年末年始、マスコミにネタを提供し続けたタクシー業界。「強盗対策」として新機能をもつ車両をマスコミに公開した。公開した瞬間、その車両は新機能ではないのだが。▼フロントガラス左に設置されているボードに「SOS」と出る。クラクションが鳴り響き、更には後部座席に向けて強力な光を放つ機能があるらしい。正直、運転手さんには同情する。▼写真では「首筋に凶器が触れている」わけだが、光で刺激することに危険はないのか。サングラスをかけている可能性はないのか。それでも、たしかに「金」は盗らずに逃げ出すかもしれない。しかし、運転手が無事かどうかは怪しいものだ。▼そもそも、この報道を見た犯人が阻止する可能性もあろう。マスコミ報道のお陰で知っているわけだから、「両手をあげろ」と言えばお仕舞である。外から見える「SOS」も、一連の事件は「人気のないところ」で発生していると周知であるから、まったく役に立つはずもない。▼先日、タクシーに乗る機会があったので運転手さんに問うてみた。「監視カメラ」についてだ。すると、「プライバシーの侵害」になるから、会社がお客のイメージを考慮して取り入れてくれないそうだ。「防犯板」も「お客さんとのコミュニケーションを妨害する」として、前向きではないそうだ。▼それを決定する社員は乗車業務がないのだろうか。自らの危険すら顧みず、そのタクシー会社に全てを捧げているのだろうか。もし、様々な防犯設備を整えることから「乗車料金が値上がりする」ことを懸念しての躊躇であれば、なんとも恐ろしい話だ。乗務員の生命と会社の経費を天秤にかけているわけだ。ましてや防犯をプライバシーと比べるなど愚の骨頂すぎる。▼そういえば「おたすけ自販機」の防犯カメラに反対する連中の動機も同じようなもんか。