愛とは 何だったのか
夫婦も 長くなると
空気のようなものだという
無味無臭の空気
温度もあれば 風もある
味もある 香りもある
温くて やさしい風の中で
晩年を過ごせたらと思う
血は水よりも濃いというが
ボクはそうは思わない
血は時として憎しみをも生む
ドロドロした生臭い血は
修復しがたい
ボクの口ぐせ
「最後は、親子より夫婦だよ・・・」
1960年代
高校から結婚までの時代
学業と音楽に勤しみ 家出も経験した
希望に燃えて 青春まっしぐらだった
1970年代
波瀾万丈の人生を 否が応にも経験する
結婚から墓場のことまで 人の一生を
わずか4年でやってしまった
ボクの一生で 一番人間的で 一番感動的な時代だった
1980年代
ボクが初めて死を考えた時代
あのとき もし自殺していたら
今のボクは存在しないし
おふくろも息子も 地獄を味わったことだろう
死ななくてよかった
1990年代
平成の時代になって変わった
独身よさらば 寡暮らしよさらば
再婚してよかったと つくづく思う
年をとって 一人でいたらと思うと
ゾッとする
2000年代
息子たちも結婚し
それぞれ女男二人の子供が出来た
家族全員健康で 怖いくらい幸せ
夫婦二人っきりの家に
ハチがやってきたのは
おふくろが亡くなった翌年
まるでおふくろの 生まれ変わりのよう・・・
ハチは孝行息子で 夫婦の鎹
家族の鎹になっている
2010年代
大不況を機に
カネとモノに対する意識が変わり
世界の人々が 日本の人々が
真に人間らしく 生きていくことを願う
夫婦は夫婦らしく お互いを労い
親子は親子らしく お互いを敬い
学校でも、職場でも、地域社会でも
お互い貶むことなく 共に助け合い
共に向上していくことを願う
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