といっても別に時間が無かったというわけではなくて、
なんとなくその気にならなかっただけだが。
受賞二作についての感想としては、
選奨委員のもの以上のものは特に無い。
どちらもそれなりには楽しめたし、
読後の印象もそれなりに残ったが、
自分にぴったりという感じでもないし、
別の作品を読んでみたい、という感じも
今のところはしない。
まあ当然だ。
田中慎也さんの「共喰い」は、
いかにも書き慣れた人の作品という印象で、
安心して読めるのだが、その分、ワクワク感は小さい。
いちいちうまいなぁとは思うのだが、
どうもやられた感がないというか・・・
一方、円城さんの「道化師の蝶」は、
人間の頭に宿る「着想」、「アイデア」とそれを捕える網
をめぐる奇譚として面白く読めたが、確かに読みにくい。
何度もページをめくり返して、
途中で二度ほど眠りそうになったが
なんとか耐えた。
メタフィクションや奇譚は嫌いではなくて、
竹本健治さんの作品や光瀬龍さんの作品などは昔愛読したし、
ボルヘスやカルヴィーノ、金井美恵子さんの作品なんかもかなり好きなのだが、
これはもう少し壊れている、というか、さらにまとまりが無いような印象。
ここまで壊れると、いっそ抽象画を見ているような爽やかさがあって、
それはそれで気持ち良いのだが、でも同じ著者の別の作品を読んでみたいか、
と言われると・・・
眼高手低という評があったが、この
カオス的遍歴のような状態をわざと作りだしているとすれば、
手低ということはないと思う。
ただ、田中さんの作品もそうなのだが、
なんというか、著者の基本的なスタイルというか、
そういうものに共鳴できなかった。
単に肌が合わないだけかもしれないし、
単にこちらが年を取ったせいかもしれないが・・・
ところで、選者については、
最年長?の黒井さんが今年で退任、
石原さんも辞任、村上龍さんは今年欠席、
池澤さんも少し前に辞任?
元気なのは、山田さん、川上さん、小川さん、
高樹さん、島田さん、という感じだろうか。
誰が後任になるのかわからないが、
芥川賞自体も、もうそろそろ限界という印象だ。
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