文庫本を買って再読した。
前回読んだときは、
奇怪な設定を追うのに夢中で、
細部をほとんど読んでいなかったと思う。
それにしても、
派手な事件は何も起こらないのに、
心が動かされる。
語り手の気持ちの動きの細部に、
そういえばこういうことがあったなぁ
という思いが湧いてくる。
そしてもちろん、すべての事柄が、
暗喩に富んでいることもある。
限られた時間しか生きられない、という点では、
この小説の主人公も、わたしたちも
なんら変わることはないのだ。
むしろ、明確な「使命」を持っているという点では、
彼らのほうが充実しているとも言える。
「真に愛し合っている二人は提供を猶予される」
というところから進めば、
「愛」についてのもっと踏み込んだ話に
することもできたと思うが、
そうしなかったのはなぜか、が興味深い。
とても静かに心に染みる小説。
また、気が向いたら読むことがありそうだ。
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