ハチの家文学館

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一期一会

2013年04月12日 06時10分17秒 | ハチパパのひとり言

      横浜スタジアムのある横浜公園を彩るチューリップ

今日は午後から家事調停協会の総会・懇親会があることと、その前に遺産分割調停の事前チェックもしたくて11時ごろ自宅を出た。

地下鉄乗車駅で、旧知のAさんとバッタリ出会った。Aさんは元公務員であるがダンスと書の達人で、これからお年寄りたちの写経指導に向かうところだった。写経というと、下地に書かれた経文をなぞることしか頭になかったが、無地の紙に整然と筆を運ぶのは難しい。我が家にも、34年前母方の伯父が70歳のときに書いてくれた、般若心経の大きな額が掲げられている。

関内駅で下車、時間にゆとりもあり、持参したカミサン手作りのサンドイッチを横浜公園で食べることにした。咲き誇るチューリップ見たさに、老若男女の人で賑わっている。横浜スタジアムの前を通り過ぎて、日本庭園の二人掛けのベンチに腰をかける。

隣には同年齢と思われる白髪のご婦人がおられたが、私とほぼ同時に昼食のホットドッグをバッグから取り出し、一緒に食べる格好になった。私が「お近くですか?」と尋ねると、「地下鉄の立場です」と言う。私の乗車駅の一つ手前の駅である。彼女は「あら!」という顔をされて、しばらく駅周辺のよもやま話が弾む。

私が今の家を買ったのは昭和46年、彼女は昭和49年でほぼ同時期である。当時は横浜のチベットと言われるほど劣悪な道路・交通環境で、勿論地下鉄もなく長後街道も今の半分の広さだった。唯一の交通機関はバスであるが、朝の大渋滞に巻き込まれて途中下車、戸塚駅まで歩く人が多かった。

年寄りの定番で子供や孫の話にもなったが、彼女は30年前にご主人を病気で亡くされ、二人の子供を女手ひとつで育てたとのこと、今はパート勤めをしながら自宅で独居生活をしているという。長男家族がすぐ近くに住んでおり、ちょくちょく訪ねてきて寂しくはないというが、老後の不安はないわけではないとおっしゃっていた。そのとき「親子は一世、夫婦は二世」の言葉がすぐ浮かんだ。下の世話も親子より夫婦の方が遠慮せずに出来るなどと言うこともお互い意見が一致した。

自宅を出てから雨雲が西の方から迫っていたが、ぱらりと降り始めたので席を立つことにした。互いに名乗ることはなく、去り際ご婦人に40年ほど前にカミサンを亡くし、子供が二人いて母親に育ててもらったこと、20年ほど前に再婚したことをお話しした。一期一会のほんのひとときであったが、近くに住む方で同じような境遇の人と会えて、いまの倖せを互いに噛みしめることが出来た。25/4/11

 

 



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