「浮世の画家」の 8K ドラマが放送されていた。
渡辺謙さんが主演。
長女の役は広末さん。
1.5時間という枠だし、
モノローグの映像化だし、どうなるのだろう?
と思ったが、よくまとまっていたと思う。
渡辺謙さんの演技は素晴らしかったが、
人間としてのベースの印象が賢すぎるので、
もうちょっと普通な、というか、
まじめに考えて、時流に乗ってしまうような
雰囲気がある人だと良かったような・・・
イシグロさんが原作を書いたときは、
笠智衆さんをイメージしていた、
というようなことを、宣伝番組の
インタビューで話していたような気がする。
でも、笠さんだと、ちょっと柔らか過ぎる?
(晩年しか知らないので)
シリアスでコミカルという線なので、
なかなか他の人というのも難しいかなぁ。
* * *
以下、ネタバレあり
普通のデジタルテレビで見たが、
8Kを謳うだけに、画面はとてもきれい。
紅葉のお寺の庭など、そのために仕込んだ?
景色、シーンが、印象的だった。
今回、新たに制作を依頼したという
3枚の絵も、効果的に使われていたと思う。
静かなエロス、戦意高揚のエロス、を経て、
謎めいた日常(世の中のことは見かけより複雑なんだよ)
に回帰する「浮き世」をそれぞれ象徴していたように思う。
絵を焼くシーンやそのときの焦げ臭い匂い
を軸にして、主人公の
・子供時代のエピソード(親に絵を焼かれた)
・弟子時代のエピソード(師匠と袂を分かった)
・弟子との対立のエピソード
・戦後のエピソード(戦争画を焼いた)
をつないでゆくという工夫は、
原作には無かったのではないかなぁ?
節子の「そんなこと言っていない」
というところは、原作を読んでいないと、
さすがに唐突だったのではないだろうか?
「信念に従って、一生懸命に生き」で、
その結果として、浮世の流れに翻弄され、
それでも、なんとか自我、尊厳を保って生きようとする、
そうした人間の普遍的な姿を描くことが
原作の主たる意図なわけだが、
もともと、表面的な感情の起伏や
イベントの少ない地味な内容だし、
原作を読んでいないとどう見えたのかも、
ちょっと興味深い。
もう一度、心をできるだけ白紙にして、
ゆっくり見直してみたい。
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