日々の寝言~Daily Nonsense~

森博嗣「すべてがFになる」

「スカイ・クロラ」シリーズで
森博嗣さんに興味を持ったので、
本業?のミステリーも読んでみた。

まずはデビュー作の
「すべてがFになる」。

「スカイ・クロラ」ほどではないが、
面白く、一気に読めた。

こちらは、ちゃんと謎が解かれている。

それでも、瀬名秀明さんが解説に書いてあるように、
いろいろな意味で、読者の「常識」
を揺さぶる感じがある作品だった。

自分の普段の思考の「盲点」に
気づかせれてくれるような?

小説(現実)の中に謎は存在しない。
読者の(が解釈する)リアリティの中にこそ
謎が存在する。(瀬名さんの解説に補足)

ミステリーなんてみんなそういうもの、
ではあるのだが、本作では、特に、
動機の部分がなんともぶっ飛んでいた。

読者の思考パターンをなぞるような小説
(水戸黄門的な、読んでいて安心な小説)と
読者の思考パターンを覆すような小説と。

どちらがどうということはないし、
良い作品には両方の要素が必要だと思うが、
どちらが強いか、というのは
ひとつの面白い尺度かもしれない。

初期の作品ということもあり、
ディテールの記述などがちょっと生硬で冗長なのだが、
読みにくいというほどではない。
ミステリーとしては許容範囲だろう。

それにしても多作だなぁ・・・
すさまじい創造力だ。

日本人は「混ざる」が、
欧米人は join (つながる)する、
という犀川先生の言葉が印象に残った。
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