忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

圧倒的だったはなし

2021年10月15日 | 忘憂之物


高市政調会長は2013年、安倍政権のときも政調会長だった。そのときNHKで村山談話のことを問われて「ちょっとおかしいと思う」と言った。

我が家には残念ながら、その当時からテレビがないので知らなかったが、自民党内からも「更迭せよ」との声が出て、公明党幹部は「政局観がない」と批判した。私などは「ちょっとおかしい」ではなく「ぜんぶおかしい」の間違いではないのか、それで批判されているのかな、と思ったが違った。要すれば、そんなこと言ったらマスコミや野党から叩かれて損するじゃないか、ということだった。当時から信念も理念も見識もない政治家はいた。

そのときの幹事長は石破茂。会見で「個人的な見解であろうとなかろうと、発言には注意してもらいたい」と毒にも薬にもならないコメントで火の粉を避けた。国会では安倍総理が「そのまま継承しているわけではない」「侵略の定義は定まっていない」と答弁したから、いつもの連中といつものマスコミは大騒ぎした。今更ながら、しょうもない話だった。

ところで、なぜこいつらは騒ぐのか。その真因は靖国参拝に騒ぐ理由と同根にあると周知だ。

1972年の日中国交正常化の際、周恩来は人民に対して、日本の戦争犯罪は一部の指導者の責任。その他の普通の日本国民は中国人民と同じく軍国主義の犠牲者だ、という理屈で丸め込んだ。戦後27年。日本も中国もまだ戦争を知っている世代は多く生きていたが、人民が文句を言おうにも相手は毛沢東だ。命あっての物種だ。

中国共産党は、だから国家賠償は放棄してやる、と日本に恩を売ったつもりだが、つまるところ、日本政府が堂々と村山談話を否定したり、いわゆる「A級戦犯」が合祀される靖国神社に日本のリーダーが参拝すると、この言い抜け説得が成り立たなくなる。日中両国の「思惑」が合致している部分だ。要するに毎回毎回、この合致「部分」の連中が騒いでいる。

このしょうもない理屈は韓国も同じ。河野談話にケチをつけたり、いわゆる「従軍慰安婦」や「徴用工」も同じ理由になる。握ってちょんちょん、とした日韓両方の連中が困る。そして当然、自国の国益を得よう、守ろうとすれば、相手国が国益を損なうこともあるから、本来、日本の政治家ならば「相手が困ること」を上手に利用することが求められる。また、これら「歴史認識」に関する問題は単なる経済的なことではなく、現政調会長が言う通り、日本の主権、誇りを護るという国益の真ん中にある安全保障問題ですらある。

これが本能的に過半以上の日本人はわかっているから、元大阪府知事が総裁選途中、高市候補に靖国問題で絡む意図を見抜いてしまう。元知事の言い分は中国共産党や朝日新聞のそれと同じようなものだった。昔から「合致部分」ではなかったと思うから、たぶん、知事になってから上海やら北京にて「部分」にされたのかと邪推もしてしまう。ご愁傷様である。

というのも、テレビでやらないだけで多くの日本人は以前から知っていた。

改革解放の1978年からNHKなどの日本のテレビが「中国市場、成長率は毎年13%超え」などと囃し立てはじめるが、もっと前の1960年ころから「日中友好貿易」とのことで、日本企業と中国との経済的繋がりはあった。文革のころなら日本企業は毛沢東を称賛する集会に出ることを義務付けられていたし、商談の前には「毛沢東語録」を唱和させられていた。

ポーズでもやらないと仕事にならないから、多くの日本企業の社員は国が変わればこういうこともある、と従った。国益よりも会社の利益、個人の利益が優先されるという、いわば「当たり前」の取捨選択は平然とあった。当時の日本、ある意味、仕方がないことだった。

しかしながら、数十年も過ぎると、いろんなモノが目に見えてくる。コロナの前、久しぶりに大阪の街を歩いたが、中国人観光客をピストン輸送するバスが何台も連なり、街は大手家電量販店とドラッグストアの街になっていた。関西色の強い保守っぽい政治家がいる政党がとても強くなって「大阪では与党」と言い出して10年ほどか。すっかり変わっていた。

ぜんぶ確認はしていないが、おそらく、北海道から沖縄まで、そこかしこに同じような現象は見られたと思う。美しい山々は太陽光パネル、静かな海は風力発電のでかい風車、繁華街は中国人観光客に覆われている。うるさくてごちゃごちゃして品がない。「日本らしさ」からは程遠い。子や孫の世代が就職する際、上司や先輩はともかく、社長やオーナーは中国人になっているのではないか、というのも冗談ではなくなった。20年ほど前、ネット右翼の杞憂であってほしいと思っていたことが、いま、現実に成りつつある。

言論弾圧と人権侵害の本場、中国共産党が支配する大陸ではもう隠されてすらいない。習近平は誤魔化す必要も余裕もなくなり、中国国内は知ったことではないが、堂々と香港を蹂躙し、台湾を侵略すると公言する。東トリキスタンやチベット、内モンゴルなどの侵略、人権弾圧行為も「内政干渉」と憚らないのもずいぶん前からだ。尖閣諸島をみるまでもなく、この期に及んで「日本は大丈夫」と言い放つ連中の意図も、もはや隠されてはいない。


もうすぐ衆院選挙だ。

与党も野党も改革改革。相も変わらず変えます変わります変えましょう。

少し前「日本を取り戻す」と言って長期政権になった内閣があったが、そこからはだれも学ばないのか。いま、日本は変えます、変わります、ではなく、護ります、強くしますが必要だと多くの日本人、危機感を覚えている日本人が切望していると信じる。

だから総裁選、高市早苗候補への期待は圧倒的だったと思う。



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