メンデ・ナーゼル著
ダミアン・ルイス著
真喜志 順子訳
ソニーマガジンズ刊
★★★
ネタばれ注意
スーダンのヌバ山地で平和に暮らす、
先住民(少数民族)ヌバ族の12歳の
少女、メンデを襲った過酷な運命。
メンデが自由を手にするまでの半生の記録。
「荷造りをしたりして、見つかるんじゃないぞ。
体ひとつで逃げるんだ。」
と言う、救出してくれたヌバ族のバボの
言葉が印象的でした。
洗濯機・掃除機のある家に、奴隷は
必要でしょうか。
世界中が、ミレニアムにわいた年の
9月11日・・・
メンデは、イギリスの路上で
自由の身になりました。
メンデは、温かい家庭の
理解ある両親の元で、育ちました。
ヌバ山地で過ごした、子供の頃の豊かな
思い出も、多く語られています。
ヌバ族の慣習や暮らしぶりも、
生き生きと描かれています。
ある日、村が、ムジャヒディンによって
焼き討ちされ、(事実上の奴隷狩り)
逃げ惑う牛の群れに遮られて、
父親と離ればなれになった
メンデは囚われの身に・・・。
ハルツームのラハブの家で、
アブダとしての暮らしがはじまりました。
ヌバ族の村から、ハルツームまでは、
車で、一昼夜程の距離ですが・・・
ロバしかもたない、ヌバの人々にとっては
どんなに遠い事でしょう。
ハルツームから、ラハブの実妹ハナン
の家(ロンドン)に移されたメンデは、
孤独を深めます・・・。
個人的にも、ハナンよりもラハブの
方が好感が持てました。
本書からは「ルーツ」の様な憎悪を
感じないのは何故でしょうか・・・。
あれだけの事があったにも係わらず
メンデの家族は、奇跡的に全員無事でした。
美しく成長したメンデは、
2002年12月にイギリスに亡命し
難民として永住権を得ました。
現在(20代)幼い頃の夢を叶えて、
医師になる勉強をしています。
依然として、今も多くの子供達が
アラブ人の奴隷として囚われている
事もまた、事実です。
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