昨年は、忙しい時に人がいなく、トラブルも発生し、一年後の仕事に影響が出てしまいました。そうならないためにはどうすればいいのか?を考えてきましたが、再確認をすることができました。
大人数で家づくりをすることは経費の負担も大きく…と今まで思っていましたが、余力がなければ最終的に迷惑をかけてしまうことに気づきました。
以前にも紹介しましたが、新潟に「住学」という家づくりのグループがあります。
地域の工務店や設計事務所に勤めている方や業者さん、学生さんも参加していて、会員は800名いるそうです。お互いライバル同士ですが、いい家をつくりたい考えは一緒。設計が得意な工務店と施工が得意な工務店がお互い協力し、一つの家を造っているとのこと…。施工側に回った方が利益的には優位なのですが…。
そんな事例もあり、お客様に迷惑をかけないためには他の工務店と業務提携するのがいいのではと考えました。
今まで国交省グリーン化事業等で地域の工務店さん6社のグループを形成し、勉強会を約10年、60回程行ってきた仲の人であれば気心は知れているし、問題ないのではと打診したところ…、一緒に仕事をすることが出来そうです。
詳しくは次回のニュースレターにて報告したいと思いますが、将来も見据えて活動していければと考えています。
ヘラルボニー
聞いたことがないことばですが…岩手県に本社を置くスタートアップ企業の社名です。
知的障害のあるアーティストとライセンス契約を結び、200点を超えるアートのデータを活用した商品の企画や販売を手掛けています。絵画はもちろん、絵画を服やネクタイにも活用し販売しています。企業レベルでは、JALの紙コップ、ニコンのカメラパッケージ、丸井のクレジットカードのデザインに採用されています。
創業したのは双子の兄弟、松田崇弥さん(左)と文登さんが会社を立ち上げました。
障害がある作家を「異彩作家」と呼び、それは無数の個性があり先入観や常識を超えるからと言います。知的障害がある作家241人と契約し、作品は2千点を超え、売上や使用料を作家に還元するシステムをつくったのです。売上げが上がれば収入が増え、自立することもできるのです。こんな発想は自分にはなかった~世界でもなかった。すごい!
きっかけは4歳上の兄、翔太さんが重度の知的障害を伴う自閉症と診断されていることと社会人2年目の15年の夏、帰省した際に母から教えられた「るんびにい美術館」(岩手県花巻市)を訪れたことです。障害がある人の作品を見て、集合体としてのグラフィックス(視覚表現)の強さと緻密性に引き込まれ衝撃を受けたのがきっかけでした。
実績を蓄え、昨年5月、ルイヴィトンなど75のブランドを持つLVMHの賞に応募し、日本で初めて受賞することになりました。創業から間もなく小さな企業がLVMHに評価されたのです。これは今までにないことで、今後LVMH傘下ブランドを利用して活動することが出来ることになります。それも無償で応援するということです。パリで世界各国で異彩作家の作品が魅力を放つ商品群を造ることが出来るのです。すごいな~
社名のヘラルボニーは、兄の翔太さんが幼い時に自由帳に書いた言葉でした。最近分かったのは馬の名前だそうですが、それを社名にするとは…素敵だな~と、感心しかありません。
我々、家づくりも頑張らなければいけないと思いますが…、少しですが兆しが見えてきました。
新潟にある「住学」というグループと、北関東・福島のグループ「住まいるLab.」、地域の工務店、設計、学生、家に興味がある方が参加する家づくりの勉強会の存在です。
「住学」があるエリアでは大手ハウスメーカーは受注が出来ないらしく、撤退しているところもあるようです。
宮城では「住まいるLab.宮城支部」が出来たばかりですが、学びのコミニティとして認知されるようになると、「住学」の地域で起きているようなことになると思っています。
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(2024/06 住まいるLab.勉強会 福島県大玉村 タカモクさんがつくった家にて)
住宅1棟あたりの平均建物価格は約3400万円になりました。ハウスメーカー大手9社の平均価格は約4000万円で上位メーカーは約5000万円になっています。
4000万円も出すのであれば…、もっといい仕様・性能・空間・素材を提供することは可能ですし、今後挑戦していきたいと考えています。
「家は性能」というセリフがありますが…それが基準ではありません。
地域に合った素材とより高い性能、制震システム、耐久性を高めた材料、そして居心地がいい空間をつくりたいと考えています。
そして、点検やメンテナンスを怠らず、生涯にわたって付き合っていく、そのことが地域工務店のあるべき姿と思っています。
おごらず、たゆまず、おこたらず。
2025.新春NLより
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