忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

TBS選挙特番で爆問・太田光のエラソー態度に批判の声が殺到。比例当選れいわ山本太郎もイラ…

2021年11月02日 | 忘憂之物






我が家には残念ながらテレビというものがないから、仕方なく31日の選挙速報などはネットで見ていた。自民党の幹事長が小選挙区で負けた、辻元清美も大阪で負けた、比例もなかった、小沢一郎も小選挙区では負けた、などを酒の肴にして健全に楽しんでいた。

大阪14区の速報に「やはりダメか、公明党は本当にどうにかしないとな」とか言いながら溜息ついたのも、これを読んでくれているあなたと同じだ。我が愛する大阪の地が中国共産党自治区になる前になんとかしてほしいところだ。

また、ややこしかった東京8区でも石原伸晃が負けた。こちらも比例もダメだったとか。「立共」の新人、吉田晴美にやられたとか。ま、お疲れさまでした、ということだが、私が生まれる2年前の1969年。半世紀前の東京8区には「松岡克由」という候補が出ていた。

33歳で無所属。19548票を得たが落選とある。誰かと思えば若き日の立川談志のことだった。しかしながら、その2年後の1971年には全国区最下位(50位)で当選する。直後のインタビューにて「真打は最後に出る」と談志節だった。私はまだ当時ゼロ歳だが、たぶん「風」は吹いていたはずだ。だから佐藤栄作は直談判して自民党に入党させている。

立川談志は言うまでもなく落語家として天才。破天荒な人柄も芸事を志す人だけではなく、多くの国民から愛されていたと思う。私も好きだ。落語も動画で見るし関連著作も読むが、それとこれとは話が別で「政治家」はどうかと思う。談志は骨の髄まで芸人だ。佐藤栄作は「人事の佐藤」の異名を持つが、往々にして、こういうときがいちばん危ない。

佐藤栄作はジョンソン会談を前に「沖縄の人は日本語を話すのか、英語を話すのか」と側近に確認せねばならなかった。学べば学ぶほど、というアレだ。要するに「人事」以外は危ういわけだが、その得意の人事も「人気」やら「空気」とやらに流されたのか、危ない人を危ないまま自民党内に入れた。小さいスケールの例えで恐縮だが、太田光が選挙特番のMCをするようなものだ。とてもみてられない。

立川談志は1975年、三木内閣にて沖縄開発政務次官に就任。就任会見で選挙資金について問われ「子供の面倒は親分が見るのが当然」と発言した。いまなら即、ツイッターのトレンド入りして大炎上だが、その後も沖縄海洋博、視察後の会見では二日酔いだった。沖縄タイムスやら琉球新報から「酒と公務、どっちが大切だと思ってるのか」と詰問されると「酒に決まってンだろ」。

当然ながら大問題になって、その謝罪と弁明を求められた参院決算委員会を「寄席があるから」として欠席。それを咎められたらすぐに辞任。即時離党。豪快にして爽快。世に蔓延る欺瞞や偽善を嘲笑う気骨。無茶苦茶ながらも憧れると告白しておく。

憧れる、といえばビートたけしも凄い。残念ながら我が家にテレビはないが、過日、何かの番組で「つまみ枝豆」が久しぶりに出て、ドッキリの企画ながら放送事故ギリギリの凄みをみせた、と虫の知らせで知った。

その中で仕掛け役がビートたけしを「呼び捨て」にしたとき、枝豆は「オレの前では“さん”をつけろ」と怒った。自分のことはどうでもいいと。これは素直に格好よろしいと思う。

以前、大阪にいた頃、地元の若手芸人と酒を飲むこともあったが、彼ら彼女らの前では私も「しんすけさん」とか、ちゃんと言った。私は芸人ではないが、されど、恩人と呼んで差し支えない存在を呼び捨てにされるのは、相手が素人でも気に入らないはずだし、大阪人はちゃんと芸人をリスペクトもしているから、そういう野暮は発生しない。

そんなビートたけしもさすがの破天荒で知られるが、現在の上皇上皇后陛下御成婚60年への祝辞を読んだときもさすがだった。もちろん、ちゃんと最初にマイクに頭をぶつけ、祝辞を間違えて読みかけてから、更に逆さまに読みかけるというボケを入れた。中身も笑える毒を少し散りばめてから、最後は「改めて、平成という時代に感謝いたします。また、ずっと国民に寄り添っていただける天皇、皇后両陛下のいらっしゃる日本という国に生を受けたことを幸せに思います。ありがとうございました」と〆ると万雷の拍手だった。


こんな両巨頭と比すのも無礼なことだが、この太田光がいま、世間から「失礼にもほどがある」と非難囂々なのはなぜなのか、と言えば、それは先ず、面白くないからだと自明だ。本職が芸人ならこれは致命的だろう。ラサールや村本と同じ臭いがする。

無礼は致し方ないときがあるが愚弄は違う。

池上彰よりもぺらぺらな認識で、投票した有権者も支持者も丸ごと小馬鹿にするのは「愚弄」という。まったく不要だ。プロのタレント、ましてや全国放送の選挙特番MCとして「衆院選挙」という国民の関心ごとに対する鋭い質問、容赦ない問題提起にこそ無礼や失礼があっても嫌悪感はない。よくぞ聞いてくれた、よくぞ言ってくれた、と喝采を浴びる可能性もあるが、中途半端な知識に基づいた、明らかなる不勉強を晒しながら、すかすかの屁理屈で喧嘩売るだけの子供っぽさは「プロの仕事」とは到底、程遠い茶番だった。


今回の衆院選。蓋を開ければ立憲も共産も議席を減らした。マスコミの希望的観測による予想も手伝って不気味ではあったが、そこはやっぱり日本国民だった。大阪は心配だが、それでも「悪夢の再来」は防げた。自民も予想していたよりマシだった。絶対安定多数も確保した。「勝利」と言って差し支えない。

つまり、負けたのは「立共」とマスコミだと言われている。そしてオマケで太田光が致命傷を負う大敗となった。政治家の後ろには支持者はもちろん、実際に投票した有権者がいる。与野党問わず、だ。太田は全方位的に嫌悪感を持たれたと思ったほうがいい。「もうみたくない」となったテレビタレントは比例復活した政治家よりも扱いが難儀だと思う。




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