わりにくいことになる。しかも、私が本を読んだりするスペースにはカーテンまでして「冷気を逃がさない」から、私からすれば、そんなところで寝ていられないほど暑いのであるが、寒がりの妻はそこが「ちょうどいいー!」とのことだった。しかし、である。

「おとしゃ~~ん!!×100(泣)」

と「おとしゃん連呼&本気泣き」である。犬も心配そうにウロウロし始めた。

この状態の妻は久しぶりだ。以前、私がまだ「いすゞエルフの2.5tトラック」に乗って、例えどんなに急いでも、いつも周囲に気を配る、優しい男の姿だね、笑顔と余裕が嬉しいね、ふぁいたー♪とか歌っていたとき以来である。助手席に乗っていた妻が機嫌よくトラックを降りると、その瞬間、消えたことがあった。私は開いたままの助手席のドアを閉めながら、「いくら不思議キャラとはいえ、まさか、消えるとはな・・」と周囲を確認したのであるが、本当に妻が消えてしまったから、マジでちょっと探したほどだ。結果、助手席の真下に妻がすっぽり入る大きさの溝があり、そこにまさしくすっぽり入っただけだったのだが、そのあまりのすっぽりぶりに妻本人はもちろん、私ですら「これは、そのためにあるんぢゃ・・?」と思ったほどのすっぽりだった。

ま、ともかく、これほどの本気泣きは、その時以来ではないか。しかも、なにやら「痛い痛い~~!」と言っている。足だった。

何気に足を触ると「うぎゃ!」となった。これはタダゴトではない。まさか、寝返りで骨折・・・?などという恐ろしい憶測も浮かんだが、ちょっと真面目に観察すると、どうやらカップヌードルの肉(コロ・チャー)ほどの量しかない妻の足の筋肉が痙攣しているようだった。明らかに「熱疲労による痙攣」である。運動しているわけでもなく、寝ているだけで痙攣する妻の筋肉の不思議もさることながら、これをなんとかしないと、私は本の続きが読めないのである。また、足を触ると熱をもっているのがわかった。私は応急処置として、妻の足(右足)を冷やすためパジャマの裾を振った。風を送ったのである。そして落ち着いたら、少し距離を開けて扇風機を向けた。

近距離からの扇風機は妻の呼吸を止めてしまうから、1メートル以上離してから「弱」で風を送る。同時に、妻のために少しだけ残しておいた「炭酸飲料の炭酸抜き」を与えて水分を補給させる。しばらくすると、妻は危機を脱したようで「昭和の香りたっぷりのニューミュージック風」の鼻歌を歌いながら寝てしまった。朝になって確認すると、やはり「温泉地帯」という安全地帯のようなグループのコンサートに行った夢を見ていたとのことだった。曲名は「カカオ」とのことだ。結構、会場は盛り上がっていたらしい。誰か助けてくれ。


妻は昼間、惣菜屋さんの厨房で働いている。冷房は効いているが、やはり、火を使うからとても暑いそうだ。私も鉄板焼きの店で店長をしていからよくわかるのだが、夏場は毎日、とりあえず死んだものだ。大量に汗をかくと水分も失われるが、そのとき、一緒に電解質も失われる。これで痛みを伴う痙攣が起こる。また、私のように水をがぶがぶ飲める人、すなわち「ガブガブくん」ならば問題は少ないが、これがなかなか水分補給が難しいという人もいる。やはり、女性に多いだろうと思う。

だから、効率的に水分を摂ることが肝要だ。アイスとか喰ってる場合ではないのである。そういえばこの3日ほど、妻はスイカを喰っていなかった。おそらく原因はこれだ。夏になれば我が妻はスイカしか喰わなくなるが、これはこれで妻が「夏を生き残る知恵」だったのかもしれない。水もがぶがぶ飲めないし、メシもほとんど喰えなくなる妻は、先祖代々「スイカで生命を維持してきた」のではなかろうか。

また、妻は「きつねうどん」を注文するが、中に当然入っている「きつね」が嫌いである。「すぽんじ」だと言い切る。では、なぜ、きつねうどんを注文するのかと問えば、これがなんと「出汁を吸わせて吸うため」だと言うのである。事実、妻はきつねうどんの中に、その「すぽんじ」を浸して出汁(鰹)を吸わせ、今度はそれを自分が吸う。「甘くておいしくなるョ」というのだが、それを十数回繰り返し、しかも、その使用済みの「すぽんじ」を私の「肉うどん」に入れてくるのである。妻曰く「あげる」とのことだが、名古屋にいる妻の母親はいったい、どういう育て方をしたのか。家の電話の子機を持ち歩き、「ええと、携帯の番号、言うわな」としながら、思いっきり名古屋の市外局番から教えてくれる妻の母は、ネタなのかボケたのかわからぬアレなのである。

私はやはり、頑張って金を稼いでスイカを買わねばならない。ワンシーズンで畑一個分は喰う妻のためにも、ひと玉1800円のスイカを何玉も買わねばならないのである。そんな決意をしながら、私は今日も「すぽんじ」を喰うのだ。

「あ、ホンマに甘い!」

「な♪」

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