「ら抜きの殺意」は永井愛がテアトルエコーの為に書き下ろした戯曲で
1997年、芸術選奨文部大臣新人賞、第1回鶴屋南北戯曲賞を受賞した
作品である。
当日のパンフから内容をご紹介すると……
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【とある事情で、昼夜働かなければならなくなった海老名俊彦。
駅前で、まかれていたビラに誘われて「ウェルネス堀田」という通販会社
を訪れる。夜の部の電話オペレーターが欲しいのだという。
社長は時給の安い男を歓迎するがSVの伴は女の子でないと絶対ダメと
対立する。おばんやおじんの声で物が売れるか、という訳だ。
すったもんだの挙句、社長の決定で採用されるがSV伴は反感を隠さない。
さて翌日より顧客からの電話対応のアルバイトが始まるのだが、周りの
連中の言葉遣いが、海老名の神経を逆なでする。隠してはいるが、彼は
区立の中学校の国語の教員、しかも生粋の東京人。
地方人の「ら抜き」言葉や、若者の敬語の誤りが気になって、いちいち
訂正を試みるものだから、周りの者に好かれるはずがない。
(言葉なんて時代とともに変化するものだ)とうそぶいていられないのが
このことばのドンキホーテ、海老名俊彦。
周囲と抱腹絶倒の格闘を続けながら彼は一体どこへいくのか。
まずは見てのお楽しみです。】
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とまあ、こんな内容なんですがね、「殺意」とは言っても暴力的なこと
は全く無いんです、「殺意を抱くほどの」って言う意味なんですね。
演劇センター'90の感想は後述するとして先に書きたかったのは当日
の公演会場である「薫的座」が遂に建て替えられると言う話なんですよ。
床はご覧のように「畳」です。これにこのように↓座布団を敷いて
靴はビニール袋に入れて各自手元に置きます。
開演30分前にはこんなだった客席が……
19:00の開演時には三々五々集まった観客で一分の隙間も無い位の
満員御礼状態。詰め詰めで100人位でしょうか、私の後ろにも観客が
おいでますので撮影は控えめにさせて頂きました。
でね「劇の出来は」と言いますと、これが思った以上に皆さん「芸達者」な
んですねえ、感心しましたです。アマチュアと言っても「役者」ですから
しゃべりは「おてのもの」なんでしょうけど、この作品はとても骨が折れた
と思いますよ、なんせ「言葉のバトル」ですから。
松田昭彦(海老名俊彦役)さんの滑舌のすばらしいこと、山北美砂子(遠
部その子役)さんの携帯電話3本使い分けもお見事「って言うかァ」が未
だ耳元に残ってます(笑)谷山圭一郎(伴篤男役)さんの愛情溢れる熱演
も秀逸。遠くて解らなかったですが、門田麻希(宇藤樹里役)さんってお
綺麗なんですねえ、今度は近くで拝見させて頂きます。
ともかく、抱腹絶倒、最後の拍手はお付き合いで無く、皆さん心からの気
持ちの現れと思います、私はアンコールの気持ちも込めてましたがネエ
演劇でアンコールは無いわ(笑)
来年の「新・薫的座」落慶法要、いや落成記念公演には是非脚を運びたい
と思いますので「おでんちゃん」キップ宜しく。
と言う事ですので高知の演劇ファンの皆様はお正月には是非、薫的様
に初詣して頂き「お賽銭」を張り込んで頂きますよう御願い致します。
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作品:「ら抜きの殺意」
作者:永井愛
演出:帆足寿夫
劇団:演劇センター'90
公演:洞ヶ島町薫的神社内「薫的座」
所在:高知県高知市洞ヶ島町5-7(Yahoo!地図)
永井愛さんといえば、彼女の書いた本で今年NHKのドラマでも放送した「こんにちは、母さん」。加藤治子と平田満が演じた親子がまさに本物の親子みたく、月並みな言葉でしか言えませんがとても素晴らしいドラマでした。
演劇鑑賞は20代の一時期、市民劇場の会員として吉田日出子の「上海バンスキング」(1979)等を楽しんでおりましたが全体主義で決められる演目と反りが合わず、脚が遠ざかっていました。
齢を重ねるに従ってまた此方の方面にも感心を持っていきたいと思っていますが地方ではなかなかハンデが有りますので・・・
永井愛、二兎社、今後とも注目です。
http://www.performingarts.jp/J/art_interview/0601/1.html
お伝チャンは自分からなかなかコメント書いてくれはりませんからねえ。永井愛女史には興味を持ったようですが。
「演劇センター'90」の活動趣旨には敬服いたします今後も応援させて頂きます。グルメブログですがあながち無関係では無いのですよ。今後「らっきょう抜きの殺意」とか「福神漬け抜きのオムライス」とか書かせて頂くこともあるかと思いますので(笑)
あっ、「はりまやSTORY」も参考にさせて頂いております。そんな次第で今後とも宜しく。