妻の作る「からあげ」が美味い。その日の妻の予告は「からあげ」だった。だから私は仕事が終わり、いそいそと帰り支度をしていたわけだが、そこに「韓流おばさん(本物)」とそのチングが現れ「飲みに行こう、明日は休みでしょ」とのこと。脊髄反射で断ると、なんでどうして?とくる。「今日はからあげなんです」と説明しても、はぁ?だった。
私は仕方なく、「からあげ」とはつまり、鶏肉に下味をつけ、小麦粉や片栗粉、からあげ粉などをまぶして油で揚げたモノ、それから本当は「からあげ」か「空揚げ」と書くのが正解。「唐揚げ」は支那臭いからイヤ、などと説明すると去って行った。たぶん、家で「からあげ」を作りたくなったのだと思う。
私は家に帰ってから、今日は「からあげ」だというのに飲みに誘われた、断ると不思議そうにされた、最近の韓流は「からあげ」のなんたるかも知らない、と愚痴を垂れながら「からあげ」を喰っていた。妻はキャベツの千切りを追加しながら、まあまあ、それも日本の政治が悪い所為だとか慰めてくれた。私は再度、今日が「からあげ」だと知っていたら小西真奈美から誘われても行かない、と堂々と宣言した。つまり、それほどなのだ。
すると、倅が私の「からあげ」を盗み食いながら「ンじゃ、小西真奈美がからあげ用意してる」って言ったらどうするの?とか問うてきた。妻は私が一瞬怯んだその隙を見逃さず「どうするのか!」と怒鳴りながら「からあげ」の乗った大皿を下げようとする。しかも倅は更に「ほしのあき」も勝手に足してきた。
あり得ない。「からあげ」だけでもアレなのに、そこに「小西真奈美」と「ほしのあき」など付け合わせたらどうなるのか。そんな高カロリー、お腹が痛くなるかもしれない。い、いや、もしかすると、そこには「綾瀬はるか」もいるかもしれない。私は苦悶の表情を浮かべながらビールを飲んだ。一番搾りだ。
しかし、冷静に考えてみる。そんなことが起り得るだろうか。すなわち、こんな確率ゼロの妄想で目の前の「からあげ」という現実を逃すわけにもいかない。腹が立つのは倅だ。だからやり返してやった。ンじゃ、おまえは「まゆゆ」が「からあげを―――」
妻が「からあげ」を人質にとり立て籠もった。手にしているのはメープルシロップだ。いい加減にしないと、コレにコレをかけるぞ、という意味だ。ソレはソレでどういう味のアレになるのか興味は尽きないが、せっかくの「からあげ」で冒険はしたくない。だから平に謝った。崇め奉って未来永劫、この地に「からあげ神社」を建て子々孫々に至るまで感謝を忘れない、と誓うと大皿が戻った。シロップはちょっとかかっていた。倅が喰った。
「からあげ神・カラットアゲルオオミカミ」を名乗る妻は、私が用意した御供え物の「納豆ごはん」を喰いながら「ところでアイドルとかのファン、それもオッサンのAKBファン、それも熱烈なのが気持ち悪いと思うねん」と、無自覚ながら「小林よしのり」の悪口を言った。このあと「焼きプリン」も食べた。
知っている人は知っているが、私は熱心な「コヴァ(笑)」だ。ファンだった。あの「戦争論」の衝撃は覚えている。たぶん、このシリーズは50回とか100回とかのレベルで読み返している。所有しているモノはボロボロになったから、同じのを買って倅と娘にも渡した。また、人に勧めるのはもちろん、以前は10冊とか買って一冊ずつ、会社や出先に置き忘れたり、漫画好きの人に差し上げたりした。私は「戦争論」以来、小林よしのりの著作は漏れなく購入、読破しているつもりだ。しかし、最近の「脱原発論」くらいから止めた。無論、AKBのなんとか、いうのも買っていない(笑)。
私は「AKB」をしらない。興味がない。嫌いなんじゃない。わからないのである。
また、べつに「ミーハー」を否定しない。嫌味ではなく、それはそれで結構なことだとすら思う。ゴルフとか釣りとかと同じ、個人の趣味、趣向の類であると思うからである。しかし、最近25年来の付き合いになる「あきぼん氏」と飲みに行った。そこで「盆栽」の話が出た。彼は盆栽を観に行ったりする。「園芸」も彼の趣味であるから、いつかはハマることになっていた。同じ年の彼と、そこで「年相応の趣味」の話をした。我々も不惑を過ぎて1年が過ぎた。若いころは「ナニが面白いんだ?」と思っていたジジ臭い趣味の面白さったらない、という結論に至った。私も「川釣り」がしたい、とか告白した。経験はない。
オッサンを自覚し始め、いつからか「旬の野菜」とか喰いたくなった。私は売っていた経験もあるが、正直、こんな高いモノなんで買うんだろう?と不思議に思ったこともあった。それでも「初物」は売れた。売れると決まっていた。それから「庭で作ったミニトマトなんだけど」とか持ってくるオバちゃん。不思議だった。ミニトマトなんぞ100グラム100円とかで売っている。それに「畑で獲れ過ぎちゃって」というキュウリとかナスも不思議だった。私が子供の頃、暑い暑いとプールに向かう途中、頭からタオルをかけて帽子をかぶり、畑で土を弄るじいさんとか、農家でもないのにと理解できなかった。
でもいま、仕事場近くのおっちゃんとか、私が喜ぶから持ってきてくれる。女性職員も「祖父が作ったんですけど」とくれる。立派なキュウリやナス、ゴーヤやらシシトウをもらうとテンションが上がる。これは炒めて喰おう、これは焼こう、これは天婦羅にしてみるか、と嬉しくなる。それから栽培してみたくなる。土に何かを植えて育ててみたくなる。実に不思議な現象だが、たぶん、これが大人になるということ、なのだろう。年を重ねる、ということなのだと理解した。
中高年のオバちゃんが韓流にハマる。韓国でなくともいい、若くて男前の演歌歌手でもいい。これにハマる。「好きなだけ」というレベルではなく、部屋中にポスターを貼ったり、各種様々な「グッズ」を身に着けていたりする。コンサートがあれば遠方まで出掛けていく。優しい旦那は「アレは趣味、楽しみなんだ」と理解を示す。しかし、これも他人の勝手、カラスの勝手だ。そういう意味で私は別にイイと思う。
では、我が妻がそうなればどうか。ジャニーズ事務所の誰かを追いかけて、他府県まで泊まりで出掛けると言い出せばどうか、と問われると、やっぱり、それは「ダメだ」となる。理由は「みっともない」に尽きる。もし私が「AKB」に没頭、家のテレビの画面にくぎ付け、今日は総選挙なんだと興奮してCDを10枚買っちゃった、とかやればどうかと妻に問うと、本気で「また今度、からあげ作りますから勘忍して下さい」だった。正常な反応だと思う。
ネットを見ると「AKBおたく」とか「イイトシしてみっともない」と小林よしのりを批判するモノもある。私の感想も同じようなモノだが、しかし、先述したとおり、それはそれで勝手なことだから放っておけばいいと思う。言論や思想と趣味は切り離して考えることが出来る。小林よしのりが「AKBは愛国心」とかやっても、それはそれで「よしりんはそう思うんだろう」で構わないし、ひと昔前の「パチンコに魂を売った」でも、私は「それは阿呆の勘違い」だとしていた。このブログでも「問題なし」と書いた。
また、最初に書いておくと、皇室関連や原発云々については措いておく。意見の違いはあって然るべきだし、主義主張がまったく同じというのも不気味なことだ。また、当然ながら、小林よしのりが言うんだから、という思想的な無防備もあり得ない。私が「小林よしのりのファン」だからといって、彼のギャグ漫画全般、あるいは女性関係における奔放さ、家族というモノの概念の差異などは受け入れられないし、単純に影響されるほど薄っぺらい人生を送ってきた覚えはない。あくまでも「読者の感想」として、これは賛同できる、コレは違う、これはすごい、などと思うだけのことだ。
しかし、だ。
近々、ネットの中にある「小林はおかしくなった」に反論し難い「みっともない」が目に余る。安倍さんへの誹謗中傷だ。「ゴー宣道場」のコラムが酷い。タイトルは「野田民主党、年内解散するべからず!」だ。ネットにもあるが、ちょっと貼ってみる。
(引用開始)<マスコミが解散風を
吹かせているが無視すべし。
尖閣を国有化し、実効支配を
法的に着々と進めている態度、
りっぱだ!
実効支配の意味も
わかってない
自称保守派など相手にするな。
野田首相は、てんでバラバラの
政党をまとめる苦労がしのばれる。
来年になれば
自称保守勢力は
すべて支持率下げていく。
維新の会のように
焦り始めるだろう。
憲法破棄・徴兵制・原発推進の
馬鹿マッチョ・ナショナリズム80歳じじいやら、
アサコールとネトウヨ頼みの
難病総裁に、国を任せられるか!
男、男を強調しても、
じじいと難病!
じじいと難病だからこそ、
勇ましく過激にナショナリズムを
鼓舞するのだから、恥ずかしい。
尖閣に船溜まりを作るのにも
数百億円かかり、
工期が10年以上かかるのに、
寄付金ごときで作れる話じゃない。
デタラメばっかりほざいて、
男やナショナリズムを
売りにするんじゃない!
難病総裁は
自分の妻を
充足させてやれ!
居酒屋に中国・韓国の
工作員が現われたら、
弱みを握られるじゃないか!
可愛そうに、つまらん男の妻は、
他の男がよっぽど良く見えるのだろうよ!
男系、男系と言う暇があったら、
自分の妻が抱える空虚感を
充たしてやらんかい!>(後略・引用終わり)
下衆に過ぎる。呆れ果てた。
続けて彼のスタッフが書いたのも貼ってみる。今度は金美齢女史に対してだ。
(引用開始)<・エセ保守雑誌「WiLL」12月号で金美齢氏が安倍晋三と対談し、よしりん先生の「アサコールに頼る首相でいいのか?」という発言を批判して、こう言ってます。
「私は小林さんに、『あなたの大好きな李登輝さんだって心臓に何本もステントを入れているじゃないですか。そのなかで一所懸命頑張っているんですよ」と言ってあげたい」
安倍晋三に関わった人は、みんなバカになるんでしょうか?
李登輝氏は、健康不安があったから2000年で引退して、後進を育てる活動に移ったんじゃないですか!
あの時、誰もが、まだもう1期は総統を続けられると思っていたのに、あの引き際は見事でした!
病気を抱えながら頑張っている人を揶揄しているのではありません!
重度のてんかん患者が自動車を運転してはいけないのと同様に、難病患者が国家の運転をしてはいけないと言ってるのです!
安倍シンパになると、ここまでモノが考えられなくなるんでしょうか?
一口3500円で後援会組織して毎日安倍晋三に3500円のカツカレーをごちそうする!?
遊びじゃないんだよ!!
安倍はこの対談でも「持病である潰瘍性大腸炎は二年半前に新薬が認可されて完治しており、いまでは心身ともに健康です」と大嘘をついています。アサコールには症状を抑える効果しかなく、潰瘍性大腸炎は完治する病気ではありません!
安倍は「『タカ派』と非難されることについては厭いません」と言ってるが、笑っちゃいます。
安倍は平時はうるさく騒ぐけれど、いざとなったらヘタレる「チキン派」です!
金美齢が「『従軍慰安婦問題』でいえば、海外で『sex slave』(性奴隷)という呼称が定着してしまっています」と発言し、それに安倍が「極めて憂慮すべき事態ですね」と答えたのには、ひっくり返りそうになりました。
「慰安婦=性奴隷」という認識を海外で定着させた張本人こそ、安倍晋三じゃないですか!!
金美齢は、それを知らんのか!?安倍晋三は、自分が何をやらかしたか未だに自覚していないのか!?そこまでバカなのか!!??
しかし、金美齢までがこんな有様とはねえ…人間、やっぱり引き際は大切ですよ。>(引用終わり・一部略)
酷い認識だ。それから言葉が安い。また、<李登輝氏は、健康不安があったから2000年で引退して、後進を育てる活動に移ったんじゃないですか>はどうだ。李登輝氏はたしかに2000年11月、冠状動脈5本のうち3箇所に血栓があった。狭心症だ。しかし、心臓病を原因として国民党主席を退いたのではないと、本人が明言している。誰に明言したか。小林よしのりにである(李登輝学校の教え・小学館)。しかも、これは細事ではない。同書の中で李登輝氏は「天下は公のために」と述べてから、
<二〇〇〇年三月の総選挙に立候補しなかったのは、台湾に民主主義を根付かせることが至急の命題だ、と考えたから。何よりもそれが台湾のためだったのです>(115P)
と理由を説明している。
台湾で民主主義による政権交代、それも平和的な政権交代が初めて成った。だから李登輝氏は<政治家には、国のためなら権力をいつでも放棄する、そういう覚悟が必要なんです>(116P)と続けて警句を発する。小林よしのりのスタッフは、この台湾の英雄の崇高な理念に対し<健康不安があったから>と断じてしまう。それだから安倍晋三総裁の理念、覚悟もわからないのだ。
それからここ、だ。
<金美齢が「『従軍慰安婦問題』でいえば、海外で『sex slave』(性奴隷)という呼称が定着してしまっています」と発言し、それに安倍が「極めて憂慮すべき事態ですね」と答えたのには、ひっくり返りそうになりました>
このスタッフが引っ繰り返るのは勝手だが、この件についても安倍さんはちゃんと説明もしている。誰に説明したか。小林よしのりにである(希望の国・日本 飛鳥新社)。このスタッフは自分のとこの社長の本も読まないのか。
安倍総裁は小林よしのりとの対談の中、ダニエル・イノウエ上院議員がアメリカ議員に対して「なぜ今頃、こんな話が出るのか」と問題提起、アメリカが負けていたら同じ咎を受けていたかもしれない、と日本を擁護する発言をしてくれた、と話している。当時、訪米した安倍総理が「(慰安婦の強制連行)を認めて謝罪した」というのはデマ、この本の中でも「謝罪はしていない」と明言している。これを聞いて小林よしのりも<なるほど。わかりました。やはり国内でも国外でも、リアルな政治の世界では、さまざまな駆け引きの中で戦略的に妥協しなければならないこともあるわけですね>と理解を示し、さらに<もちろんわしも、自分の理想を一から十まで全て信頼する政治家にやらせようとは思わない。それはあまりにも横暴でしょう>と自戒して自省している。
それから小林よしのりは<今から思えば、わし自身も「果たして批判したのが良かったのか」と思わないでもないんですよ。靖国参拝を曖昧にしようが、村山談話を踏襲しようが、徹底的に100%応援すべきではなかったかという反省もあります>と殊勝なことを言っていた。私は安心したものだ。
そして対談後の感想。小林よしのりは<やはり安倍晋三、過去の総理にしてしまうのは、あまりに惜しい。もう一度この人を総理にしたら、今度こそ戦後レジームの脱却のために、わしは全力で応援するのだが>と〆ている。ナニがあったのかしらんが、それがいま、自民党総裁に返り咲き、さあ、いよいよ売国民主党から政権奪回、日本を取り戻すぞという矢先、同じ人間が<アサコールとネトウヨ頼みの難病総裁に、国を任せられるか!>と書き殴る。普通のファン、読者は、これはもう、ついて行けないだろう。おそらくもう「信者」とか「弟子」しかいないと思われる。
もちろん、意見が変わることもある。「転向」もあるだろうし、それは否定しない。それが根拠のないヒステリックなアジテーションでも勝手にすればいい。小林よしのり曰く「商売で書いて何が悪い」には一定の説得力もある。つまり、嫌なら読むな、だ。だから私はもう読まない。
しかし、コレだけは許せない、というのがある。私の個人的主観、且つ、私の矜持からなる「私見」ではあるも、これだけは声を大にして、強く批判しておきたい。
ごーまんかましてええでっか?
おい、小林。
人様の嫁の悪口まで言うな。
夫婦の問題にまで口を入れるな。
下衆野郎が。
人様の嫁の悪口まで言うな。
夫婦の問題にまで口を入れるな。
下衆野郎が。