郷里浜松に帰省していたとき、友人のU君から勧められ借りていた「蜜蜂と遠雷」を読み終えた。
「蜜蜂と遠雷」は、2017年(平成29年)の第156回直木賞、第14回本屋大賞受賞作。直木賞と本屋大賞のダブル受賞ならびに同じ作家2度目の本屋大賞受賞は、史上初だそうである。また第5回ブクログ大賞でも小説部門大賞を受賞している。
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクールを舞台に、人間の音楽才能と運命などを書いた青春群像小説の長編。音楽家でもないのによくここまで描き切ったと思う感動の傑作。
小説の舞台は明らかに私の故郷浜松に間違いないと思う。芳ケ江市は企業城下町という表現をしていること、浜松は楽器、オートバイなど工業の盛んな都市で、特にヤマハ、ホンダ、スズキの名前は有名。そして、浜松駅に隣接するアクトタワーの音楽ホールが、コンクール会場として登場しているのも浜松人ならすぐにわかる。
この小説では、第6回浜松国際ピアノコンクールのことを描いており、「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあるらしい。
主な登場人物は、養蜂家の父と転々とした生活でピアノを持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しながら、13歳のとき母が突然死して以来、長い間ピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。そのほか数多くの天才たちが登場する。
第1次から3次予選そして本選を勝ち抜いてゆくも、壮絶な音楽家としての闘い。優勝するのは誰なのか、息をのむ展開がすばらしく一気読みしたくなるが、A5単行本で上下2段びっしり、507ページも印刷された長編小説を読むのに苦労した。
クラシック音楽に詳しい訳ではないが、高校時代吹奏楽部で演奏経験があるし、レコードやCDで聴くこともあった。昭和40年にアマチュアビッグバンド「楽団ジェリーメン」を立ち上げた当時、トロンボーンを吹いていたこともあって、音楽そのものには興味があった。この小説のような高度な音楽家のことではなくとも、久々に人と楽器の関わりを味わえた気がする。
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