仲人をしていただいた旦那様が、先週お亡くなりになりました。
奥様がご病気中にもかかわらず仲人を引き受けていただいたことを思い出します。
仲人とお会いするきっかけとなったのは、仲人宅のトイレ改修工事です。
その当時は住宅会社の設計担当でしたが…なぜか改修工事の担当になりました。
工事内容は水洗工事に伴って内装も新しくする工事で、金額は10万円だったと思います。
仲人は、建築家が設計したフルリノベの家に住んでいました。
旦那様がTV局に勤めていた関係と思いますが、当時、建築家が家を紹介する番組がありました。
南側にある門扉をくぐり両側に植栽の緑があるアプローチを抜けると、玄関にたどり着けますが…いつも門のインターホンを押すと、カランコロンと下駄をならし旦那様が迎えに来てくれました。
木の玄関戸を開けるとホールで、右側にダイニング・キッチン、左側にリビングがありました。
いつもリビングに通されますが、そこにはグランドピアノ、リビング階段があり…。
細い線を好む建築家で木枠など無垢材の木が見え、あたたかく感じました。
折り返しのリビング階段もあって、空間的な豊かさを感じたのを今でも憶えています。
「建築家」という方が設計するとこんな空間になるんだ…と初めての体験でした。
リビングにあったグランドピアノも初めての体験です。
芸術学部と音大を出ているご夫妻からは当然、芸術・文化を感じました…。
この器は何々と言って…、音楽は…
知識の幅が広く、いろんな話を伺いました。
私の近くには…このような話をする方はいませんでしたので…すごく新鮮でした。
いろいろな話の中で…
「伊藤さん、建築の仕事をするのであれば、会社は最低3か所、勤めないとだめよ」
「いろいろ経験しないとダメなのよ~」と奥さんの口から出てきました。
それを守ったわけではありませんが、住宅会社の設計から設計事務所へ、どうやってつくるのか知りたくゼネコンの現場監督へと、3つの職種を経験することになりました。
暗示にかかったように…
仕事の職種を変えることで、新たな経験を積むことができました。
工事金額も大きくなりました。
独立後は非常勤で専門学校の講師をしながら、常勤でスーパーゼネコンの設計部で23階建ての計画に参加することができました。
半年間の計画で、その他の仕事を含めると約3年間、ゼネコン設計部の仕事をしていました。
23階建ての計画は工事金額120億円ぐらいになります。
今までと違う経験を積むことでした。
金額の大きさではありませんが…10万円から120億円に…導いていただいたのは仲人ご夫妻です。
奥さんが亡くなり旦那さんが退職されてからは、内の子どもの学芸会に、中学の時は吹奏楽部の県大会にも来ていただきました。
子どもに会う時は、いつもプレゼントを用意していました…。
コロナ禍で中々お会いできませんでしたが感染者数が少し減った頃、カレンダーを届けに伺ったことがありました。
病気を患い、入院スケジュールが決まっている治療でしたが、伺ったその日は家におられ、玄関戸の脇で話をすることができました。すこし長話…。
最近、事務所に電話をいただきました。
一カ月前ぐらいでしょうか?
本人曰く「間違って掛けてしまった」そうです…。
我が家の玄関には花の絵が飾ってあります。
ずいぶん前ですが旦那様からいただきました。
知っている画家のようで、デパートで購入したそうです。
「気に入らないのでもらってくれないか!」?ということでいただきました。
自宅の仕事部屋の本棚には、奥さんの写真がおいてあります。
亡くなってからいただいたもので、ずっとそこにいます。
玄関と仕事部屋に、ずっとそこに。
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