日々の寝言~Daily Nonsense~

Beethoven - Symphony No 6 in F major, Op 68 - Celibidache

Beethoven - Symphony No 6 in F major, Op 68 - Celibidache


この「田園」の演奏は、録音ではあるが、
ひとつ前のエントリーに書いたことを
かなり感じさせてくれる。

以前にも書いたが、
音の織物、音の伽藍としての音楽。

ひとつひとつの音がしっかりと聴こえて、
お互いに響きあい、関係しあう。

ベートーヴェンもおそらく
想像しなかっただろうような。

音たちが作る田園を見守る造物主
になったような不思議な感情を感じて、
心が穏やかに鎮まってゆく。

どうしてこんなことができるのだろう?
と聴くたびに思わせられる。

この録音と近い時期に、ドイツのボンで
この曲のライブを聴いたことがある。

録音で聴くと、ちょっと遅すぎて
間延びしているようにも感じられるのだが、
ライブでは、ホールの空間全体が
「音楽」というか、今まで見たことも
聴いたこともないもので満たされて、
まったく違う世界が現出するのだ。

それは、「音楽」についての認識を
圧倒的に拡げる経験だった。

未だに、終局後の呆然とした
気持ちも含めて、よく憶えている。

そして、この CD を聴くたびに、
録音の限界を強く感じる。

それは、演劇の舞台を
テレビの枠の中で見るのに近い。

それでも、記憶を呼び戻すための
糸口として、録音は貴重だし、
泣きそうに美しい瞬間も
たくさんあるのだが。
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