公文で九年

公文式教室を9年間経営していた学習塾経営者です。
公文教室とはどういうものか私の視点で公開したくなりました。

採算性の話の続き

2006-08-04 | くもん教室の経理
以前の話にも私が「公文教室って、儲かるのは研究会だけで教室経営者ってボランティア活動みたいよね」と考え始めた理由があるのですが、
あといくつか理由があるのです。
それは、教室を始めて五年が過ぎ、ぼつぼつ卒業していく生徒も出始めた頃で、とはいえ
さほど宣伝費をかけなくても毎月一~二名は新入会があり、我ながら
「ふ~ん、うちの教室もまんざらではない感じ、ようやく当初の資本の回収ができそうね、
タダ働きでがんばった分、これから取り返さなくちゃ」と張り切っていたとき。

研究会から連絡がありました。
近くの小学校の校門のそばに新しい教室をオープンするというのです。

この小学校からは、うちの教室の六割近くの生徒が来ているので、
その子たちが新しい教室の方が便利だと言い出したらどうしようということと、
今後新たに公文教室へ行こうと考える時、
学区の外れにあるうちの教室よりも学校帰りによれるそちらの教室を選ぶのではないか、
そうすると、新入会の生徒が減る・・・・せっかくこれからだっていうのに・・・・・
これでは、これまで投資してきたことの実りを手にすることはできそうも無い・・・・
研究会のあまりのやり方に、腹がたったの何の・・・・
半年ぐらいは、何をする気力もうせた感じでボーっとしていました。
「公文式」の看板を他の塾に取り替えようか、と真剣に悩みました。
もし、この時期にどこかの他の塾とのコネがあったら即、乗り換えていたかもしれません。
たとえば、講師を派遣するので塾にしませんか、とか。
でも、自習式でこそ子どもの学力は伸びる、という気持ちに変わりは無かったので、
そういうこともできなかったのです。


そうこうするうちに、ある一家が教室見学に来ました。
≪他県から引っ越してきて、近所の教室を紹介されて、通っているが、
あまりにもひどい・・・・
最近近くのひとからこちらの教室の事を聞いたので・・・・
今日、見学に来て見てわかりました、うちの子はこちらへ通わせます。≫

おなじ公文の看板を上げていても、おうちや学校が近くても、
それでもうちの教室を選んでくれる人がいる。
おかげで、しっかり意欲を回復しました。

しかし。

後日、事務局員と新教室の話になったとき
「一時はちょっと減っても、ちゃんと盛り返してきているじゃないですか。
だからもうひとつ教室ができたって大丈夫なんですよ、大丈夫なところへ新教室は作るんですから」
「でも、おかげで、これまで毎年五十ずつ増え続けてきたのに今年は増えないよ」
「そりゃあ先生、毎年純増、生徒が増え続けるなんてこと、ありっこないですよ、
減って当たり前なんです。それまでの子どもたちが大きくなっていくわけですから」

つまり、公文教育研究会というのは、はじめから、
インストラクター時に公文側が投資した経費にある程度の利益がのって戻ってくれば、
例えば百万かけたとして、教科数が五十程度で三年も続けば三百万ほどのロイヤルティが入るので差し引き二百万にはなるので、
そういう教室をたくさん作ればいい、だから、
個々の教室経営者が投資している分の費用については捨ててオーケーだと考えているわけです。
指導者たちだって収入ゼロってわけではないでしょ・・・・と。
そこが、サラーマンと経営者の違いというもので、費やした費用の回収がすまないうちは、
稼ぎじゃないということがわからない、
一年目、二年目の労働対価はみな費用に回っているということが・・・・・
本当に、ほんとうに、げんなりしました。


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1 コメント

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Unknown (わんわん)
2011-05-25 14:39:22
まったく同じ経験をいたしました現15年目の指導者です。もちろん私の力不足でしょうが、今も生徒数の回復ができておりません。

順調だったころ、口コミ等で十分な入会が見込めそうだと、チラシをストップいたしました。

当時の担当が何度も「チラシを入れてください」と電話がありましたが…。

そうこうしていると1年もたつころに学校前に新教室が。

「公文の指導者」というところからこのブログに行き着き、うなずきながらパソコンの前で夢中になって時間を過ごしています。

ボーダーラインの中学生に対するテスト対策や教材に対する不足感。
こちらもとても共感しております。

ずっと悩んできたこと、誰かに聞きたくても聞けなかったこと、その多くの答えがこちらにありました。

ありがとうございます。
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