忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

やっぱ冬でしょう

2011年04月23日 | 過去記事

「NIMBY(ニンビー)」という言葉がある。これは“Not In My BackYard”の頭文字で「うちの裏庭には来ないでほしい」という意味だ。これはヤクザの事務所やオウム真理教の施設、朝鮮総連や民主党事務所などではなく、原子力発電所をはじめとするゴミ処理場や火葬場、パチンコ屋やラブホテル、自衛隊基地や米軍基地など、およそ「社会に必要とされる施設」を利用するし恩恵も受けているけれど、それが我が家、我が町の近くに来るのはお断りだということだ。

しかし地球は丸いから、必ずどこかでつながっているらしく、追い出したり避けたりしても、何かあれば巻き込まれたりする。日本がどれほど嫌がっても、大昔から隣には朝鮮半島があるし、すぐ近くにロシアや支那があるのと同じだ。今回の福島第一原発事故についても、西日本は節電してればいいのかと思っていたら、やっぱり、それでは済まなくなってきた。管直人は以前から「一義的には東電だが、最終的には適切に行われるよう政府が責任を持たなければならない」と言っていたが、その「政府の責任」とやらは税金の投入、つまり、国民に負担させることを言うらしく、自分が辞めたり、総辞職したり、解散総選挙をしたりすることではない。

だから民主党に投票した人も、しなかった人も電気料金を上げられるか、増税を喰らうことになる。明日は統一地方選挙の後半戦だが、選挙なんて関係ない、政治なんて誰がやっても一緒、どんな人物か知らんが組合が入れろというから入れてきた、などとして、自分だけは大丈夫というのが勘違いだったのと似ている。世の中、なかなか「自分に関係ない」ことなどない。廻り回って必ず、何らかの形で影響してくる、ということだろう。

風が吹いたら桶屋が儲かる、ならその逆説も成り立つ。前代未聞のマグネチュード9以上、東日本の太平洋側を削り取ったほどの津波、真意はともかく、あのチェルノブイリと並ぶレベル7の原発事故だ。日本列島に住んでいて「何らかの影響」を受けないはずもない。

過去、この大和岩根を襲った数々の天災に人災、台風や地震、戦争などを乗り越えてきた日本が、今回も必ずや立ち直ることは言うまでもないが、それにしても今回の被害は大きく、広く、深いということも間違いない。しかし、この日本という国は、そう遠くない過去においてもアメリカに2発もの原子爆弾を投下され、無差別都市空爆で国土を焼かれ、数十万人の無辜の民が惨殺され、戦後にも2千人以上の民間人がアメリカ人に殺されても、なんともこの国は13年後に東京タワーを建て、19年後にはオリンピックを開催した国だ。そこらの先進国とは性根が違う、底力が違うというのも客観的事実である。





そもそも、だ。

民主党政権を振り返ってみよ。震災前から、あの悪夢の政権交代から、この政権がいったい「何をしてきたのか」を考えるに、よくぞまあ、この日本という国は凄い国だと、つくづく思い知らされる。この政権が何か「日本のためになることをした」という奇特な人がいれば、是非とも教えてほしいものだ。

国際常識の観点から言っても、だ。前総理は「日本は日本人だけのモノではない」と言った。今の総理は日本国国歌・君が代をして「もっと元気な歌に変えても良い」と言っている。これらの発言はすなわち、この人物らに国家観が無い、ということを示している。というか、もっと単純に「アメリカはアメリカ人だけのモノではない」という大統領を想像してみればいい。「私はどうも、あの“星条旗”という歌が気に入らないのだが」というアメリカ大統領は存在できるだろうか。

日本は出来るのである(笑)。「学べば学ぶほど米軍基地は抑止力だと思った」という方便を言った総理大臣も「自衛隊の最高司令官は総理大臣だったンですね」という総理大臣が辞めなくとも、とりあえず、今日も明日もこの国は存在する。なぜか?

その理由は東電と同じだ。そして、先の大戦など「日本の国難・危機」を思い出してもわかる。対した連合国の評価は一定して「下級兵士は勇敢で優秀で強かった。しかし、高級士官が無能だった」というもので、これはアメリカもイギリスも、ノモンハンでのソ連も言っている。つまり、日本は国も企業も末端が強い、という特徴がある。


以前、私がパラオ、ペリリュー島にある「旧日本海軍指令本部跡地」にて、米軍が投下した800キロ爆弾が建物を直撃、貫通してなお悠然と聳え立つ内部構造の強靭さに度肝を抜かれていると、現地ガイドの日本人女性はそれよりも「風呂トイレ完備が問題」だと皮肉っていたことがある。要するに「エライさんは優雅にお風呂に入って、末端兵士はあんな洞穴で戦わせていたンですね」という、投降を呼びかける米軍のリーフレットそのままの不満を口にしていた。「あなたたちは悪くない。軍部が悪いのでぇ~す」というアレだ。

私が「それは違う」と口を挟み、それでもなお、放り出さずに2ヶ月半も闘い抜いた祖先を誇るべき、圧倒的な戦力差をして、ウィリアム・リュパータス率いる4万9千の米軍相手に、いま、まさに観てきたような悲惨な状況ながら心を折らず、本土に住む我々の祖先を命懸けで護ろうとした先人を誇るべき、と言ったら黙ってしまった。

菅直人が歴代総理の中でも前代未聞の無能であり、この政権が極左暴力集団に牛耳られた反日政権であることに違いはない。しかし、それでも「現場で頑張る日本人」がいるからこそ、この国は何度でも不死鳥のように甦ってきた。それはすべからく、民の意識が高く、いざとなったら、その辺を歩いている兄ちゃんでも「日本人」として振舞えるDNAを持っているという事実だ。

この不逞な政権与党を嘆くあまり、日本人もエジプトやリビアのように暴動でも起こすべき、という過激な意見もある。しかし、それは起こらない。その理由は日本人が腹いっぱいだから、だけではあるまい。現実に被災地をみればそれはわかる。

この日本人の精神性の高さを脅威に感じた白人列強は、それを「狂信的」な「軍国主義」だとしてふれまわった。その名残が今の朝日新聞やらの反日機関紙であるが、そのような誤解は、例えば、大東亜戦争時における日本兵の玉砕、あるいは特攻隊の尊い自己犠牲の精神を理解する障害とも成り得た。

ベトナム戦争でも「アメリカ兵のベルトを掴むまで突撃を止めるな」と命令されていた。火力、兵数、装備、工業力、資金力などに劣る国はそうする他ないからだ。「日本軍は兵士に無謀な戦いを強いた」のは事実だ。過酷な条件ながらも戦ったことは事実である。しかし、それを「無謀」と呼ぶならば、いま、放射線の降り注ぐ中、復旧作業を行っている東電の社員ら、放射線が確認されている場所で遺体捜索をする自衛隊、警察なども「無謀」であり、それらは「やらない」ほうがよいのか。

トップが、政府が小出しにする怪しげな情報しかなくとも、多くの「末端の方々」は危険だと知りながらも任務として現地に入る。そして、その後ろには家族の姿がある。消防隊として初めて放水活動に従事した東京消防庁のハイパーレスキュー隊の隊長の「妻からのメール」なども報道されていた。隊長だけではなく、多くの隊員の妻らは<了解しました。信じて家を守ってます><しっかり責任を果たして来て下さい><信じて待ってます><日本の救世主になって下さい>と短い返信をしている。これが今も昔も変わらぬ「日本人」の姿であり、この国の底力なのである。

この景気低迷が言われる中、それでも「復興増税」に関するアンケートでは過半以上が「賛成」としてしまう国民性である。反日左翼がいくら「NIMBY」を叫んでみても、この国には浸透しない。キリスト教やハンバーガーと同じく、広く浅くしか伝わらない。

明日の選挙の結果もしれている。産経新聞が心配せずとも、ちゃんと「菅降ろし」は更に加速するし、与野党が混じった「救国内閣」ができるかもしれない。そして、それすら期待するには不安な政治不信は依然として消えていない。しかし、だ。

5年、10年してから東北に行ったら驚くはずだ。20年、30年過ぎたらまた、以前よりも元気な東北がそこにあるだろう。これは楽観視しているのではなく、あくまでも客観視である。さて、もうすぐ東北新幹線も全線が開通する。虹の諸君、そろそろスケジュール調整等、宜しく頼む。珍しいことを言えば、是非とも幹事は私に任せてもらいたい。行くならやっぱ冬だね。

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