公文で九年

公文式教室を9年間経営していた学習塾経営者です。
公文教室とはどういうものか私の視点で公開したくなりました。

誰でもできる公文の指導者 ?

2012-10-10 | 読者からのコメント・おたより
前回の、「指導実態 ?」について、いくつかコメントをいただいたので、そのうちの二件を公開していますけれど。
こどもに教材と解答書をテキトーに渡すだけなら、
確かに誰にでもできそうな≪指導者≫ですが、
《商売》ですから、そんなに甘くはないはずです。

くもんの「売り」は、みずから学ぶこども、ということなので
自己採点で、その上宿題や次回の学習教材など、生徒本人が教材棚からチョイスしてセットするなんて、まさに、理想通りじゃないですか。
そういえば、昔研究会から送られてくる冊子の中にそんな教室が紹介されていたのを
見たような気がします。

でも、この方式が通用するためには
すべての生徒とその保護者達が、その理由についてしっかりと理解し、
納得できている、という大前提が必要です。
そうでなければ
「あそこの教室の先生は、ただ居るだけで何にもしない、なんにもしてくれない」
などといううわさが独り歩きして、入会者は激減するということになります。

また、どの教材をどれだけやるかということについても《指導》がなされず、
子どもが各自で決めているとすれば、ほんとに指導者なんていらないでしょう。
そういう子どもであるならば、くもん教室へ通う必要性もなく、自宅で自分でやればよいということになります。公文通いはお金の無駄という評判のもとですね。

にも関わらず、生徒数が減らず、教室が維持できているのであれば
それなりに、そういうお教室の先生方は様々な形で工夫を重ねておられるはずで
それこそ、誰にでもできることではなかろうと思います。


実は昔、中学生を対象にこの方式を試みたことがあります。
当人と面談し、相談しながら見通しラインを引き、そのライン通りに
各自の棚に教材を順番通りに入れておいて、生徒は上から順次自分で必要分を取っていく、ということにしました。
けれども、部活やら何やら、子どもの予定は狂いやすく、
一か月単位でさえも当人の自己申告のようにはいかず、たびたびのセット直しが必要になりました。またその都度面談が必要なので学習時間が減るのです。

採点・質問対応については、私は高校数学などは忘却の彼方ですから
国立大の現役理数系学生をバイトに頼み、そちらで対応していましたが
一人の一問に対する対応でも10分以上はかかるので、
バイト生は常時2~3人は必要で、高教材の中学生というのは経費食いな存在でした。
というか、経費が掛かるので自己セットにして少なくともセット関係における人手を
節約しようとしたわけですが、あまりうまくは機能しなかったということです。
で、中学生は二三年の頃には近所の進学塾へお勧めしていました。
公文教室では、高校入試対応はできません、ということで。

現在中学生は高校入試まで、みな在籍していますが
当時の経験が生きて、教科書準拠テキストでは生徒が自分で、ということが
ちゃんと機能しています。なにごとも無駄にはならない、というわけですね。

自己採点について
私は宿題の家庭採点も採用したことはありません。
中には、保護者からの申し出で
(宿題を教室採点で、直しをしていたのでは教室での学習時間が長くなるので、とか)
解答書をお渡ししていた家庭もありますが、
そういうご家庭にに限って、こどもの出来は良くありませんでした。

理由は、もちろん、安易に解答に頼ることになるからです。
現在、うちの教室の中学生にも五教科全般、解答書は渡していません。
必ず採点はこちらでして、わからないところはまず自分で調べさせます。
時間はかかりますけれど、勉強をする目的は
解答用紙をうめることではなく、アタマの働かせ方を学ぶということにあるのですから
わからないところ、間違ったところはすぐ解答を見るというのでは
アタマには入りにくいと思っています。

自己採点・自己セットなどは
決して、安易に取り入れられるものではない、と思います。


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