古き一冊の本「啄木詩歌集」を捲る。定価百五〇円。60年前の1960年(昭和35年)初版発行、1965年(昭和40年)重版発行。表紙の裏に「ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな 啄木」と記されている。
1910年に刊行された啄木の第一歌集「一握の砂」から『我を愛する歌』ほか、五七五七七の短歌が並ぶ。高齢者の誰もが一度は耳にしたことのある有名な歌で始まる。
東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹とたわむる
頬につとう
なみだのごわず
一握の砂を示しし人を忘れず
啄木の歌は哀愁があって心に響く。とくに「一握の砂」は、三行詩のような言葉のリズムで、延々と詠われていても飽きないし興味が尽きない。
かにかくに
渋民村は恋しかり
おもいでの山おもいでの川
わがために
なやめる魂をしずめよと
讃美歌うたう人ありきかな
こころよく
春のねむりをむさぼれる
目にやわらかき庭の草かな
啄木の短歌などを詠んでいると、ふるさとを、若かりし頃を思い出す。詩とか短歌はその年齢その時に書かないと、今更思い出してもリアルな気持ちで書けるものではない。
私が初めて詩を書いたのは小学校5年生の時、担任のY先生が終業式の日、クラス全員に配ったノートにその詩を印刷して配ってくれた。
遠い少年だった日々
ボクは感傷的だった
小学校5年生のとき
初めて詩を書いた
ネギを切っていたら
目から涙が出てきた
切っても切っても
涙がとまらない・・・
このあとつづくが覚えていない
母親が家出していた頃だった
ボクは感傷的だった
小学校5年生のとき
初めて詩を書いた
ネギを切っていたら
目から涙が出てきた
切っても切っても
涙がとまらない・・・
このあとつづくが覚えていない
母親が家出していた頃だった
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