ずっと読まないでいたのだが、
文庫になっていたので、
まったく今更ではあるが、
Kindle版を買って読んだ。
今のところ、
今年読んだ本のベスト。
村上さんもまた、
庵野さんや新海さんと同じく
最初からずっと、同じ物語を、
何度も何度も語りなおしているのだが、
その集大成のような
作品になっていると思う。
* * *
僕たちは何重にも喪失している。
神の喪失
共同体=つながりの喪失
親しい人との離別、死別
欲望の搾取
時間の搾取
永遠の、そして現在=今ここの喪失
中心には巨大な権力や資本、
そして巨大なデータがあり
個は辺境にある
権力、資本、データを持つ者もまた
それらの増殖という欲望に
奉仕している、使われている
変わらない構造
そもそも生命はずべからく
遺伝子の乗り物であって
その増殖という欲望に
奉仕しているのだから
それは避けられないことだ
この絶望的状況を
どうやって生きるのか?
目をそらして生きるのか?
それとも?
こうした普遍的な問いに対して
村上春樹は(別の世界を通じて)
つながること、踊り続けること
を提案する
個=自分の欲望を中心とした
動的なネットワークの再構築
小平さんの
「唯一無二の自己表現」
も同じことだろう
初期の作品も読みたくなって、
順番に読み直している。
「喪失」といえば、
庄司薫さん(福田章二さん)の
作品も読み直したいなぁ・・・
* * *
以下、ネタバレあり
個人的には、
牛河がかわいそうすぎる。
ダンス・ダンス・ダンスでの
五反田くんと同じく、
物語のバランスとして
エンディングに到達するためには
影を殺さなくてはいけなかった、
ということなのだろうが・・・
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