皆さん、こんにちは。冨岡剛です。
今回は春休みを利用して、妻と孫を連れて奄美大島へ旅行してきました。日常から離れ、南国の豊かな自然に触れることで、自分の中にも新しい風を吹き込みたかったんです。
美しい海との出会い
奄美空港に降り立った瞬間、湿った空気と独特の香りが僕たちを出迎えてくれました。レンタカーで向かった最初の場所は、大浜海浜公園。エメラルドグリーンの海を目の前にして、孫の顔が輝きます。
「じいじ、早く泳ごう!」
その言葉に背中を押され、僕も砂浜へ。ところが妻は...
「私はここで見てるから、行っておいで! 日焼けしたくないの」
大きな日傘と長袖、サングラスで完全武装した妻は、ビーチパラソルの下から動く気配がありません。「何をしに来たんだ」と言いたくなりましたが、そんな妻の姿を見て孫たちと笑いました。
「ばあばは、いつもそう?」 「ああ、昔から変わらないよ。」
海の中に入ると、透明度の高さに驚きました。足元には色とりどりの魚たち。孫と手をつなぎながら泳ぐ時間は、何物にも代えがたい幸せです。歳を重ねると、こういう瞬間がより愛おしく感じられるようになるものですね。
マングローブの森と内省の時間
次の日は、奄美大島の特徴である住用のマングローブ林へ。カヌーツアーに参加し、原生林の中をゆっくりと進みました。ここでも妻は「虫が怖い」と言って最初は躊躇していましたが、ガイドさんの丁寧な説明に心を開き、最終的には一番熱心に質問していたのが印象的でした。
「怖がりだけど、好奇心旺盛なのは変わらないな」と、長年連れ添った妻の新たな一面を発見できたことも、旅の収穫です。
マングローブの根が水中と地上を繋ぐ様子を見ながら、自分自身のルーツについて考えました。孫に何を伝えられるだろうか。何を残せるだろうか。静かに流れる水面に映る自分の姿を見つめながら、そんなことを考えていました。
孫は驚くほど観察力が鋭く、「じいじ、あそこに小さなカニがいるよ!」と、僕が気づかないものを見つけては教えてくれます。教えるつもりが、教えられることの方が多い—これも歳を重ねる喜びの一つかもしれません。
アマミノクロウサギとの邂逅
夜は、島の特別天然記念物であるアマミノクロウサギを見るためのナイトツアーへ。このツアーだけは、さすがに妻も興味を示し、普段は早く寝る彼女が夜10時まで起きていることに孫は驚いていました。
「ばあばが夜更かしするなんて、珍しい!」 「特別なことには挑戦するのよ」
そんな会話をしながら、ヘッドライトを装着して暗い森の中へ。ガイドさんの説明によると、アマミノクロウサギは2000万年以上前から姿を変えずに生き続けている「生きた化石」なのだそう。
幸運にも、僕たちは二度もアマミノクロウサギと遭遇することができました。その姿を見た時の孫の目の輝きは、きっと彼女の記憶に残るでしょう。自然の神秘と向き合うことで、人間の小ささと、同時に生命の素晴らしさを感じることができました。
島の食文化に触れる
奄美の旅で忘れられないのは、島の食文化です。鶏飯や油そうめん、島とうふに黒糖焼酎。どれも素朴ながら、島の風土が凝縮された味わいでした。
面白かったのは、辛い物が苦手な妻が、「これくらいなら大丈夫」と言って食べた鶏飯の薬味が効きすぎて、慌てて水を飲む姿。
「言ったでしょ、島の料理は辛いって」 「でも美味しそうだったんだもの...」
そんな会話を聞いて、孫は大笑い。こういう何気ないやりとりも、旅の思い出として心に残るものです。
旅を終えて
奄美大島での時間は、孫との絆を深めるだけでなく、自分自身と向き合う機会にもなりました。歳を重ねるごとに、次の世代に何を伝えるべきかを考えるようになる。それは責任であると同時に、喜びでもあります。
妻は最終日まで日焼け対策を怠らず、「せっかく来たのに、もったいない」と僕が言うと、「私は景色を楽しめばいいの。あなたたちが泳いでいる姿を見るのが好き」と微笑みました。それぞれの楽しみ方があって、それを尊重し合えるのも、長い時間を共有してきたからこそかもしれません。
孫が「また来ようね、じいじ、ばあば」と言ってくれた言葉を胸に、僕たちは奄美を後にしました。
「年を重ねるということは、視界が狭まることではなく、むしろ見える景色が広がること」
そんなことを感じさせてくれた奄美大島の旅でした。皆さんも、大切な人と共に過ごす時間を、ぜひ大切にしてください。
冨岡剛
