もう、そうなれば、あだ名が「店長」と言っても過言ではない。遊技業に入り「副主任」のときでも、家に帰れば「店長」だった。もはや、「店長」とは私の別称であるといってもいい。まさに「ミスター店長・店長の中の店長の更に中の店長」とは私のことであろう。思えば、妻と知り合ったときも、最初は私のことを「店長」と呼んでいたのだ。もう交際しているというのに「店長」と呼ばれることは嫌だったが、店では「店長」で、プライベートでは仮に「ガチコメちゃん」などと呼ばれるのも、世に蔓延る阿呆不倫カップルのようで情けないしな。
まあ、ともかく昔は「番長」と呼ばれることこそなかったが、「番長」ときて「店長」」とくれば、もうあとは「社長」しかあるまい。ともすれば、この日記のタイトルも「社長のよもやま話」とせねばなるまい。そして「会長のよもやま話」と進化する。・・でも、なんかしっくりこないから、また考えるとするが・・・。
いや、意外と「船長」という可能性はないか?いや、まて、もしかすると「市長」とか「町長」なんかもありうべし??意表をついたところで「艦長」なんかカッコいいではないか。「艦長のよもやま話」・・・。おお!!重そう!!幕僚長とかな!!署長とか??
まあ結論からいえば、
なんでもいい
私が書きたかったのはそんなことではない。
そうそう。
「どういう思考経路をたどってその結論になったのかシリーズ」である。
食品流通スーパーで働いていた頃、同期の社員で嘘ばかり言う奴がいた。今から思えば、明らかに病気なのだが、当時の私は不思議だったのだ。
そいつは仮に「嘘山」という名前にしよう。
「嘘山」はいつもこんなことを言いふらしていた。
「俺の実家は数千億の資産を持つ大富豪」
「俺はイギリスでデビューした国際的ロックスター」
「童貞消失は幼稚園の時、先生とお昼寝の時間」
「全国のヤクザのトップに君臨している。心斎橋では100人くらいから頭を下げられて恥ずかしかったので、その親分を殺した」
「働いているのは、父親から庶民の生活を学ぶように言われたから」
「俺の持っているギターは50億円」
「ミックジャガーは来日したとき、必ず家に来る」
「マイケルジャクソンと釣りをしたことがある。今でも釣り仲間」
「ハリウッドからオファがあったが断った。作品はゴッドファーザーの新作」
「自家用の飛行機を3機持つ」
「俺の家の力だけでソ連(当時)と戦争して勝てる」
「彼女が1000人いる」
「ラスベガスで1兆円負けたことがある」
「富士山を所有していた時期がある」
まだまだあるが・・こんなもんで十分かと思う。
狂言。
ここまでくると「ネタ」か「狂言」であろう。そして恐ろしいことに、この「嘘山」」は、これらのヨタ話を疑うとキレるのである。口から泡を飛ばして、真実であると言い放つ。あまりの熱心さに、ついぞうっかり信じてしまう人の良い者もいた。
だから私を含めた何人かは、「嘘山」が何か言いだすと「またはじまった・・・」という具合に相手にもしなかった。また、この類の病人は、こちらのリアクションを期待していないのか、ちゃんと聞く姿勢でなくとも問題がないようだ。適当な相槌をうっているだけで満足げにしている。
「嘘山」は結構なイケ面で背も高く、なんというかソフトマッチョな体躯であったし、それなりに女性からももてるのだが、例外なく、何日か後には見事に振られていた。外見と話のでかさに興味をもって近づいたものの、あまりのホラ話に呆れてしまうのであろう。
しかし、私などはある意味、「嘘山」の嘘話を楽しみにしていた感も否めなかったのだ。底意地の悪い私は、「嘘山」が嘘話を始めると、大げさなリアクションをとり、その嘘話を煽ってエスカレートさせるのであった。自己矛盾の泥沼にはめてもがき苦しむ姿が見たくて仕方がなかった。明らかにわざと信じているふりをする私に「嘘山」は好意的で、昼飯なんかも奢ってくれた(笑)。寂しい奴だったのだ。
そして私は「嘘山」の恐ろしさを理解していなかったのだった・・・。
レジの女の子に言われた。
「あんたって、20人相手に喧嘩して勝ったことあるんやて?」
「人殺して埋めたことあるねんてな?」
「小泉今日子と付き合ってたことあるって??」
『・・・・いや・・・心の底から、心当たりがないが・・・?』
「えぇぇぇ??でも嘘山が言ってたで??」
『阿呆な。そんなもん、嘘山が言うてるんやったら、嘘に決まってるやないか。』
ちょっと不気味だった。さっそく「嘘山」を捕まえる。
『おいっ!ワレこらっ!!俺のことで嘘ばっかり言うなっ!!おらっ!!』
「嘘山」は至って冷静に、且つ、ぬけぬけと言う。
「知らんで?俺、そんなこと言うてないで?」
むぅぅぅうううぅぅぅううう・・・・そうだった。こいつは「嘘山」だった・・・。
専務が来る。
「おう!!おはようっ!!なんや?ガチコメくん!!キミ、今度、大阪城ホールでコンサートするらしいやないか!!チケットちょうだいやっ!!ははははは!!!」
『は??ホール???大阪城公園の広場ですよ?チケットなんかも・・・!!』
「嘘山」・・・。こんなところにまで飛び火している。このままでは私が阿呆みたいではないか。みんな面白がってるしな・・・。
『嘘山ぁぁぁ!!!!おまえ嘘つくなやぁぁぁ!!!!』
「知らんって!!!俺ちゃうって!!」
『オノレっ!!こらっ!!1万人の手下ども呼んで来いっ!!こらっ!!どした!!』
掴みかかって止められる。そして怒られる。
「ガチコメくん、大人げないがな。嘘山の冗談なんか本気にしてどないするん?」
むぅぅぅうううぅぅぅ!!!完全にハマっている。最悪である。
自分の「嘘話」を理解してくれる私に喜んでもらおうとでもしたのか、「嘘山」はありとあらゆる「ガチコメ伝説」を振りまく。それも、若干の事実と巧みにブレンドするという技を身につけているようだった。もしくは「第3者的」なスタンスからつく「嘘話」というのは、それなりのリアリティをもってしまうのであろう。実しやかに広がっている。
人が人を褒めるつもりでつく嘘は信じられやすい。そして、所詮は他人事であり、その時の楽しい話題であれば、さほど誰も気にしないのである。内容も他愛もないことだし、誰かが傷つくような悪口でもない。そして、世論は醜聞な話が大好きである。
私は考えた末、ひとつの結論に至った。
そう。
必殺!気にしない!!
である。
「ガチコメ!!あんたって暴走族5つも潰したらしいな!!ははははは!!!」
『あ?はいはい。そうそう。その通り。俺の武勇伝聞く?』
「ガチコメって、ああ見えても家に野良犬とか野良猫100匹くらい飼ってるってなぁ?」
『ん?そうそう。100匹の名前聞く??あーちゃんといーちゃんと・・うーちゃんと・・』
すぐに鎮火した。私がムキにならないので面白くないのだろう。
まあ、罪のない嘘話なら笑って済ませるほうが簡単だな。無論、我が国が特亜の連中に言われているような「嘘話」は、全力で否定せねばならないがな。
韓国なんかも「飛行機はウリナラ起源ニダっ!」って言っているぶんにはほっとけばよいが、我が国を貶めるような嘘は正さねばならん。この扱い方を間違えると洒落にならん。
大きくとらえれば「嘘」をつかない人間はいないと言える。少なくとも私はつく。腹が立っても冷静であるように「嘘」を演じるし、少々疲れていても元気なふりをする「嘘」をつく。まあ、妻にもウソはつきまくりだがな。細かいことからもう、それは数え上げればもう・・・。のほほ。
阿呆な「嘘」をつく奴は寂しいのだろう。「かまってちゃん」なのだ。
そして「サービス精神」が旺盛な奴だ。
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070602/jkn070602009.htm
<「仕事に行きたくなかった」 石川の警部補刺傷事件は“狂言”>
まあ、人騒がせではある。県警が120人も出して捜査していたらしいからな(笑)。こんな奴が警部補とは、もうそれ自体が「嘘みたいな話」ではないか。笑うしかあるまい。
<警部補は「今春担当が変わり、仕事に対応できなかった。仕事に行きたくなかった」などと自供しているという。>
ウェーハッハハハハッハ!!
楽しい奴ぢゃないかっっ!!
なぜ故に「体調が悪い」という「嘘」をつかんのだ?
そんな大がかりな!!
ウェーハッハハハハッハ!!
阿呆だ。阿呆だ。阿呆が警部補。阿呆警部補だ。
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しばらくして私は「店長」になった。同期だった「嘘山」は当然ながら平社員のまま。
ある日、「嘘山」が大幅な遅刻をしてきた。私は相変わらず期待する。
なんというだろう?
「金縛りにあって・・」
いや、これじゃ普通だ。面白くない。
「駅でファンに囲まれてサイン攻めに・・・」
ま、まさかな・・・そうだったら叱らねばならんな・・・
「道路をふさいでいた巨大なサイをどけていたら・・・」
これくらいは言ってくれないとな・・・いや、意外に
「皆さんは騙されています。僕の時計の時間が正確な時間です。昨日、東の空からの怪光線によって地球の時間が狂わされています!!」
とかいうレベルまでくるかぁ??わくわくどきどき・・・。
「すいませぇ~~ん!!遅れましたぁ!!」
『なんでや?理由を言え!!理由を!!』
「はぁ・・・寝坊したんです・・すいませんでしたぁ・・・」
結論。
嘘吐きは空気が読めないという特徴がある。
ちなみに「嘘山」は「オヤジの仕事を手伝う」という理由で辞めた。
本当かどうかはどっちでもよかった。
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