閉会式をやっと見た。
静かで深く美しい青色から始まり、
子供たちの持つランタンがフィーチャーされる。
立体的な文字の上で踊る子供と、
観客席のランタンで赤くきらめく観客席。
そりと同期して浮かび上がる LED フロアの模様。
ゆっくり回転する雪の結晶の形の聖火台の周りには、
AR で巨大な組みひもが描かれて、
一緒にゆっくりと動く。
雪と組み紐、どちらも絆の象徴だ。
開始からわずか8分程度で
選手の入場が始まる。
みんなリラックスして楽しそうだが、
バックの音楽は、なんと、
人類結束の歌、第九だ。
Deine Zauber binden wieder,
Was die Mode streng geteilt;
Alle Menschen werden Brüder,
Wo dein sanfter Flügel weilt.
あなたの魔法が再び結びつける
時の流れが厳しく分裂させたものを
すべての人々は兄弟となる
あなたの柔らかい翼がとどまる場所で
選手はスタンドに入り、
今大会のハイライト映像が流れるが、
これも、とてもコンパクトながら、
美しい瞬間、歓喜の瞬間を切り取って上質だ。
映像の表彰台が滑り込んできて、リアルの表彰台に変わる。
開会式同様に映像とリアルがシームレスにつながる演出。
クロスカントリーの表彰式では、
ロシアの国歌の代わりに、
チャイコフスキーのピアノ協奏曲が使われていた。
大会を支えたボランティアの映像が流れる。
Love can change the world. というメッセージ。
ボランティア代表の表彰が行われ、
背景となる観客席に描かれる大きなハート。
再び、大会の映像から、
今度は、躍動する選手の姿、
悲しみに沈む姿、そしてまた立ち上がる姿が
ピックアップされた映像が
スポーツの素晴らしさを存分に伝える。
「時よとまれ、君は美しい」
中国で別れを表すとという
柳をうまく使った、とても美しい一幕が終わると、
選手たちがハグする感動的な映像。
これはもう泣かずにはいられない。
ギリシャ国家の演奏と国旗掲揚に続き、
ミラノ+コルティナ・ダンペッツオへの引継ぎ。
地球儀の動きにあわせて、氷にひびがはいる。
イタリアが用意した映像、
山と都会が融合するパフォーマンスも美しかった。
イタリア中がオリンピックを歓迎する映像。
そして、お約束のアクロバット飛行は、もちろん赤、白、緑だ。
会場全体が一段と深い青に染まると、
組織委員会と IOC の会長のスピーチと閉会宣言。
雪が空に昇って還ってゆき、
北京のあちこちからの別れの挨拶の映像が流れる。
音楽も素敵だ。
最後に流れる「更け行く、秋の夜」の音楽は、
ジョン・P・オードウェイが作曲した
“Dreaming of Home and Mother”(家と母を夢見て)
が原曲で、中国では、李叔同の作詞により
『送別』の題で広く知られている、のだそうだ(Wikipedia より)
開会式と同じく、五輪のマークが
映像からリアルに変化しながら現れて、
世界の国旗が輪を作って見守る中、
開会式でも歌われた子供たちの歌に乗って、
大きな結晶の中の小さな聖火が静かに消える。
国旗のポールが光の棒になり、
開会式の始まりを連想させた後、
雪の結晶がランタンになって空に昇り、
圧倒的な量の花火が空ではじける。
そして、蛍の光が流れて、閉会式は終わったが、
祭りの後も、多くのスタッフが踊る
にぎやかな雰囲気が続いていた。
ネットの評判のとおり、また開会式とも同様に、
アイデアや技術をひけらかすわけでもなく、
中国の文化やイデオロギーを前面に出すでもなく、
美しく、感動的な情景が、淡々と描き出されていた。
オリンピックは、平和とスポーツの祭典である、
という、あたりまえのことを、何のケレンもなく、
上質に、美しく表現した、人間とスポーツが中心の、
何度でも見返したいような閉会式だったと思う。
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