太古の世界 〜マニアックな古生物を求めて〜

恐竜は好きか? 恐竜以外の古生物もか?
マニアックな種類を前に情報不足を嘆く心の準備はOK?

カナヅチワニモドキ(解説の章)…オフィアコドン類

2021-07-15 08:31:37 | 哺乳類へと至る道〜単弓類の進化〜
 夏!! …といえば水遊びたろう。水泳・マリンスポーツ・釣りなんでもござれ。
……というわけで(???)、読者におかれましては、水辺の捕食者と聞かれて何を思い浮かべるだろうか?日本人なら、真っ先にヒグマ水鳥を挙げるだろう。あるいはペット人気の強いカワウソ ――本来ペットにすべきではないが―― や、荒くれ者のワニを連想する人もいるかもしれない。
 それでは次に、今から1億年前の白亜紀へ思考を飛ばそう。そこで水辺の捕食者として振る舞っているのは、多種多様なワニ類スピノサウルス類だ。どちらも細長い顎を持ち、かたや水中から、かたや岸辺から。次々と魚を仕留めて丸呑みにしていた。
さらに遡ろう。今から2億年以上に昔の三畳紀では、ワニそっくりの爬虫類が何種類かいたし、オオサンショウウオでさえ可愛く見える“化け物イモリ”もいた。もちろん主食は魚である。
……それでは、もっともっと遡って、今から3億年前。ようやく陸上で安定した生態系か形作られた時代へ向かってみよう。そこの水辺には誰が君臨していたのか……? まず目に付くのはヌルヌル這い回る両生類だ。これは三畳紀の化け物イモリの祖先筋にあたる。今でこそ意外だが、かつて両生類は水辺で最強の捕食者だったのだ(#1)
がしかし、そこへ水飛沫とともに乱入した生物がいた。不届き千万、おのれ面見せぃ。
…顎は細長く、ズラリと並んだ歯は鋭い。四肢は短く頑丈で、胴体は細長い。一方チロリーんと伸びた尻尾は貧弱極まりない。…おそらく体表は鱗ないしシワだらけの硬い外皮に覆われていた。これこそが今回の主役、オフィアコドン《Ophiacodon》だ!!

(オフィアコドンの生態復元 wikiメディアより)

《基本情報》
学名→オフィアコドン《Ophiacodon》
全長→最大3.5メートル
食性→魚食(動きの遅い魚類や両生類)
生息時代・地域→約3億年前の北アメリカとヨーロッパの水辺(川や沼沢地)

 先に述べておこう。
オフィアコドン(科)は爬虫類ではない。ワニやトカゲはおろか、あらゆる爬虫類とは無関係で、むしろ我々哺乳類に近い動物だ。かつては諸々をごった煮にして“哺乳類型爬虫類《mammal like reptilesと呼ばれていた時代もあったが、今では最基盤の単弓類と呼ばれている

(最基盤の単弓類たち。奥がコティロリンクス、中がオフィアコドン、手前がヴァラノプス Wikiメディアより)

( ・ω・) 「あれ?“盤竜類《Pelycosauria》”っていう分類は違うのかい?

今こんな質問が届いた。…良い質問だ。今から5年かそこら前まで、このグループ名は図鑑・専門書を問わず使われていた。有名なディメトロドンエダフォサウルスなども所属していて、グループ名も彼らの背ビレから取られている。もちろん我らがオフィアコドンもその一員だった……。

がしかし、諸君朗報である(・∀・)

現在では盤竜類なる分類は空中分解してしまった
エエッー!?) …このあたりは本筋とズレるため深堀りしないが、ともかく今後は“”を付けて表記するか、さもなくは素直に最基盤の単弓類と呼ぶべきだろう ――そのあたり便利な分類名が欲しいと思う今日このごろだ。

(いわゆる“盤竜類”の系統図。左に行くほど基盤的で、右に行くほど哺乳類に近い(派生的)である。頭骨の形態は実に様々だ (#C))

 細かな分類はさておき、こうした最基盤の単弓類は、石炭紀の後半から本格的な多様化を始めた。というか、単弓類はフライング気味に進化のレースへ乗り出した。当時の爬虫類がどれも全長1mを超えない中、2m級の種類をポンポン量産していたのだ。…もっとも、それがあるグループの逆鱗に触れ、さらには地獄の釜の蓋を開いてしまったのだが ――それについては次回語りたい。



てなわけで、前振りはそこまで。ここからはオフィアコドン(科)の身体的特徴をまとめていきたい。ただし下半身からだ。

《尻尾》

(オフィアコドンの組み立て骨格。尻尾の貧弱さがよく分かる (#2))

情★報★不★足(´Д⊂ヽ
…実はオフィアコドン(に限らず初期の単弓類全般)の尻尾は資料が少ない。古来はチャールズ・ナイトの時代より、大根のごとき太ましい尻尾が描かれてきたのだが、ぶっちゃけ確たる証拠はない。
むしろ怪しいネットの吹き溜まりで手に入れた情報からするに、彼ら初期の単弓類の尻尾(尾椎)は、ちろーんと伸びた貧弱そのものだった可能性が高い

(オフィアコドンの尾椎。筋肉の付く突起が弱い (#4))

これも語ると爬虫類と哺乳類のボディプランの比較から、両者の得手・不得手。それが生んだ適応放散の違いまで、とても記事一本では収まらないから、また次の機会にさせてほしい。楽しみにしていてくれ…

《胴体》
(オフィアコドンの全身。 椎骨の低さや、肩甲骨の大きさに注目 (#★))

オフィアコドンの胴体は、一見すると面白味を感じられない。が、ヒトは見かけによらないとはよく言ったもので、探せば面白いことが見えてきた。
《基本情報》にて、オフィアコドンは水辺の魚食動物と筆者は記した。にも関わらず……
『オフィアコドンは泳ぎがド下手糞だった可能性があるのだ!!』

ファッ!?(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)
(↑仰天する読者の図(筆者の予想))

そして読者は次にこう言う。

「いやいやいやいや!オカシイぞ!水辺の生物がカナヅチなはずがあるまい!!」

筆者も2年前に調べて仰天したのは良い思い出だ。たしかに指摘は正しい。クマやカワウソはもちろん、図体のデカいカバや普段は深みに入らないアオサギでさえ、必要と迫られれば見事な泳ぎを見せる。まだ信じられないようなので論文を紹介しよう。
2014年の研究(#2)、その名も『Was Ophiacodon (Synapsida, Eupelycosauria) a Swimmer? A Test Using Vertebral Dimensions (原題)/ オフィアコドンは遊泳家だったのか?(訳文)

この研究では椎骨《Vertebral》を他の四肢動物と比較している(論文内ではメソサウルス《Mesosaurus》始め、尻尾を推進力とする爬虫類にも触れられているため、“原初のウォータードラゴン”を知りたい方は読むと良いかもしれない)。以下は要約。

古来よりオフィアコドンは半水生だったと考えられている(歯・四肢・組織学etcより)
・ただし、近年では上記の証拠の再解釈や再研究が進み、これは証拠の役を成さなくなってきた
脊椎の中心の長さこそ半水生爬虫類と似ているが、他の最基盤の単弓類(100%陸生の種)もそれと似ていた。つまり、脊椎の特徴は決して半水生だった事を示しているわけではない
・その他の証拠も二次的な推測による曖昧なもののため、素直に陸生と考えるべきではないだろうか?


…半水生論者の心はメタメタのバッキバキに違いない。
傷口を抉るようで申し訳ないが、別の研究でもこれが間接的に支持されている。それは単弓類全体の椎骨の研究(#3)で、これによれば単弓類は皆、背骨を横に振る動きが苦手なことが示された。なるほど。たしかに私たちはヘビのようにクネクネさせる事は出来ない。程度の差はあれ、3億年前のオフィアコドンも同様だったとされている。
「だからどうした…」ではない。
これ、実は致命的である。何でも良いから哺乳類と鳥類以外の泳ぐ脊椎動物を思い浮かべてほしい。本当に何でも良いのだが、それは果たしてどのように泳いでいるだろうか?
……そうだ。察しの良い方もいるだろう。
メダカもマグロもイモリもヘビもワニも、みんな背骨を横に振って泳いでいるではないか。彼らには強い尻尾があり、それを左右に振ることで推進力を得ている。もちろんオフィアコドンにはペンギンのような前ビレ(フリッパー)はないし、クジラのように横に平たい尾ビレもない。だから当然推進力を得るには、身体を左右に振る必要があるのだ………が、肝心要の背骨が……動けん……馬鹿なッ!?


(オフィアコドンの椎骨など (#4))

…というわけだ。胴体の骨自体の特徴は、せいぜい上突起が背ビレ状になっておらず平坦であること。そして肋骨に括れが見られない(横隔膜は未発達)ことぐらいだろう。さして書くまでもないので、次に移りたい。

《四肢》

(オフィアコドンの手指など (#4))

オフィアコドンの四肢は短く、そして手指の骨が平たい。これは水辺で暮らしていたからだろう。持続的な推進力にはならないが、滑りやすい地面をしっかりと踏みしめたり、水底を蹴って滑るように動くことも出来たのではないだろうか。……というより、尻尾が貧弱なので、こうでもなければ水中で推進力できまい。そして、このような泳ぎ(?)では当然ながら速度は期待できないため、深みへ遠征したり、ワニ類よろしく獲物へ突撃するような真似は、残念ながら考えにくい。
…なんてアッサリ済むと思っていた筆者は馬鹿だった
なにせ他の大型単弓類(もちろんゴリゴリの陸生)も平たい手指の持ち主(#5)だったのだ。これはオフィアコドン以外の論文を読んで初めて知ったので、危うく皆さまへ誤解を与えるところだった(汗)

オイオイオイ(;・∀・)「どーゆーことやねん…」

ごもっともだ。どうやらかつては平たい手を根拠に水棲に特化していたとされていたらしい(←英Wikiより)が、ぶっちゃけ根拠と胸を張れるような代物ではない。筆者が思うに、こうした平たい手指は、初期の大型陸上四肢動物に共通していたのではなかろうか? 事実エリオプスからディメトロドンに至るまで、多くの種がこうした手指をしている(#6) こうした指は見るからに体重を支えやすそうだ。これらは論文はもとより各地の博物館でも確認できる。読者の皆さまも、コロナ禍が過ぎたらどうぞ見学してほしい。

(『大地のハンター展』より、エリオプスの胴体と四肢。指の太さと平べったさが分かるだろうか? (筆者撮影))

それと爪(末節骨)は鈍い。武器にはならなかっただろうし、何かをよじ登るのにも不適だった。身体の小さいアーケオティリス(←爪は見つかっていない)などは木登りが可能な鋭さもあったと思うが、少なくとも派生的な種類では上の写真の通りだ。ちなみに同時代のメセノサウルス類《mesenosaurine》(トカゲに似た有羊膜類)の場合、きちんと武器・登攀に使えそうな鉤爪が生えている。もしかすると、オフィアコドン類の平たい爪は、祖先から改めて進化し直した特徴だったのかもしれない。


 では改め直して。
オフィアコドンを語る上で肩周り。とりわけ肩甲骨を外すことはできない。

(左側の平たい骨が肩甲骨 (#★))

なにせ頭骨を除けば、もっとも立派な骨なのだ。上部・下部・横幅ともに広い。莫大な量の筋肉が付着していた。なので生前は首周りが異様にムキムキだったと推測できる。そうした筋肉群は、ある物は大きな頭部を支え、ある物は四肢を動かす原動力となった。
やや想像を逞しくすれば、オフィアコドンが獲物を襲う際に前肢でスタートダッシュを切ったとも考えられるだろうか? あるいは獲物へ勢いよく頭を振り下ろしていたのだろうか?
ぶっちゃけ使い方までは分からない。ただ巷で囁かれるように、『哺乳類は前輪(脚)駆動・爬虫類は後輪(脚)駆動』という流れの原点を垣間見ることが出来る……という意味では重要な特徴だろう。

《頭部》

(標本番号MCZ1366の頭骨(オフィアコドンのもの)。左から数えて一番目の穴(側頭窓)が小さい ハーバード博物館より)

 オフィアコドン(類)の頭部を見てまず最初に感じるのが、その大きさだろう。楕円形の頭骨は最大で50cm前後。高さも十分で、ずら〜っと並んだ歯も特徴的だ。まかり間違って噛みつかれるのは御免こうむりたい。
しかし幸いというべきか、オフィアコドン類に噛まれても大事には至らないだろう。なにせ彼らの歯は、先が尖っていても切れ味がない……つまり円錐形の歯をしていたのだ。オフィアコドン類は基本的に小動物か魚を狙うハンターであり、歯の第一の役割は獲物を滑り落とさないことだった(#8,#9)。このあたりは学名の由来(オフィアコドンとは“ヘビの歯”という意味)も示している。あいにく良質な資料は見つからなかったので、読者におかれては検索エンジンにて『teeth Ophiacodon』と検索してほしい。すると先述の円錐形をした歯を観察できる。
(『大地のハンター展』より、マレーガビアルの口先。縦横ともに最小限の抵抗となるようなデザインだ (筆者撮影))

こうした歯は、現生の魚や小動物を狙うワニ(↑のマレーガビアルなど)にも共通している。
オフィアコドン類の頭骨は左右幅が薄い。後頭部の咬筋の入るスペース(側頭窓)も狭かった。なので見た目ほど恐ろしい武器ではなかったようだ。とはいえ、非哺乳類型の単弓類は素早く噛む事が得意だったとする話(#8)もあり、おそらくオフィアコドン類の頭部へ求められたのは獲物を砕く力ではなく、素早く噛み付くスピードだったことを踏まえると、それも自然だろう……
 ……なんて終われればどんなに良かったことか。ところがどっこい、そうはいかないのがオフィアコドン。問屋もゲバ棒持って追い返すのが古生物学だ。
オフィアコドンの頭骨にもこれまた不可解な点が存在する。それは『頭骨の上下幅が高い』こと、そしてダメ押しに『鼻孔の位置が低い』ことだ。
冷静に考えてほしい。オフィアコドンの主食は間違いなく水辺の魚や両生類である。それらは何処に潜んでいるのかと言えば、もちろん水中だ。歯は問題ない。横幅も最小限に抑えられているから水の抵抗もない。

(オフィアコドンの頭部の問題点。水中では呼吸が出来ないし、振り回そうにも縦幅が邪魔だ (自作))

だがしかし!
ひとたび水中へ鼻先を突っ込んだら、もう悲惨だ。まず呼吸が出来ない。現生の半水生動物(カエル〜カバに至るまで)は、揃って鼻孔が水面へ突き出ている。いわば“動物版シュノーケル”だ。しかしオフィアコドンの鼻孔はその真逆。むしろ巻き上げた泥水を吸い込みかねない位置に開いている。もし無理やり鼻孔を外へ出そうとしたら、今度は身体全体が沈んでしまって話にならない ――そもそも頚椎の可動性からして難しいが。
なんとか呼吸の問題を解消したとしても、次は縦長の頭骨が待ち受ける。先ほどマレーガビアルの吩部を見せたのを覚えているだろうか? 水辺の捕食者の頭部は大別して2つ。1つはマレーガビアルやサギのような細長い“菜箸タイプ”か、あるいはカエルやワニのような平たい“カスタネットタイプ”だ。どちらも水中で獲物を捕える際に、水の抵抗を少しでも減らすための形態である。…にも関わらず、その逆を行った天の邪鬼がオフィアコドンその人。もう筆者も弁護のしようがない。なぜこんな不可解な頭部をしているのかは分からない。首は長くも無ければ特別柔軟でもないので、上空から勢いよく振り下ろす奇襲も難しかろう。あるいは、前述のガッシリした肩の筋肉群は、この矛盾に満ちた頭部を振り回すための“苦肉の策”だったのかもしれない……真相は不明だ。

(オフィアコドン類の1種ヴァラノサウルスの頭骨。口先の大きめな歯が犬歯である #)

やや余談に近いが、最初期のアーケオティリス《Archaeothyrisはもちろん、もう少し派生的なヴァラノサウルス《Varanosaurus》に至るまで、その多くが犬歯を長大化させているのは面白い特徴だ。形状は他の歯と変わらないのでほとんど誤差のようなものだっただろうが、ひょっとすると獲物を咥えた際にアンカーの役目を果たしたのかもしれない。とはいえ、最派生のオフィアコドン自体では犬歯が他の歯と同化して分かりにくくなっているので、元から大した意味はなかったのかもしれないが。



 かくしてオフィアコドンの身体的特徴の解説は終わった。
あっ、わかったわかった! 皆さまの気持ちは十分伝わってますから、チョ待っア”ア”ア”ア”ア”ア”(流れ込む群衆

(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)「こないな欠陥生物、さっさと滅んで当然やないかぁ!!」

うん。その通りだと首を縦に振りたいのは筆者も同じだ。しかし、また1つ朗報がある……

『オフィアコドン科は約3000万年も生存を続けていた』

これがどれだけ凄いかは、人類と比較してみると良い。人類の歴史は最古の猿人まで遡っても僅か700万年。オフィアコドンの歴史は、実にその4倍以上だ。まかり間違っても“欠陥生物”とは呼べまい。しかもオフィアコドンその間に、石炭紀の熱帯雨林の崩壊Carboniferous rainforest collapse》(縮めてCRC)という絶滅事件をも生き延びていた。付け加えるなら、オフィアコドンは現状確認されている中では『最古の陸生大型肉食動物』でもある。
俄然面白くなってきた(某教授並み感)。
何がオフィアコドン類を地球史上最初の陸棲大型肉食動物へ押し上げ、誰が彼らから初代王者の座を奪ったのか?

言わば3億年に渡る『水際の興亡史』、その始まりを次回から探っていきたい。
次回『カナヅチワニもどき(後編)』にてお会いしよう。アディオーーース!


※白状すると、本日2021年7月15日に『水際の興亡史』が愛でたく発売となっている。後追いだの便乗だのは願い下げだったので、急ぎで書き上げた次第だ。ところどころボロが目立つが、まぁ……笑ってほしい。あるいは発売記念ということで1つw


《余談》
オフィアコドンの代謝について怪しくも面白い話がある。2017年の長骨(※四肢の骨)の論文(#11)によれば、彼らの代謝は原始的な外見とは裏腹に内温・温血動物のそれと近いもので、成長スピードも速かったらしい。にわかには信じがたいのだが、筆者の中で一つ、しっくりくる説明がある。
皮革業者の間では、昔から効率よくワニ革(もちろんワニの代謝は低い)を手に入れるためにある工夫をしている。それは飼育場の気温をガンガンに上げ、餌も山盛り与えることだ。こうすると変温動物でも代謝が促進され、成長も速まる。
これと同じことが当時の地球環境に起こったのかもしれない。詳しくは次回取り上げるが、当時の水辺はオフィアコドンにとって楽園だった。餌は多ければ天敵も少なく、気温も安定していた。まさに楽園であり、それがためにオフィアコドンは急速な成長と高い代謝の維持が可能だったのかもしれない……信じるか信じないかは、アナタしだい(・∀・)9

《参考文献》

[論文]

#1『A multitaxic bonebed near the Carboniferous–Permian boundary (Halgaito Formation, Cutler Group) in Valley of the Gods, Utah, USA: vertebrate paleontology and taphonomy』(Adam K Huttenlocker:2018)…石炭紀〜ペルム紀の生物相

#2『Was Ophiacodon (Synapsida, Eupelycosauria) a Swimmer? A Test Using Vertebral Dimensions』(Ryan N Felice:2014)…オフィアコドンの椎骨

#3『Adaptive landscapes challenge the “lateral-to-sagittal” paradigm for mammalian vertebral evolution』( Katrina E. Jones:2021)…単弓類の椎骨の可動性の進化

#4『A PARTIAL SKELETON OF OPHIACODON NAVAJOVICUS (EUPELYCOSAURIA: OPHIACODONTIDAE) FROM THE UPPER PENNSYLVANIAN OF CAÑON DEL COBRE, NEW MEXICO』(Susan Harris:2010)…オフィアコドンの下半身

#5『Patterns of evolution in the manus and pes of non-mammalian therapsids』(James A. Hopson:2010)…単弓類の手指の進化

#6『The behavioral and biostratigraphical significance and origin of vertebrate trackways from the Permian of Scotland』(Patrick J McKeever:1994)…スコットランド産の四肢動物の足跡化石

#7『Permo—Carboniferous Paleoecology and Morphotypic Series』(Everett C Olson:1975)…単弓類の生息地と頭骨の変遷

#8『Evolutionary Patterns in the History of Permo-Triassic and Cenozoic Synapsid Predators』(Blaire Van Valkenburgh:2002)…肉食性単弓類の進化

#9『Microanatomy of the radius and lifestyle in amniotes (Vertebrata, Tetrapoda)』(Damien Germain:2005)…頭骨から探る有羊膜類の生態

#10『A reevaluation of early amniote phylogeny』(MICHEL LAURIN:1995)…有羊膜類の頭部

#11『Ophiacodon long bone histology: the earliest occurrence of FLB in the mammalian stem lineage』(Christen Shelton:2015)…オフィアコドンの代謝

#12『Limb-Bone development of seymouriamorphs: implications for the evolution of growth strategy in stem amniotes』(Jordi Estefa:2020)…初期の四肢動物の成長速度

#12『Dimetrodon Is Not a Dinosaur: Using Tree Thinking to Understand the Ancient Relatives of Mammals and their Evolution』(Kenneth D Angielczyk:2009)…単弓類の総括) #2

WEB
#★『Ophiacodon uniformis (Cope, 1878)』…オフィアコドンの基本情報と骨格

[洋書]
#A『Ophiacodon (Synapsida, Ophiacodontidae) from the Lower Permian Sangre de Cristo Formation of New Mexico AMYC 』(DAVIDS BERMAN:2013)

#B『A PARTIAL SKELETON OF OPHIACODON NAVAJOVICUS (EUPELYCOSAURIA: OPHIACODONTIDAE) FROM THE UPPER PENNSYLVANIAN OF CAÑON DELCOBRE, NEWMEXICO 』(SUSANK HARRIS:2010)

#C『RE-EVALUATION OF RUTHIROMIAELCOBRIENSIS (EUPELYCOSAURIA: OPHIACODONTIDAE?) FROM THE LOWER PERMIAN (SEYMOURAN?) OF CAÑONDELCOBRE, NORTHERN NEWMEXICO』 (JUSTINA SPIELMANN:2010)

#D『Forerunners of Mammals: Radiation • Histology • Biology』(Chinsamy-Turan:2011)

[和書]
・『哺乳類型爬虫類-ヒトの知られざる祖先』(金子隆一:1998)
・『絶滅哺乳類図鑑』(富田幸光:2002) ・『恐竜異説』(ロバート・バッカー:1989)
・『肉食恐竜事典』…(グレゴリー・ポール:1993)
・『生命大躍進』(図録)…(科博:2015)


論文の倉庫(2021年5月)…恐竜編

2021-05-17 09:12:59 | 論文倉庫(恐竜)
 ちょっとばかし論文etcの置き場に困ったので、せっかくだし数行の説明と合わせて倉庫×記事の謎産物にしちゃいました(笑)
基本的にここ1ヶ月前後のものを載せていますが、たまに掘り出し物もあります。
各種百科事典動画の加筆・制作など、用途は問いませんのでご活用ください!
それと、もし『○○の論文□□月に出てるけど、この記事に無いぞ〜』というのがありましたら、ぜひともコメントにてurl付でお知らせしてもらえると幸いです(ーー゛)

恐竜
※総合的なもの

(Fernando E.Novasab:2021)
三畳紀の恐竜についての論文
・カーニアン時点では、恐竜の中の最大勢力は竜脚形亜目(パンファギアetc)だった
ヘレラサウルス類はノール期/カルン期の大量絶滅を生き延びていた
キンデサウルスタワダエモノサウルスは類縁関係が近い


・獣脚類
(Alan L. Titus:2021)

(Wikiメディアより)
テラトフォネウスTeratophoneusのボーンベット
・年齢の異なる複数頭が産出しており、おそらく集団でのハンティングや子育てをしていた
・彼らの死因としては細菌中毒or火災or洪水など様々考えられるものの、中でも洪水(鉄砲水?)が濃厚
・他のティラノサウルス類も同様に群れていた可能性が高まっている


(Newman, B. H:1970)
恐竜の『ゴジラ立ち』→『カンガルー立ち』→『水平立ち』への変遷
・なお本研究中では、ゴルゴサウルス・リブラトゥスのホロタイプ標本(CMN 2120)も使用されている


(YutaTsukijia/月地裕太:2021)
中国の浙江省の白亜紀後期の地層から初めて産出したデイノニクスの仲間の連続足跡化石Velociraptorichnus
・痕跡として残っているのは2本指だけであり、同時にディノニコサウルス類はシックルクローが常時持ち上げて活動していたため、よって足跡を残したのが彼らだと推測されている
・足跡を残したのがドロマエオサウルス科なら時速6.1kmトロオドン科では時速4.6kmを叩き出した。これはトロオドン科のほうが脚が長いから


(Jonah N. Choiniere:2021)

シュヴウイアShuvuuia(頭骨)のCTスキャンの研究
・視覚に優れ、瞳孔は恐竜・鳥類の中で最大
・聴覚領域(ラグナ)は現生のメンフクロウ並みだったことも判明した
・どうやら小動物を夜行に捕食していたらしい。
ラグナについてはコチラを参照
恐竜の耳はどのくらいよく聞こえたの?』(福井県立恐竜博物館:2020)


(2021:Sara E. Oser)
小型獣脚類ないし鳥類の卵化石Stillatuberoolithus storrsi
・アメリカはユタ州のカイパロウィツ層(Kaiparowits formation)で発見
どうやら新種らしく、今後の研究において卵殻の微細構造の進化を探る手がかりになるようだ

※随時追加予定
(良さげな論文が出たらコメントにどうぞ)


・鳥類
※現生の種類を含む
(Crouch et al:2020)
鳥類の排泄物に尿酸は含まれていなかった!?
※教科書的な知識では含まれているのが当然のようだったので、かなり衝撃的です

※随時追加予定
(良さげな論文が出たらコメントにどうぞ)

・竜脚形類
(2021:Kimberley E. J. Chapelle)
マッソスポンディルスMassospondylusの成長とそれに伴う形態変化の研究。
・いくつかの恐竜グループでは、性的に成熟すると成長が緩やかになってた。
・しかしマッソスポンディルスなど(旧“古竜脚類”)は、エサの多い季節に急成長する一方、少ない季節には成長が緩やかになっていた
・こうした適応はT-J境界こと三畳紀末の大量絶滅(Triassic-Jurassic bounda)後の荒廃した世界を生き抜くのに役立ったと思われる


(Paul C. Sereno:2012)

エオラプトルの詳細な再研究
・口蓋の翼状突起に口蓋歯があった
・共存した獣脚類のエオドロマエウスEodromaeusより前肢の爪の曲がりが弱い
・脛骨は大腿骨よりも少しだけ長い
(この特徴はエオドロマエウスも同様)


※随時追加予定
(良さげな論文が出たらコメントにどうぞ)


鳥盤類

・鳥脚類
(小林快次/Yoshitsugu Kobayashi:2021)

新種の恐竜ヤマトサウルスYamatosaurus記載論文
・かなり基盤的(つまり古いタイプ)のハドロサウルス類だが、白亜紀末まで生き延びていた
・有名なカムイサウルスとは、例えば烏口骨の形状が違う
※情報量が多すぎるため、後は解説記事を参照


(Ángel A.Ramírez-Velascoa:2021)

新種の恐竜トラトロフスTlatolophusの記載論文
・メキシコのカンパニアン後期の地層から2013年に化石が見つかっていた
ククリナイフのような形(論文中では“へら”に似ているとした)の後方へ反ったトサカが特徴的
ランベオサウルス亜科パラサウロロフス族に含まれる


(Han SangYoona:2021)
全ての鳥脚類が子育てをしていたわけではない。
鳥脚類の足跡化石群集は子供と大人が共に行動したことを示すものが多いですが、韓国で見つかった大人の足跡を含まない群集の存在は、必ずしもそうとは限らなかった可能性を示唆していると。

※随時追加予定
(良さげな論文が出たらコメントにどうぞ)


・角竜類
(Sebastian G. Dalman:2021)

新種の恐竜メネフィーケラトプスMenefeeceratopsの記載論文
・アメリカはニューメキシコ州の白亜紀後期の地層から産出
・セントロサウルス亜科では最古級のメンバーの可能性がある
・系統解析だとクリッテンデンケラトプスCrittendenceratopsに類縁があって、基盤的同亜科にあたる。

※随時追加予定
(良さげな論文が出たらコメントにどうぞ)


・鎧竜類/曲竜類
・『Tail Weaponry in Ankylosaurs and Glyptodonts: An Example of a Rare but Strongly Convergent Phenotype
(2019:Victoria M. Arbour)
鎧竜類/曲竜類グリプトドン類(絶滅したアルマジロの仲間)の収斂進化
・有名なアンキロサウルスや細顔のノドサウルスの仲間、さらに新生代に繁栄したアルマジロ類だけでなく、オオナマケモノ(皮膚の下に鎖帷子状の鎧があった)まで多数を比較
尻尾の先の骨塊(tail club)は捕食者に対する自衛や仲間同士の争いに使われていた
・その他ステゴサウルスや絶滅したカメなど、多数の物々しい植物食動物を比較している

※随時追加予定
(良さげな論文が出たらコメントにどうぞ)




最終編集日→2021年5月17日


猛獣指定のパグ犬

2021-03-26 19:49:49 | 哺乳類へと至る道〜単弓類の進化〜
 話を遡ること数時間前。某氏とのコラボ企画の記事を練っていた時の事だった。不意にジワ〜っと溢れ出たのである。やる気ではない。単発記事のやる気であr(((往復ビンタ

 てなわけで挨拶はそこそこに、今回の主役を紹介したい。今回の主役は人呼んで“猛獣指定のパグ犬”こと、ヴェツソドン《Vetusodonである!!

(ヴェツソドンの生体復元。丸く短い鼻面が特徴的 #1より)

ヴェツソドンは生まれたてホヤホヤ(?)の古生物であり、記載されたのは2019年。南アフリカのカルー盆地《Karoo Basin、ペルム紀ロピンギアン《Lopingian》(およそ2億5900万年前〜2億5230万年前)の地層から発見された頭骨に基づいている。筆者が頭骨から推定した全長は約1m〜1.2m。同じく適当に現生哺乳類を元にして割り出した体重は約35kg。うん、重い(笑)。現生の哺乳類に比べて頭部が大きい事を考えてから、体型の近いアナグマラーテルを拡大した値である。なので過信しないでもらいたい(特に体重は)。

(アナグマの剥製 科博にて撮影)

(ラーテルの剥製 大地のハンター展にて撮影)

記載論文(#1)はフリーでネットに転がっているし、単弓類を研究している古生物学者のクリスチャン・カンメラー(Christian Kammerer)氏が実骨をツイートしていたで、この記事を片手に読み勧めてもらえたら幸いだ。

 発見当初からヴェツソドンは話題に事欠かなかった。
なぜなら本種が発見されたペルム紀後期は、もっぱらゴルゴノプス亜目《Gorgonopsia》テロケファルス亜目《Therocephalia》が繁栄した時代であり、ヴェツソドンなどキノドン類の出る幕はないと思われていたからである。実際ペルム紀のキノドン類には、プロキノスクス《Procynosuchus》ドヴィニア《Dvinia》に代表される小型で魚食ないし雑食の、控えめに言ってモブキャラのような種類が多かった。

(プロキノスクスの組み立て骨格。頭骨はエグい変形をしているので注意されたし 科博にて撮影)

よって『ペルム紀はキノドン類にとっての暗黒時代……とまではいかずとも、来たるべき繁栄へ向けた“忍耐の時”』というのが一般的な認識だった(#2,#3)。
それを根底からドッサリひっくり返したのが、我らがヴェツソドンなのである!

 ではヴェツソドンの特徴を見ていこう。…毎度ながら筆者は骨学的な事はサッパリなので、ざっくりした箇条書きになる事を念押ししておく。とはいえ、いくつかのポイントは多少なりとも掘り下げていきたい。ではまず口蓋面(口の裏側)から(´・ω・)テストニデルヨー

《口蓋面》

(ヴェツソドンの頭骨の口蓋面。スケールバーは1cm #1)

切歯(前歯)がやや小さく細長い
犬歯が太い楕円形
臼歯(奥歯)の発達が顕著
詳しくはゴルゴノプスの記事で解説するが、基本的に獣弓類(下手すりゃ非哺乳類の単弓類全体)は臼歯が貧弱だ。子孫である我々人類がスルメだの煎餅だのナッツだのをしれっと食べているから違和感を覚えるのであって、これは単弓類全体で考えるとレア中のレアなのである。
だがキノドン類は例外だ。キノドン類は複雑な奥歯を発達させた事で、ゴキブリだのソテツだの魚だのをムシャムシャ出来るようになった。
その例に漏れず、ヴェツソドンも発達した臼歯を生やしている。さながらたけのこの里みたいなこの歯は、肉を噛み切るだけでなく、大きな骨や硬いスジ、あるいは干からびた死体ジャーキーをバリボリ食べるのに役立ったことだろう。
無論ゴルゴノプスやテロケファルスも顎は強靭だ。しかしゴルゴノプスやテロケファルスに臼歯は無い。あっても無いに等しい。これは彼らのライフスタイルや進化史が原因だと思われるが、これ以上は話が脱線するのでまたの機会に話そう。
二次口蓋が中途半端
二次口蓋とは、人が口の中に指をツッコんだ時に感じる“口の天井”のことだ。実は魚類から鳥類にかけて、ほとんどの動物にはコレがない。じゃあ「口の中に指をツッコんだらどうなるか?」と聞かられたら、それは簡単。鼻の裏までズブリで鼻血ぶしゃーである。本当に鼻血ぶしゃーかは別として、これは捨て置けない問題だ。なぜなら二次口蓋が無い状態でモグモグよく噛んでいたら、食い物が鼻道に入り込んでしまうからである。それが嫌ならさっさと飲み込むしかない。実際、哺乳類以外の脊椎動物は基本的に餌を丸呑みにする。幸い自然界にテーブルマナーの厳しい親御さんはいないのでどヤされる心配はないのだが、これだと一つ困った事が起きる。餌をきちんと消化出来ないのだ。
( ´Д`)=3「いやまっさか〜(笑)」
って思った読者もいるだろう。なら今晩にでも缶詰めのスイートコーンをよく噛まずに食べてほしい。そして翌日の大便を観察してもらえないだろうか? 別に意地悪で言ってるのではなく、本当に消化されないのを確かめてほしいだけなのだ。悲しいかな、人間には砂嚢(砂肝)がない。これもまた便利な代物なのだが、それはリムサウルスの解説へお任せして、とどのつまりモグモグ咀嚼出来なければ、せっかくの食い物も無駄になってしまう。
ではどうするべきか? ここで一旦思い出してみよう。
Q.なぜ哺乳類以外の脊椎動物は咀嚼が出来ないのか?
A.鼻に食い物が入る(=呼吸の邪魔になる)からである。
…もう分かっただろう?
ズバリ(・∀・)9「鼻と口を隔ててしまえば良いのだァ!!」

てなわけで哺乳類(と一部の獣歯類)は、鼻と口を隔てる“第2の口蓋”=二次口蓋を獲得するに至った。肉塊のような消化し易い餌ならまだしも、植物や昆虫のような硬い餌を相手にする時、これが役に立つのは言わずもがなだ。
それではヴェツソドンに戻ってみるが、ヴェツソドンは二次口蓋が中途半端である。たぶん軟骨がこの上をカバーしていたのだろうが、その意味ではまだまだ発展途上である ――ヴェツソドンの主食が肉塊だった事も一因だろう。

《側面》

(ヴェツソドンの左向きの頭骨。パグ犬のような鼻面だが、化石化に伴う変形で誇張されている点に注意。スケールバーは1cm #1)

上顎骨(上顎の歯列寄りにある表面のボツボツした丸い骨)が大きい
※ボツボツは後で解説するので今は省略
鼻は硬骨で形成されている
おそらく哺乳類(ないし哺乳形類)になったタイミングで鼻の骨が軟骨になったと思われる。しかし詳細は不明……いずれ記事にしたい。

(ヴェツソドンの頭頂面と右向きの頭骨。後頭部の頭頂孔が残っているのは興味深い。また右向きの頭骨は、↓に出すプロガレサウルスの頭骨にも似ている。スケールバーは1cm #1)

・パグ犬さながらの短い口吻
側頭窓が非常に広い
頬骨(眼窩の後端から伸びる横長の骨)が太く長いアーチ状
一にも二にも、太い咬筋が通っていたためである。例えばディメトロドン《Dimetrodonディノケファルス類Dinocephaliaも強靭な顎を備えていたが、しかし頬骨(と側頭窓)は太短い(小さい)ばかりだった。これは筋肉の配置が関係しているのだが、一部の派生的な獣弓類(ゴルゴノプス以降の獣歯類)は、積極的に頬骨(と側頭窓)を発達させていった単弓類の咬筋もまた、これだけで記事一本が出来上がってしまうほど美味しいネタなので、詳しい話はいずれしたいと思う。ともかくヴェツソドンも咬筋(それも人の頬にあるのと同じ筋肉)を発達させていた事は覚えておいてほしい(#4)。
頭頂孔が半開き
より一般(?)には“第三の目”という名称の方が通りが良いかもしれない。ただ間違っても手塚治虫の三つ目がとおる』ではない。少し物知りな読者であれば、ムカシトカゲにはおでこに3コ目の眼があるなんて話を聞いた事がある人もいるのではないだろうか? もっとも、「眼」と言っても物を見ることは出来ず、せいぜい明暗を感じる程度である。しかし体温調節にはもってこいの道具だ。
・第三の目(頭頂眼)が明るいと感じる場所=日の当たる暖かい場所
・第三の目(頭頂眼)が暗いと感じる場所=日の当たらない寒い場所
さながらON-OFFスイッチのように働いて、上手いこと身体を調節してくれるのである。
その一方、頭頂眼があるという事は、すなわち持ち主の体温調節が日光に左右されていた(=変温動物)を示してもいる……。って無難に〆るのも悪くないが、本当にそうだろうか? 獣弓類の身体は凄いもので、探せば探すほど恒温動物だった証拠が出てくる。現生のハト(体温37℃)やトガリネズミ(半日絶食したら死ぬ)ほどの高代謝ではないにしろ、これが充電せねば動くこともままならない変温動物だったとは、とても信じられない。…毎度ながら単弓類の代謝も話すと長k(((以下略!
 ちょっと考えられそうなのは、当時の気候だろうか?ペルム紀の地球には超大陸パンゲアしかなく、とりわけ後期ともなれば平均気温が23℃(過去6億年の中で最高)に達した。パンゲア内部は乾燥化によって“死の砂漠”が拡がっており、沿岸部にしても赤道直下の強烈な日差しから身を守らねばならなかった。さしもの獣弓類も現生哺乳類ほどの高度な体温調節は出来なかった事を鑑みても、彼らが頭頂眼の観測結果を“日時計”のように使っていた可能性は、あながち否定できないのではないだろうか?
ヴェツソドンにしたって、わざわざクソ暑い昼真っ盛りに狩りをせずとも良いだろう。昼間は木陰で惰眠をむさぼり、明け方と夕方〜夜間にかけて自慢のエネルギーを爆発させる。そんな生き方を私は勧めてみたい。


《比較》
 いかがかな?
……(#・∀・)「こげな物いくら並べられても知るかボケェ💢
って人もいるに違いない。筆者も現時点ではこのレベルがせいぜいである。そこで次はちょっとばかり趣向を変え、収斂進化(?)の相手であるモスコリヌス《Moschorhinus》と比較してみたい。ちなみにモスコリヌスは、キノドン類ではなく肉食性のテロケファルス亜目であり、同時にペルム紀末の大量絶滅(P-T境界)すら乗り越えた実績を持つタフな捕食者だ。

(ヴェツソドン(左)とモスコリヌス(右)の比較。切歯や臼歯の大きさ、頭頂孔の開き方、後頭部の張り出し具合いなどが違う。スケールバーは2cm #1より)

どちらも頭骨長20cmほどで、パグ犬のような短い鼻面をしている。後頭部の側頭窓が広いのも同じだ。パッと見では確かに瓜二つ。でも丹念に観察してみれば、下顎の張り出し具合い眼窩の形状など、差異がポロポロ出てくる。そこで次は違いが顕著出ている口蓋面を例に比較してみよう。


(ヴェツソドン(左)とモスコリヌス(右)の口蓋面の比較。#1)

内鼻孔があまり見えない=作りかけの二次口蓋が見える
(モスコリヌスは内鼻孔が隠れ気味なれど、ほぼ丸見え)
歯列(とりわけ臼歯)が一歩引いている
(モスコリヌスは骨端崖っぷち)
ヴェツソドンの場合、歯の手前に頬(ふにふにした肉質のもの)が付いていた可能性がある。じゃあモスコリヌスに頬は無いのか?と聞かれたら、これも素直に首を縦には振れない。後でヒゲ諸々と合わせて解説するが、頬かダルダルの唇のような、何かしらの肉質の物が口を覆っていた可能性は高いと思われる。
側頭窓が緩い楕円形
(モスコリヌスは三角形)
後頭部の左右への張り出しが甘い
(モスコリヌスはオーバーハングしている)

内鼻孔や臼歯(と推測された頬の有無)を踏まえたら、ヴェツソドンのほうがモスコリヌスよりも発展していると思う人もいるだろう。それは概ね合っている。しかし全てが正しいとは限らない。

(ヴェツソドン(左)とモスコリヌス(右)の頭頂面の比較。#1)

よく見てみよう。彼らのおでこ(正確には後頭部の中央)を。その通り、ヴェツソドンにはハッキリした頭頂眼があるが、モスコリヌスには頭頂眼がないor目立たなくなっている。↑でも説明したが基本的に頭頂眼は、有ったら変温動物/無かったら恒温動物なのだ。これをどう受け取るかは解釈次第であるものの、必ずしもヴェツソドンのほうが哺乳類的であるというのは、いささか軽率な考えだろう。


てなわけで次は復元の話をしたい。

(ヴェツソドンの顔の復元。#1の論文中では、爬虫類のような骨張った復元だった)

 歯列(と頬云々)の話でしたように、ヴェツソドンには柔らかな頬か唇があった可能性が高い。しかし同時に、頬や唇を突き破りかねない長さの犬歯が生えているのも事実だ。
このあたりの復元は描き手によると言えばそうなのだが、一つ考えられるとすれば現生のウンピョウのごとき見てくれだったという話かもしれない。

(ウンピョウの頭骨。体格比ではネコ科最長を誇る 大地のハンター展にて撮影)

(現生のウンピョウの写真。犬歯が全て隠れている Wikiメディア)

 ウンピョウは古の“サーベルタイガー”に勝るとも劣らない長さの犬歯を生やしており、これでレイヨウやサルを噛み殺す。ただし歯の断面は薄べったい楕円形になっておらず(真円形)、いわゆるサーベルのような切れ味はない。この点がヴェツソドンに近い(彼らの場合、犬歯の断面はサーベルと真円の中間だが)。
肝心の唇についてだが、もちろんウンピョウは犬歯をきっちり隠している。であれば、ヴェツソドンの口元もダルダルふにふにの唇を付けたほうが現実的かと思われる。つまり論文の復元図は(論文)3:7(筆者)ぐらいで誤りだろう。……そもそもキノドン類(ないし獣弓類)は、ほぼ間違いなく口元にヒゲ(感覚毛)があった。

(プロガレサウルスの頭骨。口周りのボツボツがヒゲの痕跡。↑で示した右向きの頭骨と外形が似ている #5)

《余談》ちなみに↑の標本が「よみがえる恐竜・古生物」という図鑑にて“トリナクソドン《Thrinaxodonの頭骨”とされていたが、実際にはプロガレサウルス《Progalesaurusの頭骨である。なおこの事は筆者がヲタク界隈で初めて気づいた可能性が微レ存(^ω^)9ウッヒッヒ

 ゴホン…閑話休題。
であればヒゲを生やす毛根なり何なりを考えると、やはり唇があったのは至極当然だし、歯列も骨の縁より一歩下がった位置にあるのも、そうした肉質の存在を示唆(頬の存在を補強)しているさえと言える。まぁ、唇や頬&犬歯だけ剥き出しにしていた可能性も高いが ――筆者はこの可能性を押したい。実用性もさることながらカッコいいからである(笑)。

あとヒゲがあったのだから、十中八九ヴェツソドンの全身にも体毛が生えていただろう。復元図ではタワシ状の豪毛(?)が背中に申し訳程度生えていたが、たぶんそれはない(キッパリ)。この頃の単弓類は物がカラーで見えた ――もしかすっと鳥類みたく紫外線まで見えていたかもしれないが確かめようがないのでボツw―― ので、ヒョウ柄ではなく自然に溶け込みやすい色(ピューマクズリのような)の毛皮を身に纏っていたに違いない。

(ディキノドン類を仕留めた2頭のヴェツソドン #1より)

狩りについては、まず間違いなくゴルゴノプスより代々受け継がれし『今からテメェを右ストレートでぶっとばす。まっすぐ行くから覚悟しとけよ』戦術の使い手だろう。これについてはゴルゴノプスの記事でみっちり解説するつもりなので、期待してもらって構わない。控えめに言って身の毛もよだつ殺し屋だったとだけ言っておこう。



《参考文献》

[論文]

#1『A new, large cynodont from the Late Permian of the Karoo Basin, South Africa and its bearings in epicynodont phylogeny』(Fernando Abdala:2019)…ヴェツソドンの記載論文

#2『Dimetrodon Is Not a Dinosaur: Using Tree Thinking to Understand the Ancient Relatives of Mammals and their Evolution』(Kenneth D Angielczyk:2009)…単弓類の総括

#3『Evolution of the Permian and Triassic tetrapod communities of Eastern Europe』(AG Sennikov:1996)…ペルム紀〜三畳紀の食物網

#4『Phylogenetic interrelationships and pattern of evolution of the therapsids: testing for polytomy』(Kemp, Tom S:2009)…獣弓類の咬筋

#5『Padrões de diversidade e distribuição de cinodontes não-mamaliaformes do Triássico da América do Sul e África.』(Fernando Abdala:2012)…プロガレサウルスの論文

[ネット記事]

・『Vetusodon elikhulu: cuando lo antiguo tiene algo de moderno』(CONICET:2019)…ヴェツソドンのニュース記事

[書籍]
・『哺乳類型爬虫類-ヒトの知られざる祖先』(金子隆一:1998)
・『絶滅哺乳類図鑑』(富田幸光:2002)
・『恐竜異説』(ロバート・バッカー:1989)
・『肉食恐竜事典』…(グレゴリー・ポール:1993)
・『生命大躍進』(図録)…(科博:2015)


今見直す、恐竜ドキュメンタリー 恐竜超世界 (軽まとめ:獣脚類編)

2021-02-24 17:42:21 | 今見直す、恐竜ドキュメンタリー
 めでたく進路の決まった高3の筆者であるが、この頃ちっとも筆は進まない。シリーズ物をほっぽって単発を書くのもお約束である。
というわけで今回は、一昨年2019年に話題(良い意味でも悪い意味でも)となったNHK放送の『恐竜超世界』の(北極パート)に登場した2種類の獣脚類を解説していく。


〘第一章 極北の秀才〙
トロオドン《Troodon》消滅事件について殊更説明するつもりはない。このあたりは『爆笑BAD LAND』や『GET AWAY TRIKE』にお任せしたいからだ ―ひいては筆者が苦手としているからでもある(!?)。
ともかく、北極圏にトロオドン科が生息していた ―しかも(おそらく)全長4m級のゾッとする大きさのが― のは事実であるので、当ブログでは便宜的に“北極トロオドン”と呼ばせてもらいたい。

(オーロラを眺める“北極トロオドン” ©NHK)

 さて、この“北極トロオドン”は作中、木の実を貯金したり(専門用語では貯食行動《Hoarding caching》と呼ばれる)、虫で魚を釣ったり(現生のゴイサギに見られる行動)と、“恐竜界No.1の知性”を余すことなく披露してくれた。
だが残念なことに、そうした行動を“北極トロオドン”が行っていた証拠は無い。何一つない。全く無い(断言)。
 たしかにトロオドン科はじめ獣脚類が大きな脳を持っていたのは事実であるものの(#1)、行動を生で観察でもしない限り、このような生々しい習性を語る事はできない。あくまで想像の産物なのである。弁護するならば、現生のシマリスドングリキツツキはドングリを、ホッキョクギツネはレミングを、カラスはマヨネーズ(!?)を貯食する事が知られている。

(ドングリを貯蔵するドングリキツツキ ↑Wikiメディアより)

というか貯食する動物は多すぎて書ききれない。野生の世界では常識とさえ言えるサバイバルスキルを、かの恐竜が知らなかったとは思いたくない(筆者の願望)。釣りに関してはノーコメント。繰り返しにはなるが、やはり絶滅動物の生活習慣は想像の産物でしかないのだ ―ただし想像は楽しい(笑)。
 とはいえ、トロオドン科の知性の一端を示唆する(かもしれない)報告(#4)がある以上、それを紹介しないで終わるのはもったいないのでそれを紹介しよう。
 …かつてモンゴルはゴビ砂漠から、とある獣脚類の巣の化石が見つかった。大部分は有名なシチパチCitipati》の物であったのだが、たった2つ……別種の雛が混じっていた(#⚫)。かつてヴェロキラプトルの雛とされた(神流町恐竜センターの模型劇が有名)この2匹は、斯々然々を経てビロノサウルス《Byronosaurus》へ分類し直された。もちろんトロオドン科の恐竜だ。

この2匹の雛が如何にしてシチパチの巣に紛れたのかについて、2021年になっても統一的な見解は得られていない。……というか答えはまず見つからないだろう。それを承知で考察するのであれば、可能性は大きく3つに絞られる。1つは『シチパチの親がビロノサウルスの雛を巣に持ち帰った(自分の雛に食わせるため)』可能性だ ―ぶっちゃけ一番可能性が高いのはコレだと思う。オヴィラプトル類が現生鳥類に匹敵するぐらい事細かな子育てをしていた可能性は昔から指摘されている(#2)。

(雛へ小動物を与えるオヴィラプトル類 ©National geographic)

もう1つは『ビロノサウルスの雛がシチパチの巣を襲った』可能性だ ―体格的に無理があるように思えるが、ビロノサウルスの雛には生まれつき鋭い歯が生えていた事は特筆に値する(#3)。

(ビロノサウルスの雛。幼いながら鋭い歯が見える ↑Wikiメディアより)

そして最後……『ビロノサウルスがシチパチの巣へ托卵をしていた』可能性である!?
 托卵と言えばカッコウだろう。このカッコウなる悪辣非道な鳥は、他者に自分の卵を預け、自らは一切の世話をしない。この預け先がベビーシッターであるなら、まだ分からなくもない。だが残念ながら相手は他の小鳥である。押し付けられた親鳥は、我が子がすり替わった事にも気づかず世話をし、やがて巣から丸々としたカッコウの雛が巣立つ。しかも多くの場合、押し付けられた側の雛は死んでしまうというから救われない話である。な〜んて、こういう風に〆たら炎上まっしぐらであろう。托卵は人間からすれば卑怯でしかないが、カッコウからしたら子育てのリスクやコストを抑えられる妙計なのだ。自然界では倫理などクソくらえ!騙されたほうが悪いのだァ!

(↑里親から餌をもらうカッコウの雛 ↑Wikiメディアより)

 …悪役ムーブをかますのは程々にしておこう。なんだか読者から冷ややかな視線を感じるので(;^ω^)。トロオドン科の巣とされる化石は別で見つかっているため、全てのトロオドン科が托卵をしていた訳ではないのだろうが、いずれにしろ托卵の可能性があるだけで興味深い。Nスペでは甲斐甲斐しく世話をしていた“北極トロオドン”のホワイトさんも、ひょっとしたら……此処から先は読者にお任せする。

…以下余談(笑)。
ベルクマンの法則(=寒いとこだと動物がデカくなりやすい)とアレンの法則(=寒いとこだと動物が丸っこくなりやすい)を考えると、しばしば映像化されるシュッとした“北極トロオドン”は、いささか考え直すべき代物だと思う。

(ブログ主がでっち上げた復元。クレジットさえあれば二次使用を許可します)
おそらく口吻はもっと短くても良いのではないだろうか?


〘第ニ章 白い悪魔〙
白い悪魔”……これを聞いて思い浮かべるのはなんだろう? 連邦のガンダムか、それとも狙撃手シモ・ヘイヘか? しかし筆者が思い浮かべるのはどちらでもない。頭の中にはあるのはナヌクサウルスNanuqsaurusただ1種だ。

(↑@harutrex氏より、ナヌクサウルスの復元イラスト)

かつてはアルバートサウルスないし、所属不明のゴルゴサウルスとして解釈されていた ――『恐竜たちの大移動』や『Walking With Dinosaur』(映画版)で確認できる―― が、2014年に独自性が認められ、『白熊トカゲ』の意味を取るナヌクサウルスと名付けられた。とはいえ見つかったナヌクサウルスの化石は、頭部の断片でしかないため、大半の情報は近縁種からの類推となってしまう。

(↑ナヌクサウルスの実骨 Wikiメディアより)

だからナヌクサウルスの生痕化石がどうとか、込み入った話はできない。
 そこで今回の記事では、ナヌクサウルスの“復元”に注目してみよう。

(“北極トロオドン”を追うナヌクサウルス。当時のアラスカにおいてナヌクサウルスは生態系の上位に君臨していた ©NHK)

作中ナヌクサウルスは純白の羽毛に身を包んでいた。これがホッキョクグマを参考にしているのは書籍版でも確認できる。
そりゃ“木の葉を隠すなら森の中”と同じ理屈だ。仮にナヌクサウルスが極彩色サンバ衣装を身に纏っていたら、獲物たちはゲラゲラ笑いながら逃げ去ったことだろう。当然飢え死に待ったナシ。
しかも恐竜は物がカラー(3色覚+紫外線)で見えた可能性が高い。だから黄色に黒のストライプを混ぜたトラ柄も無意味である。
 ところが作中のナヌクサウルスにしろ、現生のホッキョクグマにしろ、とある部位だけは白くない。それどころか漆黒に塗られた部位がある。

(現生のホッキョクグマの顔。毛の生えていない鼻は黒い Wikiメディアより)

それが(と目)だ。目は光の関係上しゃーないにしたって、鼻なら粉白粉でも何でもまぶしておけば良いではないか。事実ホッキョクグマはアザラシを狩る際に鼻を前腕で隠して忍び寄るという。

 …しかし鼻が黒いことには相応の意味がある!!

一言で言えば日焼け対策だ。

(現生のトムソンガゼル。背中が黒っぽく、腹が白っぽいのも日焼け対策である Wikiメディアより)

そもそも羽毛や体毛の役割は保温やディスプレイだけではない。外の異物をシャットアウトする効果も大きい。人間だって素っ裸でビンタされたら痛いが、スキー用のジャンバーを着ていればそこまで痛くなかろう。日焼け対策という意味ならもっと劇的な差がつく。ハワイのビーチで服を着たまま寝ている観光客がいないのは、つまりそういうこと(・∀・)9。

話をナヌクサウルス(と鼻の色)に戻そう。
これについては、2020年に現生鳥類を使った研究(#5)が詳しい。下の写真を見てもらいたい。Cがアカメテリカッコウ《Chrysococcyx minutillus》でDがマミジロテリカッコウ《Chrysococcyx basalis》である (共に雛)。

同じ鳥の雛でも肌の色が全く違う。Cのアカメ(以下略)は真っ黒なのに、Dのマミジロ(以下略)は白っぽいピンクだ。そしてアカメはホッキョクグマのように白い体毛を生やしている。↑の写真でも確認できるだろう。
 これが重要なのだ。実は白い体毛は日焼け対策の効果が薄い、より正確には白は紫外線を遮断できないのである。

「南国でもないのに日焼けを気にする必要があるのかい?」

って読者も少なくないに違いない。
ではここで筆者のお気に入りのフレーズを一つ。

『一体いつから雪国では日焼けしないと錯覚していた?

スキー経験者はここでビビット来るはずだ。そう、雪原では案外焼けやすいのである。これには標高なども関係しているのだが、同時に雪が紫外線を乱反射していることが非常に重要なのだ。しかも『紫外線環境保健マニュアル2015』によれば、焼き肉プレートの如きアスファルトでさえ10%しか反射しないものを、なんと雪は80%も反射するのだという。
 とまぁ、日焼け談義はそこまでにして、これで謎はほとんど解けたに違いない。わざわざ言うまでもないが、メラニン(黒を発色する色素)は紫外線を通しにくい。つまり極圏の動物たちは体毛で紫外線を防げない分、素肌を黒くすることで日焼けを防いでいるのである。



少々端切れが悪いが、筆者の気力が続かないので今回はここで〆とさせてもらおう。では近いうちに別シリーズで会おう!! バイナラ~(・ω・ ;)


《参考文献》

[論文]

#1『Relative Brain Size and Behavior in Archosaurian Reptiles(James A. Hopson:2003)』…主竜類の知能

#2『An oviraptorid skeleton from the Late Cretaceous of Ukhaa Tolgod, Mongolia, preserved in an avianlike brooding position over an oviraptorid nest(James M Clark:1999)…オヴィラプトル類の抱卵姿勢

#3『The Perinate Skull of Byronosaurus (Troodontidae) with Observations on the Cranial Ontogeny of Paravian Theropods(Bever, G. S:2009)…ビロノサウルスの頭骨

#4『A theropod dinosaur embryo and the affinities of the Flaming Cliffs dinosaur eggs(Norell, Mark A:1994)』…ゴビ砂漠(炎の崖)の獣脚類と卵の混雑

#『A Diminutive New Tyrannosaur from the Top of the World(Anthony R. Fiorillo:2014)』…ナヌクサウルスの記載論文

#『Exposure to UV radiance predicts repeated evolution of concealed black skin in birds(MPJ Nicolaï:2020)』…鳥類の肌に見る紫外線対策

[書籍]

・ホルツ博士の最新恐竜事典(トーマス・ホルツ:2010)
・恐竜の教科書(ダレン・ナイシュ:2019)
・恐竜学入門 ―かたち・生態・絶滅(⚫デヴィッド・ワイシャンペル:2015)
・恐竜異説(ロバート・バッカー:1989)
・愛しのブロントサウルス(ブライアン・スウィーテク:2015)
・恐竜探偵 足跡を追う(アンソニー・J・マーティン:2017)
・(書籍版)恐竜超世界(NHK:2019)








ゼロから始める新時代生活〜コラールブラフスに見る哺乳類の進化

2020-11-07 22:22:29 | ゼロから始める新時代生活〜コラールグラフスに見る哺乳類の進化
 今回は恐竜倶楽部No.571(@Y82da)氏のリクエストである、2019年(PBS放送)のRise of the Mammals』/「哺乳類の大躍進!恐竜絶滅後の世界」(邦題)の解説記事となる。こちらの番組は『恐竜博2019』の最終フロアで大々的に取り上げられたタイニー・ラーソン(Tyler Lyson)の論文(★1)を元にしており、
さらに2019年2月に科博で開かれたディスカバリートークとも内容がモロ被りしていた。このため当記事は、それらの総合レポート(?)となっている。ゆえに内容のまとまりは悪くなってしまうかもしれない。ご了承されたしm(_ _;)m。
それと今回の報告は、朝日新聞と日経ナショジオがネット上に解説記事を立てている(朝日リンク/ナショジオリンク)ので、そちらを先に読んでおくと理解が早まるだろう(ただし双方とも会員登録が必要!!)。

(↑(★1)の論文の概要 朝日新聞より)

約6600万年前。驚天動地の“運命の日”まで、地上の支配権を握っていたのは、我らが恋焦がれてやまない恐竜たちであった。彼らは6つの大陸全てを制覇し、あらゆるニッチで成功を収め、空前絶後の巨大王朝を一億数千万年も続けていたのである。もちろん、中生代に繁栄したのは恐竜に限った話ではない。例えばワニ類は、食性/体格/生態/分布、そのどれを取っても現代より多様だった。また、我らが哺乳類(厳密には哺乳形類)にしても、動物食に特化した三錐歯類《Triconodonta》や後述の多丘歯目《Multituberculata》など、実に様々な分類が栄枯盛衰を繰り返していた。
そんな群雄割拠かつ、十人十色な世界においてなお、生態系の頂点(主役)は最初から最後まで恐竜たちだったのである。

そう……彼らの頭上を、一筋の眩い閃光が駆け抜けるまでは。

K-Pgイベントとも呼ばれる白亜紀末の大量絶滅Cretaceous-Paleogene boundary》については、別個でかる〜く記事立てする予定(笑)なので、ここでは深入りしない。待ちきれない方はナショジオhpなり、検索エンジンなりで「K-Pg境界 PDF」とでも検索して出てきた記事なりPDFなりを読んでほしい。
本題は“その後”だ。およそ生物種の70%が絶滅したというK-Pgイベント。一度は文字通りの焼け野原と化した大地が、いつしか緑とコンクリート、そしてモフモフの哺乳類によって塗り替えされている。一体どのようにして哺乳類は今日の繁栄を勝ち取り、世界はどのようにして立て直されたのだろうか?

(↑恐竜の絶滅が哺乳類の繁栄を可能にした ©Discovery)

日本を代表する古生物であり、同時にカメ類の世界的権威でもある平山廉氏あたりに言わせれば、『哺乳類は恐竜の支配権を直に奪い取った』というところであろう。だが、目下そのような事を明確に裏付ける論文は出されていない。たしかに、1969年に白亜紀末の時点で有蹄類(ヒヅメを持つ哺乳類)が数を増やしていたとする論文(#1)は出されているし、少なからぬ研究(↑を含む)で、白亜紀末に恐竜の種数が衰退していた可能性は指摘されている。
しかしだ…よく考えてほしい。もし哺乳類が恐竜のニッチを直に分捕っていたら、それこそマンモス並みの巨大哺乳類が白亜紀から発見されても良いではないか。ところが2020年現在に至るまで、中生代を通してマンモス大はおろか、シカオオカミ大の種類さえ報告された事は、ただの一度としてない。NHKの恐竜vsほ乳類で担ぎ上げられたレペノマムスRepenomamusにしても、全長はMAX1メートルだ。しかも四脚は短く、とても“大地の覇者”たる姿ではなかった。中生代の間、大半の哺乳類はもっぱらネズミ大の脇役として生きていたのは、どうあがいても変えられない事実なのだ。いくら例外を並べ立てても、所詮、例外は例外にしかならない ――ただし小動物のニッチでは圧倒的な繁栄を見せていたのも事実である。

いけないいけない!! うっかり余談に熱が入り過ぎてしまった。にしても悪い癖とは一向に治らないものである。
ともかく、中生代の哺乳類は、どれもネズミに瓜二つで、後の繁栄を予期させる特徴(発達した歯や繁殖システムetc)はあれど、物語の主役を張るには今ひとつパンチに欠けていた。当時の哺乳類が具体的にどのような姿・生態をしていたのかは、昔気質(かたぎ)な子孫に聞くのが一番手っ取り早い。

(↑現生のコモンツパイ Wikiメディアより)

(↑現生のソレノドン Wikiメディアより)

こうしたツパイソレノドンは、初期の哺乳類の特徴を色濃く残した例として知られている。ともに昆虫を主食としていて、顎に並んだ歯は鋭い凹凸が重なりあった複雑な形をしている。天敵を避けるべく藪や木陰を棲家としており、そして繰り返すように身体は小さい(全長2〜30cm)。なお↑の2種にしても、ツパイは眼や脳が大きかったり、一方ソレノドンは顎に毒牙を生やしていたりと、それぞれ差別化されているのは面白い。
K-Pgイベントの時には、こうした小さな身体が幸いしたようだ。ところが、そんな哺乳類でさえ、およそ90%の種が巻き添えを食らったなんて話(#A)もある。そこで今回は、とりあえず各グループの概要と、ラーソンの論文の対象となった北アメリカにおける、それぞれの被害状況を確認してみるとしよう。

有胎盤類

(↑現生のハネジネズミ)

結果だけを見れば、K-Pgイベントで最も得をしたのが、我々人類を含む有胎盤類であった。有胎盤類とは、発達した子宮と胎盤を持つ哺乳類であり、胎児を長期間に渡って安定的に胎内に留められるよう進化した、ザ・哺乳類だ。現生のクジラからコウモリネズミ、そして人間に至るまで、現生の哺乳類の大部分は、この有胎盤類に所属している。『恐竜vsほ乳類』で取り上げられたキモレステス目《Cimolesta》を筆頭に、霊長類(サルetc)の遠い先祖プルガトリウス《Purgatorius》や、有蹄類らしき種(④参照)など、数多くの種類がK-Pgイベントを生き抜いていた。

(↑キモレステス科の下顎と歯 #2より )

しかも越えられない壁(恐竜)やライバル(他の哺乳類や陸棲ワニ類)が衰退したため、新世界のニッチを取りたい放題だったと思われる。
ちなみに、キモレステス目は現生のイヌ·ネコ(食肉目)の祖先筋にあたるとか、あたらないとか…ムニャムニャ(要約=分類ってクッソ難解)。

有袋類

(↑現生のオポッサム Wikiメディアより)

有胎盤類が得をしたのとは対照的に、生き残り組の中で最も割を食ったのが有袋類であった。なぜなら白亜紀の有袋類は、有胎盤類に先んじて大型化していて(ディデルフォドン《Didelphodon》など)、ちょうど商売敵(がたき)の三錐歯類《Triconodonta》も滅ぼし終え、いよいよ我が世の春を謳歌しようとする時期だったからだ。ディデルフォドンだけではない。モンゴル産のデルタテリディウム《Deltatheridium》など、ローラシア大陸全土で肉食の有袋類が発見されている。彼らは後の肉食獣(イヌ・ネコや肉歯目《Creodonta》)にクリソツな奥歯を進化させていて、これで餌を効率的に食べていた。これに関してはクリスチャン・ムイゾン(Christian de Muizon)が2007年に発表した研究(#3)が分かりやすい。

(↑鋭く大きな歯が特徴のディデルフォドンの頭骨。スケールバーは1cm #4より)

先の展開に差し障りがないため、ここでネタバラシしてしまうと、K-Pgイベント後の有袋類は、もっぱら南米とオセアニア地域でのみ繁栄した。ローラシア大陸では、ついぞ白亜紀の旺盛な多様化ぶりを取り戻せず、そのまま現代へと至る。

多丘歯目

(↑花を取り合う二匹の多丘歯目 「生命進化の謎」より)

可もなく不可もなく…なのが多丘歯目だろう。そもそも多丘歯目については、近年分類のゴタゴタ ――筆者の苦手分野―― があり、どこからどこまでをグループとして括るかが難しい。
先に『中生代の哺乳類は概ね昆虫を餌にしていた』と書いたが、こと多丘歯目に限っては違う。彼らは出現当初から、もっぱら植物を主食としており、白亜紀に起こった被子植物の多様化という追い風に乗って、なんと体重1キロ超え(ウサギ大)の大型種(ユバータル《Yubaatar》)さえ生み出す(#5)、まさに空前の大繁栄を遂げていた。

(↑多丘歯目の1種(Kimbetopsalis)の奥歯。凹凸満載で植物をすり潰しやすい #6より)

植物食に限定すれば、中生代において最も繁栄していた哺乳類であり、日本からも同グループの化石が見つかっている(#B)。
K-Pgイベント以後は、種の数こそ白亜紀より落としてしまったものの、メニスコエスス《Meniscoessus》などはしれ〜っと絶滅期を凌いており、目の上の瘤だった恐竜が絶滅したことで、本格的な大型化に踏み切ってらしい(後述)。
ただし、最後にジョーカーを引かされたのは、この多丘歯目であった。

④それ以外

(現生のカモノハシ↑ Wikiメディアより)

単孔類(カモノハシetc)については中生代の情報が極端に少ない。しかし結果として、彼らが新時代の覇権を握ることはなかった。 それから、有胎盤類より未発達な胎盤を持つ基盤的な真獣類(エオマイアetc)の動向も、依然として不明な点が多い。

(↑エオマイアの実骨 Wikiメディアより)

そんな中でもプロトゥングラトゥム《Protungulatum》は、異質かつ貴重な存在で、ほぼ間違いなくK-Pgイベントを乗り越えていた(#7)。ただプロトゥングラトゥムにしても分類はおぼつかず、本種が有胎盤類(それも有蹄類)に属す可能性すらあるらしい。どちらにせよ①〜③の系統以外の哺乳類は、ほとんどがK-Pgイベント以前に、あるいはK-Pgを堺に姿を消していたようだ。

※ここで挙げた分類は、あくまで一例であり、実際とは違う可能性も十二分にあり得る(特にキモレステス目は)。詳しく知りたい方は日本哺乳類学会の『哺乳類科学60巻記念特集1 哺乳類の化石記録と白亜紀/古第三紀境界前後における初期進化』を読む(ググればOK)と良いだろう。
しかし今シリーズに限っては、上記の分類で記事進めさせてもらう。そうでないと記事自体が成り立たないので(((殴(ホネノオレルオト!!

イテテテ…ざっくり要点だけをまとめてみたが、これで理解していただけただろうか?
文字数も押しているため、今回は番組内で取り上げられた誤り(下記)を一つ訂正するに留め、あとは第二回へ託そうと思う。
それでは読者諸君とは暫しの別れだ!!
…第二回は近日中に投稿したい(願望)。


<番組内の誤り>

Rise of the Mammals』/『哺乳類の大躍進 恐竜絶滅後の世界』の中で取り上げられた誤りについて触れておこう。それは『植物食性の哺乳類がK-Pgイベントの30万年後に出現した』とする言説である。番組にとって、ロクソロフスに代表される雑食性哺乳類がK-Pgイベントを生き抜き、段々と植生が回復するにつれて、新たな食料資源(つまり植物)に手を出した植物食哺乳類(作中だとカルシオプトゥクス《Carsioptychus》)が登場した…。なんていう一連のシナリオは、至極説得力があって説明しやすい。

(↑カルシオプトゥクスの生体復元 朝日新聞より)

だがスタッフの方々は忘れているのではないだろうか? あのK-Pgイベントさえもケロッと耐え抜いた植物食性哺乳類の一群を…。ここまで読んできた読者におかれましては、わざわざ説明するまでもなかろう。まさしく多丘歯目《Multituberculata》のことだ。もっとも、多丘歯目にしたって完璧な菜食主義を貫いていたわけではない。古生物学者ニック・ロングリッチ(Nick Longrich)の報告(#8)によると、チャンプソサウルス《Champsosaurus》などの大型爬虫類の化石から、多丘歯類の歯型が見つかったそうだ。おそらく現在の齧歯類(ネズミetc)と同じく、足りない栄養を補うために、手近な死骸を齧ったのだろう。そもそも多丘歯目の特徴である出っ歯(門歯)は、木工ノミのような鋭い形状をしており、その気になれば何でも切断する(つまり齧る)ことが可能な構造だった。

(↑多丘歯目の1種プティロドゥス《Ptilodus》 の下顎と歯。左の門歯が細長く突き出ている Wikiメディアより)

これと酷似した歯を持つ現生の齧歯類が、近場の昆虫や卵ではもの足りず、時として海鳥や両生爬虫類の血を求める様を考えれば、その有効性も自ずと見えてこよう。

(↑K-Pgを堺にした哺乳類の多様性などをまとめた図。明らかに大型化しているのが分かる ★1より)

それでも多丘歯目の主食が植物 ――個人的には木の実を好んでいそうに思える―― だったことに異論はない。であれば番組でも『K-Pgイベントから30万年後に有胎盤類から体重10kgを超える植物食哺乳類が出現した』と言うべきだろう。
ややこしいのは百も承知。番組側が前述のような言い方を取らなかった気持ちは理解できるが、やはりメディア様(に限らないが)におかれましては、なるべく正確な情報発信を心がけてほしいと思う筆者であった(メンドクセーヲタク)。


《参考文献》

[論文]

★1『Exceptional continental record of biotic recovery after the Cretaceous–Paleogene mass extinction View ORCID Profile(T. R. Lyson:2019)』…コラールブラフスの件の論文

#1『Gradual dinosaur extinction and simultaneous ungulate radiation in the Hell Creek Formation (Robert E Sloan:1986)』…有蹄類と恐竜の種数の相関関係

#2『Latest Cretaceous mammals of upper part of Edmonton Formation of Alberta, Canada, and review of marsupial-placental dichotomy in mammalian evolution(Lillegraven, Jason A:1969)…白亜紀の哺乳類

#3『Carnivorous dental adaptations in tribosphenic mammals and phylogenetic reconstruction(Christian de Muizon:2007)』…肉食有袋類の歯

#4『A large carnivorous mammal from the Late Cretaceous and the North American origin of marsupials(Wilson, G.P:2016)』…ディデルフォドンは(腐)肉食獣

#5『Largest known Mesozoic multituberculate from Eurasia and implications for multituberculate evolution and biology(Xu, Li; Zhang:2015)』…ユバータルの論文

#6『A new taeniolabidoid multituberculate (Mammalia) from the middle Puercan of the Nacimiento Formation, New Mexico, and a revision of taeniolabidoid systematics and phylogeny(Thomas E. Williamson:2016)』…キムベトプサリスKimbetopsalisの論文

#7『Protungulatum, confirmed Cretaceous occurrence of an otherwise Paleocene eutherian (placental?) mammal(Archibald, J. David:2011)』…白亜紀のプロトゥングラトゥム

#8『Mammalian tooth marks on the bones of dinosaurs and other Late Cretaceous vertebrates(Nick Longrich:2010)』…チャンプソサウルスに残された多丘歯類の歯型

※以下は補足的な論文
・『Reptile-like physiology in Early Jurassic stem-mammals(Elis Newham:2020)…最初期の哺乳類の代謝

・『Shape disparity in the blade-like premolars of multituberculate mammals: functional constraints and the evolution of herbivory(Lucas N Weaver:2020)…K-Pg以後の哺乳類の歯の多様性

・『New Genus and Species of Djadochtatheriid Multituberculate (Allotheria, Mammalia) from the Upper Cretaceous Bayan Mandahu Formation of Inner Mongolia (John R Wible:2019)』…モンゴル産の多丘歯目

・『A multivariate approach to infer locomotor modes in Mesozoic mammals(Meng Chen:2015)』…中生代の哺乳類の運動能力         

なお執筆にあたりメインとなった(★1)の論文は、恐竜倶楽部メンバーにして北大在学中のH.O.氏にいただいたものである。また同じく北大在学中のT.Y.氏についても、日頃から論文をいただいている。 これらが無ければロクでもない記事しか書けなかっただろう。両氏には、この場を借りて厚い感謝を申し上げる。
本当に、本当にありがとうございました。

[ネット記事]





・『哺乳類科学60巻記念特集1 哺乳類の化石記録と白亜紀/古第三紀境界前後における初期進化 (西岡佐一郎:2020)』

[書籍]

・『絶滅哺乳類図鑑』…(冨田幸光:2002)

・『生命大躍進(図録)』…(科博:2015)

・『恐竜博2019(図録)』…(科博:2019)

・『milsil―生物毒』…(林良博:2016)

・『週間 地球46億年の旅(22、33号)…(朝日新聞:2014)

・『恐竜移設』…(ロバートバッカー:1989)

《ネタ元》

・『Corral Bluffs Discovery Reveals How Mammals Evolved After Dinosaurs』…コロラド(コラールグラフス)のhp