海辺のカフカ

というわけで、「海辺のカフカ」を
久しぶりに読み返した。

形を変えて繰り返し繰り返し語り続けられる
深く損なわれたものたちの癒しの物語。

「父を殺し、母と交わる。」
これは、決して、オイディプスに固有の呪いではない。

二人が、失われた時間を取り戻そうとする。
その裏側では、別の二人が奮闘している。

愛があり、戦いがあり、セックスがあり、
預言があり、死があり、そして生がある。

「戦いを終わらせるための戦いというようなものは
どこにもないんだよ」

「君がやらなくちゃいけないのは、たぶん君の中にある
恐怖と怒りを乗り越えてゆくことだ。そこに明るい光を入れ、
君の心の冷えた部分を溶かしてゆくことだ。」

「どうしてもわからないんだ。
なぜ誰かを深く愛するということが、その誰かを
深く傷つけるというのと同じじゃなくちゃならないのか。
もしそうだとしたら、誰かを愛するということに
いったいどんな意味があるんだ？」

ナカタさんはもちろんだが、さくらさんもいいキャラだ。
「そろそろ仕事に戻るけど、もし私と話したくなったら、
いつでもここに電話をしていいよ」
ふと、「夜回り先生」のことを思い出した。