見田宗介さんのインタビューと、
それを踏まえた小論から構成されている本で、
なんと、KIndle Unlimited で読める。
柄谷さんは「畏怖する人間」以来のファンだし、
見田さんも「気流の鳴る音」「時間の比較社会学」、
それから、宮沢賢治論などを読んでいるので、
どちらのインタビューもとても面白く読んだ。
柄谷さんも、見田さんも、
「人間とは何か?、どう生きてきたか?
どう生きるべきか?」という問題について
思考しているのだが、
そのアプローチは、
柄谷さんは、客観化できない「私」に
内在する虚無、のようなものを見ていて、
一方の見田さんは、近代的自己で顕現した
「エゴイズム」と「ニヒリズム」の問題について
できるだけ合理的に語り、
乗り越えてゆこうとする、
ということで、対照的な印象があった。
喩えて言えば、
見田さんは前期ヴィトゲンシュタインのように
語りえることだけを語ろうとしてきて、
柄谷さんは後期ヴィトゲンシュタインのように
語りえぬことに迫ろうとしていた。
しかし、柄谷さんが、
交換様式論について語るときには、
二人の言葉はかなり近づいている
という感じもする。
インタビューのポイントごとに
大澤さんの解説がついているので、
柄谷さん、見田さんの入門書として適しているが、
お二人の仕事を振り返るためにも便利だ。
そして、巻末にある大澤さんによるまとめ、
二人の描き出す社会構造を
交響させようとする試みも面白い。
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