ボロボロのキャラバンの後部座席に乗って揺られる。
あたりの雰囲気を見る。
マジか。
田舎すぎる。
そうぞうしていたより田舎だ。
嬬恋村は社会の教科書の中でしか知らなかった。
ぐるぐる道を登ってゆくと、なにやらきれいな有料道路に出た。
浅間山がすぐそこに見える。雄大だ。
そんなことより、まだ?
運転している大男に話しかける勇気もなく、ただじっとしていた。
大男は何も話しかけてこない。
いよいよそれらしき敷地内に入った。
まて!
郵便局とか銀行とか・・・ない。
手持ちの金は親から餞別でもらった5万円だけだ。
勇気をだして聞いてみた
「あの、お金はどこでおろせばよいのでしょうか?」
大男は答えてくれた
「あー、この辺にはないから、村までいかないとね」
やっぱし・・・・
がっくし・・・・・
ってことは、今きたところだ。
車で20から30分はかかる。
車を持ってないから、無理だ・・・・
どうしよう・・・
なんとかこのお金でやっていくしかない。
そうこうしているうちに「プレイランド」についた。
大男が言った。
「明日、8時に朝礼があるからここのに来てね」
「はい」
そして、車は「総務」がある別の建物へ向かった。
「総務」で大男が下りて言った
「君は車でまってて」
「はい」
大男が総務で受け入れをしてくれたのだった。
ここでカギをもらってきて、また別の建物へ案内された。
「はい、到着。ここが君の寮ね。あとは管理人さんに聞いて。それじゃ」
と言い残し大男は去って行った。
忘れもしない。
そこには「ヤングロッジ」と書かれた小汚い看板。
中へ入ると片言の日本語の管理人さんに部屋に通された。
廊下は饐えたにおいがした。「刑務所」とか「留置所」とか入ったことはないが、こんな感じなんだろうと想像した。
泣きそうだった・・・・
すぐにでも帰りたかった。
初夏の午後3時
部屋に案内されたがそこには人が住んでる気配があった。つまり相部屋だ。
二段ベットが一台。そこの下の部分が空白になっていた。
いったん落ち着くと、思い出した。
東京から洋服やら生活道具を詰めた段ボールを3箱おくってある。
再び玄関の管理人さんのところに行って確認すると、無事に届いていた。
こんな場所に荷物が届いていることに感動した。
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