カフカの「審判(Der Prozess)」(原田義人訳)
をとても久しぶりに読み返した。
ヨーゼフ・Kが突然巻き込まれる不可解な「裁判」
についての話は、
「誰かがヨーゼフ・Kを誹謗したにちがいなかった。
なぜなら、何もわるいことをしなかったのに、ある朝、
逮捕されたからである。」
と始まり、
「まるで犬だ!」と、彼は言ったが、
恥辱が生き残ってゆくように思われた。
で終わる。
カフカらしい悪夢のような話だ。
悪夢らしく、不思議なリアルさをもっていて、
いろいろと考えさせる。
それが暗示しているのは、
肥大化し、腐敗した官僚機構なのか、
やがて来る、相互監視、密告社会なのか、
あるいは、神無き世の最後の審判なのか・・・
もちろん、カフカ自身は、何かを暗示しようと
思って書いたのではないのだろう。
顕微鏡で細胞を眺めているような文章だが、
以前に読んだときよりは
読みやすく感じたのはなぜなのだろう?
ヨーゼフ・Kの自意識、あるいは理性が
からまわりしている様子は、
漱石「行人」の一郎を思い起こさせた。
久しぶりに、読み返してみようか。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事