個人雑誌編集長兼雑用作家、

遣りたい事をやりしたい事をする。難しく考えず人生を楽しむ事を目指しています。※恋人募集中、稼げたらね!

齋藤務作品[武器少女ガーネットスプリンガー] 

2017-02-21 19:36:28 | 新作テスト小説

武器少女ガーネットスプリンガー

ー 第二話 ー

青い星の乾いた荒野

(荒野に二人)

ならず者に囲まれた少女を助けようとした少年の前で、たった一人で、ならず者たちを一掃した。

武器少女と呼ばれる少女は、呆然とししていた少年を見ていた。

成り行きとは言え、自分の新たなあるじに為った少年、

そして、行きずりに主に為って仕舞った、その少年が、岩陰に隠していた機械馬を見ながら言う、
「これを使うまでも無かったな、ハハハハハ」

それは地上や空中を駆ける事が出来る。白銀の機械馬だった。

「武器馬か?これは長距離支援には使えるな、お前、この距離でコイツを使う気だったのか?」

「まあ」

「確かに、こいつなら、あいつらを殲滅出来るな、だが、何分も掛かるぞ!私ならば、あの通り数十秒の秒殺が可能だ!」

「秒殺ね。君はこれからどうするんだい?もう安全で自由だし」

「いや、もう私に自由はない、主に服従するだけだ!」

「主?僕は、もう君の主では無いよ、だから自由だよ!」

「主との契約は絶対だ!私は主の武器なのだ!」

「契約は解除する。だから君は自由だ!」

「私が、主から解放される時は、主が死んだ時だけだ!お前は死んで、私を解放するのか?」

「そうか・・・それなら僕は、ここで死ぬわけにいかないから、この儘、契約は続行と言う事だね。」

「まあ、そう言う事だ!」

ひょんな事から、少年は少女と旅をする事に為って仕舞った。

少年は、荒野の真ん中で、武器馬からテントを出して張り、その中で一晩、野宿をする事にしたが、

その後、太陽が地平に沈み、星々が空一面に撒かれると、荒野の夜も更けていき、

小さなランタンの灯りのテントの中で、少女が言う、
「お前、眠る時は、私を抱いて眠るんだ!」

「ええつ!?武器の君を抱いて眠る?」

「そうだ!武器を抱いて眠れば安心だ!何かあれば、私がお前を守ってやる。」

少年は、言われた儘に少女を抱いて眠ったが、少年の腕の中ですやすやと眠るその顔は、幼い少女そのものだった。
「然し、何でこんな姿の武器が、人のいない荒野にいたんだ?」

漠然と考えながら、少年は、何時しか眠りに落ちていた。


次の朝、少年が目覚めると、少女の姿は無く、テントの外に出ていくと、少女が食事を作っていた。

それを見てのけ反る少年、どこで捕まえたのか?蛇やカエル、禿鷹の丸焼きと、荒野のフルコースが出来ていた。

「な、何なんだ!これは?」

「んん、私は良くできた武器だろ!主の為に、食料を集めてきた。まあ、味の保証は無いかも知れないが?食べても死なない!」

唖然とする少年、取り敢えず、少年は武器馬から携帯食料を出して、食べる事にしたが、
「君は、なぜ?こんな荒野に一人でいたんだい?」

少年を睨む少女、
「私の主がここで死んだ、それだけだ。」

少年が黙り込むが、
「君の前のあるじは、どんな人だい?」

「それを聞いてどうするんだ?弔い合戦でもしてくれるのか?」

「弔い合戦って・・・」

「敵と戦って死んだ、それだけだ!お前も同じ敵と戦えば、前の主よりも早く死ぬ事に為る、いいのか?」

「そ、それは困るな、僕には行かなければ為らない所が有るんだ。」

「なら、自分のするべき事をすればいい、今はお前が私のあるじだ!」

「そ、そうか」

暫く先にいくと、小さなオアシスが有り、少年は、そこで休憩をする事にしたが、

小さな池で、少年が水浴びをしていると、少女が入ってきて言う、
「私の主なら、私の手入れをちゃんとするんだ!武器は大切に扱うんだぞ!」

「はあ!?」

大胆な武器の少女の行動に、少年は呆気に取られていた。

「ちゃんと隠して置けよ、じゃないと手入れしないぞ!」

「分かった、一々うるさい主だ!」

「で、聞いてなかったが、君の名前は有るのかい?」

「ある、最高の名前だ!小型武装兵器人体、ガーネットスプリンガー」

「ガーネットって言うのか、いい名だな、俺は、藤城、正也だ!」

「藤城、正也、日本人か?私の体も日本製だ。何かの縁かも知れない」

「君は、日本で作られたのかい?」

「そうだ!日本で生まれた。」

「そうか、遠いな、ここからじゃあ、遥か彼方の星の向こうだ。」

少年が手をかざして、青い空を見上げて言う、
「いつか帰りたいだろ、生まれた場所に」

それを見て、少女が空を見上げる。

どこまでも青い空が、二人の頭上に広がっていた。

ガーネットスプリンガー、彼女は、自分の生まれた遠い地に思いを馳せていた。



2017、2、21、個人雑誌グラス編集部、副編集長兼雑用、主力作家の齋藤 務、

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