朝日記150415 「次の満月の夜には」(相川啓太)と今日の絵
みなさんおはようございます。
徒然こと 「次の満月の夜には」(相川啓太)と今日の絵
唐突に 説明もなく、keywordsをならべ失礼します。
二酸化炭素、 サンゴ。 ポリプ(コンクリート集合住宅)、 刺胞動物、 褐藻菌 、 炭酸カルシウム、 炭素10の-3%量、 カルシウム10の0乗%量、 遺伝子操作、 サンゴ変異体、 タンパク質合成抑制酵素、 海水・大気溶存化学平衡、 大気中二酸化炭素成分減少、 光合成資源不足、 アカオニオオヒトデが救世主、? ・・・・
これは、第二回日経「星新一賞グランプリ作品「次の満月の夜には」 相川啓太 日経広告2015/3/25掲載からのものです。感ずるところがあってスクラップでのこしておいたものです。 きのうは雨でもあり、ちょうどTシャツ制作作業も一段落し手が空いたのでこれを手にとりました。字数でA4 10枚程度の短編です。そのなかのkeywordsをひろったのが上のものです。
(つくし野セントラルパークの桜)
*サンゴというのは炭酸カルシウムの小胞体の集合構造(ポリプ)です。このコンクリート体を主役の微小生物体が増殖過程で形成する。この形成の速度となるのは 細胞内の酵素反応速度と小胞体ポリプの表面形態らしい。これをなんらかの方法で手をくわえるとポリプが増産されると考えた。微生物のDNA解読と操作でサンゴ変異体を発明できた。これによってサンゴの海が復活した。ところが その増殖の勢いがついてしまって、結局 大気中の二酸化炭素までも稀薄にしてしまったというものです。サンゴは個液平衡で液中に炭酸はのこるが、気液平衡に比し、平衡移動速度としては遅く、その意味で、炭素の固定化意味します。
この小説では、あの憎いアカオニヒトデがサンゴを食べ、炭酸カルシウムを分解してくれる救世主というところで一見めでたしです。ところが・・・と、最後の落ちがありますが・・・。だいたいこういう筋です。カルシウムは海水に10の0乗%オーダー、炭素は10の-2%オーダーでしかも地球の表面近傍にあるようです。
*これまで個人的な傾向としてSFにはほとんど関心を示してきませんでした。昨年のSTAP細胞なども弱酸性溶液、振動操作でできるなど、 それだけの記述としては、レモンをたべて縄跳びするとできちゃうんだということで、さてこれはどんな社会的なインパクトがあるかを思いめぐらしたこともありました。
今回のこの作者の相川さんは かなりしっかりした科学知識の素養のもとに、ひとつの仮想実験をしていると理解して敬服します。
(小保方さんと比較しているわけではありません。念のため)
*ポリプの空間サイズ、形態がサンゴ生成のための律速(支配する反応過程)とすると、ゼオライト触媒のような立体構造の分子設計を行わせるような遺伝子操作も発想としてはでてきます。(ゼオライトは福島の放射性元素の除去でも着目されました。その後は調べていません)
*話はとびます。ネットでスタンフォード大学のMuseum of Philosophyというのにつきあっています。ここでの記述はしっかりしていて、ピアによって定期的に見直されています。ここで 認識論(Epistemic)と目的論(Objectivity)というkeywordsで検索します。 そのものはでてきませんでしたが、Scientific Objectivity(科学的目的性)という項目にはいりました。特にObjectivityを日本語では如何に訳すかにいまでも思案していますが、とりあえず目的性(客観性)と併記しています。
*なぜそうなったかは、弓矢と標的の関係で標的に当てたいという価値意識(目的性)とその存在を如何に認識(客観性)するかという思弁と経験とが裏表ではり付いているような概念であるように思えたからです。
*これはこれとして、哲学の世界でも科学の目的性として 普遍的認識目的と、実用的効用目的が併存して意味してきたことを解説しています。 特に20世紀は後者が前者を圧倒してきたとし、前者は実質的に形骸化されてきたこと。 その陥穽が地球環境問題として、高い次元での叡智への空白になって現れているというものです。 ここでは、パラダイム転換の哲学者トーマス・クーンやファイアアーベントが注目されていました。
*話はながくなりましたが、そんなことで科学技術の進歩に対してのObjectivityにすくなからず関心があったところ 考え抜かれた思考のSFのもつ意味に気が付いたとも言えます。ギリシャ時代の哲人が、世界のなりたちやあり方について形而上学(第一哲学)をもってして、第一級の神話を創ったことも思いをいたします。
以上です。
(介護予防月間ポスター応募作品1)
以上
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