職場の飲み会(多い・笑)。相変わらず、周囲はオバサンだらけになる。そこで「孫は可愛いでしょう?」と言われる。可愛いから可愛いと応える。すると、でしょう!と賛同してくるのは還暦女性、今年から嘱託職員となったオバサンだ。私が芋焼酎をロックで飲っていると、オバサンも「付き合う!」とのことで楽しく飲んでいた。
孫が二人いるという。私も同じだ。オバサンは「可愛くて仕方がない」と言う。私も同感だから、そうですね、と言う。でも、そこからちょっとずれ始める。
「だから、私は頑張らなきゃ、と思って、まだまだ働くわけよ」
私も孫に自転車を買ったり、玩具を買ったり、遊びに行ったりする。だから、まあ、これもわかる。私が生活保護ならこうはならない。少ない給料ながら、まあ、普通に働いて稼いだ金から買い与えてはいる。とはいえ、倅もまだ家にいる。今年の夏、ひと月だけだが上海に留学する(支那語留学)とかで、生まれて初めて「お金貸して下さい」ときた。費用は全部で20数万円とのことだが、倅はバイトで貯めた十万円と少ししか持っていない。だから足らずを貸して下さいというわけだ。毎月、ちゃんと返します、と。
私は迷わず「サラ金に行け」と応えたところ、妻の「まだ未成年!まだ未成年!許したって!あんた!」という甘ったるい母親の悪感情に押し負けた。勝手にしろと冷たく言い放ち、20歳になったら家から放り出す、という約束も覚えておけと言いながら「おとうさん特製・ソースエビ天丼(ガチコメ風)」を作ってやった。親馬鹿に過ぎるが、コレが孫なら話は別で、今度はどこに連れてってやろうかとニヤニヤする。たしかに可愛い。完敗だ。
しかし、である。この還暦オバサンは少し違う。子供、つまり、このオバサンの息子夫婦は同居しているという。しかも、夫婦はどちらも無職だ。オバサンは「あかんたれやねん」と笑う。そして「孫が苦労したら可哀そう」として、なんと、生活費の面倒を見ているとわかる。その孫の親である息子夫婦をも喰わせているわけだ。
その息子夫婦の旦那、つまり、オバサンの実子は私と変わらぬ年齢、正確に言うと「ひとつ上」だ。そしていま、このオバサンは「孫に玩具を買い与えて目を細める祖父」である私と同じ土俵で話している。わかるわぁ~♪と同じ境遇、同じ価値観を有しているという前提で芋焼酎まで飲んでいる。
冗談ではない。まったく違う。不惑を過ぎた息子が嫁と子供を養えない、という現実を看過して、腰も膝も曲がった老体に鞭打ち、今日も明日も「働かねばならない」というモチベーションは、本当のところ腐っている。本当に息子、あるいは息子夫婦の家庭を想うならば、そこは心を鬼にして放り出さねばならない。子供が二人もいる父親が、外に出て働くのはちょっと・・・と愚痴を吐きつつ、あっぱっぱーの嫁とふたりで遊び歩き、手のかかる孫の面倒を祖母であるオバサンが看ながら、わたしはまだまだ頑張らなきゃ、とするのは不健全だ。「頼られているのが嬉しい」というのはわかるが、ソレはもう異常だ。
私が唖然としていると、もうひとりのオバサンが来た。「新しい車を買った」とのことで、還暦オバサンに「パチンコ屋の清掃のバイト」を問うている。新車のローンが増えた、のだそうだ。還暦オバサンは相談に乗っている。そのうち、そういえば、ちよたろさんは元パチンコ屋さん、と思い出して私にも問うてきた。知り合いの業者はないのかと。
紹介しようと思えば、昔馴染みに連絡してなんとかなるが、しかし、私は「知らない」と言った。また、それよりも気になるのは新車だった。いつ来るのか?と聞いてみた。すると、もう既に乗り回している、と言う。そのもうひとりのオバサンは職場が同じだ。だから駐車場も同じ。でも、その車はどうみても新車には見えない。答えはすぐにわかった。
「息子が乗ってるやつ」
オバサンは息子自慢をする。最近も警察に捕まって叱られた、とやる。近所でも評判のやんちゃだと。仕事もしないと。「心優しい悪い仲間」(オバサン談)とつるんでいると。スキーに行ったり、海に行ったりして遊んでばかりだと。でも可愛くて仕方がないと言う。「おかあさん、あのね」と頼みに来る姿が愛しくてたまらないのだ、とやる。彼女に嫉妬してしまうのョ、と微笑む。私は思わず、息子さんは17歳ですか?と問うたら笑われた。オバサンは「そんな若い子供がおる年齢に見えるの?うふふ」と勘違いした。ニセモノのクレオパトラのようなメイクが不気味だった。私は数センチほど距離を開けて座りなおした。
息子の年齢は35歳。嫉妬してしまうのョ、という彼女は33歳。ふたりとも頭は金髪、今日もお母さんが「副業して」ローンを払おうかという新車に乗って遊んでいる。私は頭を抱えた。比喩ではなく、本当にその場で頭を抱え込んだ。
このオバサンも50代後半か。元気だとはいえ、本業とは別に働くとなれば体に毒だ。しかも理由がおかしい。本当なら息子が母親に「はい、新車だョ。母の日おめでとう」とプレゼントしてもおかしくない。いや、せめて親の世話になってはいけない年齢だろう。
ところで、だ。
2012年度予算の生活保護費予算は3兆7000億円。同年の税収見込みが42.3兆円だから約9%になる。全国最多は我らが大阪市で「18人に一人」の割合となる。異常な数字だ。
年金や最低賃金より生活保護の受給額が高い、というのはよく知られている。また、医療費や住民税も免除、高熱水費の減額、最大5万3700円の家賃補助もある。これに偽装離婚すれば母子加算もある。最近消滅したが民主党はコレに子供手当も付けた。
先に取り上げた「オバサン二人」は共に派手だ。顔だけではなく、遊びが派手だ。車もある。その上、両者ともに馬鹿餓鬼の面倒を見る。もちろん、いくら「パチンコ屋の清掃」のアルバイトをしても足らない。しかも、まだ、実際はしていない。それでも両者は飲みに行くし、ゴルフもするし、カラオケもするし、パチンコもするし、借金もあるし、温泉旅行もする。ウン万円のバッグもある。飲み会に来るなら美容院に立ち寄ってから網タイツを履いてくる。もちろん、この両者の給与の額は知っている。共に「彼氏」はいても旦那はいない。他の30代、40代のオバサンにしても「カレ」やら「パパ」はいても「主人」はいない。彼女らは総じて年収にして300に届かない。また、とくに資産家でもないのに、それでも「そういう生活」を何年も続けているのはなぜか。
その「リーダー格」であるクレオパトラは堂々と言う。
「もらえるモノはもらう」
社会福祉の中には当然、生活保護法なども含まれる。つまり、この業界で長らく生存していた彼女らは既知である。蛇の道はなんとか、専門家顔負け、要するに詳しく知っている。無論、その中には在日も多く含まれる。「韓流」の嵐が吹き荒れている。片山さつき参院議員が予算委員会で指摘したとおり、その人口比率は日本人の3倍だ。コレは急に増えた。
2009年度の生活保護費は今より1兆6000億円ほど少ない2兆8000万円だった。自民党はコレでも減らそうとしてプロジェクトチームを作っていた。しかし、ここで民主党政権になった。「年越し派遣村」の村長、真っ赤な湯浅誠が内閣参与になった。厚労省は各自治体に通達を出した。「窓口に来た人はできるだけ早く認めよ」だった。弱者を救えと。
「貧困ビジネス」なるピンハネもあった。生活保護の中の「家賃補助」を悪用する。これは暴力団の資金源にもなるから叩かれるが、私がいる施設のような介護もそう、医療も同じく、知らぬ顔して笑っていられない。生活保護者からは介護費用も医療費も取れない。つまり、国が支払うから取り逃すことがない。上客なのだ。
生活保護予算の半分は医療費だ。大阪市には「(実質の)生活保護受給者以外お断り」の病院が34みつかった。全国では104もあった。「貧困医療ビジネス」だ。ならば介護はもっとあるだろう。私がいる施設にも相当数いる。我儘、贅沢を言うのは往々にしてソレだ。
文句も言わず、しっかりと払うべきを払い、働きながら消費をし、心配ながらも子供を放り出して、なんとか人生を楽しんでいる人がいる。その比率は大阪市で1人に対して18人になる。その18人が大阪を支えている。その18人の常識が全国で日本を支えている。
倅は大学を出るまで家にいたい、と願っている。無論、現実問題として致し方ない部分はある。だから倅はいま、家の掃除や風呂トイレの掃除、夕飯の支度(手伝い)や買い物など、なんでもやらされている。少ないバイト代から「部屋代」も徴収される。大学の費用も自力では支払えない。だからまだ親に頼って生きている。しかし、それはそれでしっかりと自覚させる必要がある。これは「特典」なのだと理解させておかねばならない。
そして大学を出たら問答無用、これはもう、妻が泣こうが笑おうが、私は倅のために鬼になるだろうが、それはもう、妻も倅も知っている。そうしなければ「18人」が減ってしまう。我々はこの「18人」を20人に、それから30人に100人にせねばならない。その国の民が「普通にちゃんと生きる」ことこそが「国のため」になるという事実である。
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久代千代太郎
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