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忘憂之物

顧問教諭の体罰翌日…高2男子キャプテンが自殺




顧問教諭の体罰翌日…高2男子キャプテンが自殺

< 大阪市教委は8日、市立桜宮(さくらのみや)高校(大阪市都島区)の2年男子生徒(17)が昨年12月23日、自宅で自殺し、その前日に所属するバスケットボール部で顧問の男性教諭(47)から頬を平手打ちされるなどの体罰を受けていたと発表した。

 男子生徒は同部キャプテン。生徒は遺書と、この顧問あての手紙を残しており、手紙には、顧問による体罰に触れ、「体罰がつらい」との趣旨の内容がつづられていた。市教委は体罰が自殺の主な要因とみて調べている。

 発表によると、男子生徒は同23日午前6時半頃、自室で制服のネクタイで首をつっているのが見つかり、病院で死亡が確認された。遺書には、家族あての感謝の言葉などが書かれていた。顧問あての手紙には、顧問の厳しい指導や体罰があったこと、キャプテンとしての責任に苦しんでいることなどが書かれていたという>






とあるアニメの主人公が「オヤジにもぶたれたことないのに!」と泣き叫び、その後の作戦行動を放棄、エースパイロットながら白い新型軍艦を飛び出し、そのまま逃走兵になるシーンは有名だ。殴った上官、なにやらコーヒーにスプーン2杯入れると香りと味が際立つような名前の登場人物が「だから、そんなに軟弱なんだ」みたいなことを言っていた。その通りだ、とみんな思った。

もちろん、私の世代はまだ、教師が殴ってくれた時代に育った。ビンタは挨拶。連発ビンタはハグみたいなもの。熱烈だ。顔面を拳で殴りつけるなどは日常。腹を蹴る、頭を蹴り飛ばす、ぶん投げるもお約束。棒っ切れで殴られる、殴られて傘が何本も折れたとしても、放課後の話題にもならない。普通の光景だったからだ。

2011年、全国の小中高校と特別支援学校において「体罰」で処分された教師は404名。文科省が2006年度に「いかなる場合も行ってはならない」と通知してからも、やはり、年間400名前後の教師が処分されている。文科省の言う「体罰」とは殴る蹴るはもちろん、正座させる、も含まれている。廊下に立たせるのもダメ。それも「特定の姿勢を長時間にわたって保持させるような肉体的苦痛」になる。つまり、遅刻しようが、宿題を忘れようが、教師に暴言を吐こうが、教師は口頭で注意指導し、それを正さねばならない。普通の教師に言いたい。もう「体罰」などは止めたほうがいい。

本気にならなくていい。どうせ自分の子じゃない。遅刻しても「次から気をつけなさい」だけ棒読み、それから何事もなかったかのように授業を続ければいい。宿題をしてこない生徒にも同じく、次から気をつけなさい、だけ言う。安モンの店のバイトの「いらっしゃいませ」と同じだ。言っているかどうか、だけが重要だ。勉強が阿呆なら、それをそのまま成績表に書けばいい。授業中、騒いでいる餓鬼がいても、一度だけ「職務」として「授業中は静かにしましょう」。あとは放っておけばいい。

寝ている餓鬼は眠いんだろう。そっとしておけばいい。また、他の子供が「先生、なんとかしてください」と訴えてきたら、ごめんなさい、じゃあ、もう一度だけ注意しますけど、何度も注意すると精神的に追い詰めるかもしれないから、キミはあの生徒が自殺したら責任とれるの?先生はイヤだけどね、と頭を掻けばいい。

タバコ吸っていようが、シンナーしていようが、生徒に小声で「一応、注意しておくね」とウインクでもしてから「おい、やめなさい」とだけ告げ、そんなの危ないから立ち去ればいい。生徒が帰宅していない?そうですか、しかし、私の業務は5時半までとされておりますので、と電話を切る。親切にするなら「警察に電話すればどうでしょう?」とアドバイス。間違ってはいない。叩かれる覚えもない。「それでも教師か」には教員免許を見せましょう。コレでも教師なんですよ、どうです?困ったもんでしょうと。

日教組の言う通りだ。そんな世間じゃ「教師も労働者」だ。金八先生は河原の土手で生徒を投げ飛ばして指導したが、アレはドラマの話。現実の社会でやれば「暴力教師、河原で生徒十数人相手に強制“乱取り”」とか見出しされてお仕舞いだ。そこまで付き合う必要はない。業務が終われば帰宅すればいい。知ったことではない。

今の子供は可哀そうだ。我が倅なども「教師に殴られたことがない」という。もちろん、それは倅が殴られるようなことをしていない、という理由もあるが、それでも連帯責任とか、とばっちりで殴られる経験が私世代では珍しくもなかった。倅の世代ではもう、教師は殴らないもの、という常識が蔓延っていた。だから「教師が生徒を殴った」という「犬が人を咬んだ」みたいなレベルがニュースになる。

市立桜宮高校の2年男子生徒が「体罰」を苦に自殺した。私は宮本輝の短編小説「復讐」を思い出した。「アホタンク」と呼ばれる柔道部顧問に虐待されていた男子高校生3人。そのひとりが中退してヤクザになり成功する。主人公は大学への進学を理由に、卒業まで虐め抜かれるが、ネタバレすれば「アホタンク」に体育用具室で犯されていた。ヤクザになった同級生は「社会的に抹殺する」として、なんちゃって女子高生を金で雇ってけしかける。「アホタンク」は柔道の指導力を買われて監督業で高給を食むが、その罠に引っ掛かり社会的に殺されてしまう、というストーリーだった。

つまり、私が言いたいことは「体罰」だけが原因ではない、ということだ。暴力行為は直接的な要因のひとつかもしれないが、単純に指導が厳しかったから、体罰が激しかったから、という短絡思考は危険だ。どんなモヤシであれ、たかが教師の暴言、暴力では自殺にまで追い込むのは難しい。集団で行う「虐め」とは性質も違う。それに世間は「暴力教師」の味方などしない。騒いでしまえば困るのは教師だ。

小説でも「復讐」の動機にこそなるも、自殺に至ってしまう原因とは現実離れし過ぎて使えない。また、そんな場合は必ず「その裏」になにかある。そして事実は小説よりもなんとか、現実のそれは原因がはっきりしている。あっさりいえば「免疫力の無さ」が真因だ。

いくら私の世代でも、さすがに社会に出てから「上司に殴られる」などあり得ない。部下を殴る、後輩を殴るもない。もっといえば「怒鳴られる」も少ない。だから社会人1年生は「知らない大人から怒鳴られる」とびっくりする。仕事で失敗しても、上司は事務的に「次から気を付けろよ」で済ませてくれると信じている。それで済ませないなどあり得ないと思っている。そこに「なにやってるんだ、このクソボケが」とか、まさに「親にも言われたことのない攻撃的な台詞」を浴びせられると、浴びせた側が腰を抜かすほど効果てきめんだったりする。

中学生時代、柔道部の素人丸出し、白帯が似合う私に一回戦で負けた前回優勝者の黒帯は衆目の中、顧問教師から往復ビンタの洗礼を受けて、大会終了までスクワットさせられていた。こんなことは運動部では当然だった。6つほど向こうの駅の中学にラグビーの試合に行った。練習試合だったがコテンパンに負けた帰り、その試合後のグラウンドで「キックダッシュ」でしごかれた。1年生で試合に出たのは私だけだったから、フルで試合に出た私も最後までやられた。生まれて初めて、食中りでもないのに嘔吐した。

薬缶の水は「魔法の水」と呼ばれ、私はそれを頭からひっかけられ、その水で口をゆすいでまた、走らされた。ようやく許してもらうと、惨めに負けたお前ら如きに近鉄電車はもったいない、ということで、今度は学校までランニング。いまならワイドショーが放っておかないが、これが中高生の運動部の普通だった。文句は言ったが自殺はしなかった。

いま、私がいる職場でも「心の病」で休職、それから辞めてしまう人がどれほどいるか。正直、私は驚いている。前職や前々職にも難儀なのはいたが、これほどまでに「当たり前」になっている現実に、今更ながら驚愕を禁じえない。社会に出れば、みんなが「森の仲間」のように、クマさんもウサギさんも仲良く、平和的に歌って過ごしているとでも思ったか。誰もが親切、未熟な己を責めることもなく、なんでも受け入れ、なんでも許してくれ、なんでも手伝ってくれると思ったか。「本人にしかわからないから」とはよく言ったモノだ。そらそうだ、そんなのどこまで行っても「本人の問題」だからだ。

ちゃんと世の中には不愉快な言動を躊躇わない者もいる。騙すのもいれば脅すのもいる。面と向かって「あんたは嫌い」と宣言するのもいる。年齢問わず、露骨に態度に出す未熟者もいる。そんなことで職場に来れない、閉じ籠ってしまうのは、それはいままでが「尊重され過ぎた」からである。ちゃんと周囲から「ぞんざいに」扱ってもらえなかったからだ。餓鬼などというのは、通りすがりに頭をごつんと挨拶代り、小突いても良いのである。大人から受ける理不尽に耐久性を持たせねばならないのである。理由は言うまでもない。これから出ていく社会というのは理不尽で不条理だからである。

消防士は火災でもないのに、訓練で火をつけて消火活動する。警察官も相手は犯人じゃないのに、訓練では他者を押さえ付けて逮捕する。海や山で救難作業をする者も、訓練で山に登るし海に潜る。軍隊は戦争でもないのに実弾を撃つ。命を救う訓練で命を落とす場合もある。それほどの危険を冒してまで行う訓練も厳然として存在する。

これらは「慣らす」という意味での模擬になる。つまり、学校という場所は社会の模擬的な訓練を行う場でもある。クラスに自分以外の生徒がいるのは、教師の数が足らないから、という理由では決してない。「集団で何かに取り組む訓練」とはチームワークの向上やら効率性を学ぶだけでもない。もっと大事なのは「思うようにならない」という体験をすることである。気の合わない連中と何をやるのか、何をやらないのか、を学ぶ場である。殴る教師もそう。口で言えば分かることを暴力で済ませる。これほど理不尽なこともないが、要すれば訓練とは理不尽なモノである。意図的に自分に負荷をかけるのが訓練であるなら、意図しない負荷も人生における訓練といえる。体罰教師はそれを買って出ている。

自殺したバスケ部のキャプテンには、唇を切りながらも「また、叩かれたよ、あの馬鹿、いつかバスケットゴールに吊るしてやる」と言えるだけの免疫力が欲しかったが、それよりも深刻な問題は「その裏」に何があるか、だ。辛辣な虐めかもしれない。慢性的な孤独感もあったと察する。責任感からなるストレスもあっただろうが、メディアのいう「体罰は問題」には気をつけたい。本当は「体罰如きに耐え切れない子供」を大量生産した戦後体制、売国システムに真因はある。

日本人の子供の免疫力が低下している。それは我が倅を観察するだけで十分わかる。著しく虚弱、脆弱になっていると実感する。ともかく「打たれ弱く、傷も治り難い」というガラス細工のような子供が目立つ。インフルエンザの季節だが、この予防接種は簡単に言うと、極微量のインフルエンザウィルスを体内に送り込み、これに抵抗力をつけ退治させることを言う。つまり、訓練だ。免疫力というのは一度倒した相手には絶対に負けない。

自殺するくらいなら、その体罰教師にバスケットボールをぶつけ、こんな部辞めてやる、おまえ教育委員会に訴えるからな、覚悟しとけよ、と捨て台詞で去ればよかった。「それができたら自殺なんかしない」はちょっとマテ。問題は「それくらいのこと」が出来ない子供が増えていることだ。問題を左に摩り替えてはならない。

大事なことは無菌室で育てることではなく、ちゃんと雑菌だらけの現実社会という模擬訓練を行うことだ。失敗もあれば恥をかくこともあり、どうしようもないことが山積する現実社会に対応できる「強い子」を育てるシステムだ。自衛隊を国防軍にするのと同じく、しっかりと現実に則した対応を考えねばならない。「平和的外交」とやらが通じないのが国際社会。世の中も同じく「話せばわかる」は稀有なことだと教えねばならない。

コメント一覧

久代千代太郎
>あきぼん殿

タカノはアレだけど、ガンちゃんは許してやってくれw


しかしまあ、いま思うと、タカノは気が狂ってましたね。原因不明の往復ビンタは数え切れず、私は裏門で「会っただけ」で殴られたこともありますが、やっぱり「態度が気に入らない」とかでしょうね。殴られても知らん顔とかw


>しゅがーちゃん

報道によれば、おかあさんが「また叩かれたんか」と問うてますね。母親も「容認」というか、知っていたから「孤独」だったんでしょうか。どうせ、何言っても仕方ないみたいに。


>のんちゃん

そうですよねー

私もよく「プロレスごっこ」で殴られました。「ごっこ」なのに私だけが叱られるという理不尽。

担任が「ジャーマンスープレックスはプロレスごっこの域を超えてる」と怒り狂ってました。コブラツイストは笑ってみて、ブレーンバスターやバックドロップは叱られる。私が学んだことです。
桜のん太郎
正に仰る通りです
小生が小学校4年の時に元号が平成に代わりましたが
昭和の末まで「体罰は教師の職権」でした

掃除の時間にチャンバラごっこでガラスを割った時なんぞ、一列に並ばせられて端から順に平手打ちです

今「どつきたい衝動に駆られる」側となっては「良くぞどついて頂いた」と思います

理不尽こそが社会教育の核である!!



Sugar
心が通じ合っていない間柄の体罰、しごきは、
効果が無いどころか逆効果ですね。

コーチの人を育てる能力が大幅に欠落していたのかも。

慰める人もいなかった・・・冷たい環境だったのかしら?

ご両親には感謝していたと遺書にあったそうですが
本当に親子の心がピッタリと、つながっていたら、
とてもじゃないけど、自殺できなかったかもしれませんね。

仰る様に孤独だったのだと思います。
あきぼん
このニュースは私も見ました。

私はクソみたいな教師としか出会ってません
勉強は氏の知ってる通り何も教えてもらってませんしw

氏の言うワクチンと言う事で言えば
ただの憂さ晴らしの体罰や自虐史観、
世の中の不条理だけはキッチリ教師に
教えて頂きましたw

このコーチは人を教えるプロを名乗るならば
死ぬまで追い込む前に先にまず
立ちあがる力、反発する力、
逃げ道を教えるべきだったし

生徒個々の人を見て追い込んでること
に気付くべきだったと思いました。

サラリーマン教師やただの暴力教師、日教組の様に

「人が人を教えると言う覚悟と責任」

が足りないと思いました。

不条理と言う名のワクチンを超え
ただの毒だと思います。
ガンちゃんやタカノとおんなじですw
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