ハチの家文学館

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トランペットとピアノのコンサート

2011年06月25日 19時52分07秒 | ハチパパのひとり言

 

仏像写真集を見るために、時々通っている地区センターがある。そこで今日、プロのトランペット奏者の演奏会があるのを知って行ってきた。

タイトルは「クラシックコンサートと音楽アラカルト」 大震災復興支援事業として 祈り・がんばろう日本!

地元横浜市泉区在住の国際的ピアニスト丹生谷佳惠(にゅうのやかえ)さんが、仙台フィルハーモニー管弦楽団のトランペット奏者戸田博美さんと組んで、ショートプログラムのクラシックを演奏してくれた。

戸田さんのトランペットは、やわらかく歯切れのいい、透き通るような音色で、ジャズとは違った正統派的な演奏がよかった。そして、丹生谷さんの軽妙かつ博識なコメントにもつい感心してしまったり、ピアノ演奏も素晴らしく、この泉区に国際的なピアニストがいらっしゃることは、区民としても誇りに思ったりした。近場の小ホールで地道な演奏会を続けていることにも感動しきりである。

プログラムの前半は、シューベルト「冬の旅」より、あふるる涙・春の夢・あらしの朝、幻覚、勇気の五つと、同じくシューベルトの「ます」他。戸田さんは、仙台で津波には遭わなかったものの、電気・ガス・水道が止まり、水と食料を得るのに、それぞれ3時間も牛歩の如く並んだりして辛かったそうだ。

ラジオのニュースで気仙沼などが津波でおし流され、炎上していると聞かされて涙が止まらなかったそうだ。電気がついたとき、テレビで災害の甚大さを知って驚愕したという。

あふれる涙を抑え、雪が舞い散る寒い日、水を求めて並んでいてほんの少し陽を浴びたとき、春を想像したといい、こんなことがあっていいのかと怒り、幻覚であってほしいと願い、私はトランペット奏者、いつまでも下をみて怠けてばかりいられない。前を向いて、勇気を出してがんばろうと思ったという。「冬の旅」から選んだ五つのフレーズには、その時の思いが込められているという。

後半はバッハの「主よ人の望みの喜びよ」、クロード・ミッシェル・シェーンベルクの「レミゼラブル」より民衆の歌声が聞こえるか?、ウエッバーのメモリー「キャッツ」、ファインの「慕情」を演奏。

「キャッツ」と「慕情」は私も知っている曲で、私が二十代のころ、トランペットで演奏した記憶がある。そのトランペットも今は屋根裏部屋にしまったままで、もう音も出ないかもしれない。「慕情」といえば、三十数年も前に行った香港南海岸・淺水湾を思い出す。映画「慕情」の舞台になったところである。

クラシック、ポピュラーを問わず音楽はいい。こうして昔懐かしいトランペットを、プロの演奏で聴けて、鳥肌の立つ思いがした。これからもこういう小さなコンサートに出かけて、つかの間の追憶のこころ旅に出てみたいと思う。 

ちなみに、アンコールは坂本九さんがミュージカルで唄った「見上げてごらん夜の星を」だった。そして、小さな音楽会とはいえ、約70名の聴衆から激励と称賛の拍手がやまなかった。入場料は大震災の支援に使われるとのことで、これからも間接的に大震災の援助もしていきたいと思う。



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