日々の寝言~Daily Nonsense~

福永武彦「海市」と村上春樹「世界の終わり」

朝起きたら、なんとなく
福永武彦さんの「海市」が読みたくなって、
文庫本を取り出して少しだけ読んだ。

うーん、いいなぁ・・・

何度読んでも良い。

しかし、今や、マチネポエティックの
最後の生き残りだった加藤周一さんも亡くなって、
福永さんはすっかりマイナーな作家になってしまい、
Yahoo オークションでは、「海市」の
ハードカヴァーは、300円でも買い手がいない・・・

やれやれ・・・

個人的には、まだまだ
もっと読まれて欲しい作家なのだが。

Webでぼんやり検索していたら、
こんなページがあった。

文学部の先生が、
福永さんの「廃市」「海市」と、
村上さんの「世界の終わり」を
関係づけて論じている。

そうだよね、そうなんだよね。
明らかにそこには、明らかな
類縁関係があると思うのだ。

夏目漱石-(堀辰雄)-福永武彦-村上春樹
の系譜、と勝手に呼んでいるのだが、
賛同してくれる人が少ないのが難点。

漱石の「坑夫」、「門」、「明暗」
福永武彦の「冥府」、「廃市」、「海市」、「死の島」
村上春樹の「世界の終わり」、「国境の南、太陽の西」

死んだように生きている、
死の影を湛えている人々
(あるいは世界)を描く作家たち。

その「死の影」、「滅びの気配」に、
どうしようもなく惹かれるのだ。
炎に飛び込む蛾のように・・・

そういえば、村上春樹さんの
新作がもうすぐ発売だ。
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