グッピーのブックレポート

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法令集

2017年04月09日 | 建築本レポート
法令集の線引きを始めました!
本来ならば今頃終わっている予定でしたが、
なんとか授業に追い付くように引いています!

今年受験の方で建築の法令集をこれから買う方は
少ないかもしれませんが、
グッピーはTACの法令集をオススメしています。
脚注が多いので助かります。
色分けも4色で見やすいです♪

早く引き終わってカラフルな法令集で勉強したいです。
残り3ヶ月半、合格するように頑張ります!!




グッピー

実存・空間・建築 その1

2011年01月01日 | 建築本レポート
皆さん、更新が遅くなってごめんなさい。

今日は久しぶりにブックレポートです。

理論書なのでその紹介もしてみたいと思います。

『実存・空間・建築』クリスチャン・ノルベルグ=シュルツ著/鹿島出版会





建築の様々な要素を統一して考えた体系論です。

シュルツは、「実存的空間」や「世界内存在」、「ゲニウス・ロキ(直訳すると土地の霊)」等を提唱し、

建築を内部空間から考えたノルウェー出身の建築論者です。

現在、授業でシュルツの大作『ゲニウス・ロキ ―建築の現象学をめざして』を読んでいて、

本当はこちらをブックレポートにしようと思っていたのですけれども

「世界内存在」や「実存的空間」という「実存・空間・建築」に書かれた理論を元に「ゲニウス・ロキ」が論じられているので、

まずは『実存・空間・建築』の紹介からにしたいと思います。




まずはじめに、「世界内存在」や「実存的空間」とは一体何なのでしょうか。

私達は様々な実像と虚像の中で生きています。

虚像(イメージ・シェマ)は人間の中に存在し

全てが過去の経験(見たことがある、他人から聞いた、等)に基づいて出来上がります。

例えば、海を見たことがない人がいたとします。

その人が海を見たことがある人から海の話を聞きます。

「海にはきれいな砂浜があってね、砂浜には波が打ち寄せられているんだ。

海水は地平線まで続いていて、その全てを大きな青空が包んでいるんだよ。」

海に行ったことのない人はこの話を聞いて海を想像しイメージを作ります。

そして初めて熱海に行って海を見たとき、イメージの海と熱海の海(実存)と照らし合わせて

「今、海にいるんだ」と自分がいる場所を理解するのです。

私達は、無意識のうちにイメージと実際の場所を結びつけて考えていて

自分が今いる環境が世界のどこなのか、その都度定位しているのです。

この定位のことをシュルツは「世界内存在」と述べています。

皆、定位しながら生きているので、

「世界内存在」とは人間そのものといってもよいのかもしれません。




人間は定位を何度も繰り返しています。

それによってイメージ(シェマ)は、より一層抽象的になり、

安定した空間体系「実存的空間」を生みます。本書には次のように示されています。


―実存的空間とは、比較的安定した近く的シェマの体系、つまり、環境の「イメージ」である―(中略)―実存的空間は、たくさんの現象の類似性から抽象されて取り出された一つの一般化であって、「対象としての性質」を有するものである。(シュルツ)


実存的な体系、実存の抽象、統一されたイメージと考えてもわかりやすいです。

実存的空間は様々なイメージ・シェマに分けられます。

一番重要なのが、

「中心」(場所)、「方向」(通路)、「区域」(領域)

の3つです。

「中心」というのは人間の生活の中で基本的なシェマで、

幼児期から自分という主体を軸に空間を作っています。

おままごとや秘密基地で遊んだことがある方は

自分を中心とした広がってゆく空間作りをなんとなく理解できるのではないかと思います。

中心があるということは、そこに自分がいる場所があるということなのです。

次の「シェマ」は方向です。

先ほど挙げた中心(場所)には、方向というシェマがあるというのです。

人間の行動によって作られる方向性のほかに、自然界から影響される部分も多くて

山道の上下方向、日が差し込む方向などがあります。

私たちの生活はほとんどの場合方向に従っているのです。

なので空間に明確な方向性を与えることが重要なのだと思います。

最後に「区域」です。

ここでは質的な限定を受けた区域を指すようです。

文化の領域(例:外国)、自然による領域(例:山、川)、天候による領域(例:気象によって左右される農業)

自分がどの場所にいるのかを定位するとき、私達はその場所の領域にも気をつけているのです。

これら3つのシェマ、中心と方向と区域という要素が互いに関係しあって実存的空間を構成しています。

生活空間を

「地理」、「景観」、「都市」、「住居」(公共の中にも住むという考え方)、「器物」という段階に分けると

地理は景観を含み、景観は都市を含み、都市は住居を含みながら、

それぞれの段階ごとに中心(場所)・方向(通路)・区域(領域)を持っています。

器物は住居に含まれますが、方向と区域がありません。むしろ住居の中心として機能しています。

例えば寝床、暖炉、机などは人の生活の核であり人が集まる中心となります。

器物は人が住まうための手助けをしているのです。

シュルツは人間の空間体験について次のように述べています。


―空間の体験(知覚)とは、己の置かれている直接的状況と、実存的空間との間に生ずる緊張の中に存するのである。(シュルツ)


人間の頭の中では、誰もが無意識のうちに、空間の体験を通して空間の要素を抽出し

実存的空間の構築や空間把握をしているのだから、

本当に人間は素晴らしいなぁと感心してしまいます。





ここまでを書くのにかなり長くなってしまいました。ここまで読んでくださった方々どうも有り難うございます。

この本はこの先、人が場所に「住まうこと」について考えてゆきます。

―自由はやはり保護を前提とし、保護は、実存的空間が一側面をなしている人間の同一性があって始めて可能なのである。これが、「住まうこと」の本質である。(シュルツ)

と述べています。

私達の空間認識は、現実の場所に「いる(定位)」から、そこに「住まう」に変わるときがあります。

そのとき人間の中で、建築的空間との同一性が生まれているようなのです。

「建築的空間」、「同一性」とは一体何なのでしょう。

次回「実存・建築・空間 その2」で紹介したいと思うので

是非お楽しみに!!





フンデルトヴァッサー(Hundertwasser)

2010年10月13日 | 建築本レポート
建築家には芸術の分野にも深い関心を持っていて
建築家であり芸術家でもある方がいらっしゃいます。
1928年、オーストリア生まれのフンデルトヴァッサー(Hundertwasser)もその一人です。
彼は美術アカデミーを卒業後、沢山の芸術活動を起こし作品を通して
人間と自然の普遍的な価値を主張し続けました。
その奇抜さは多くの批判も受けましたが、2000年に亡くなった後も
作品を見にますます多くの人が世界から人々が集まっているようです。

今回紹介する本は、フンデルトヴァッサーの作品の一つ、
クンストハウスウイーンという市営住宅(現在はフンデルトヴァッサーの作品のためのミュージアム)
と、展示作品が紹介されています。
日本語の解説つきで楽しめますよ。

グッピーは以前ウイーンへ行ったときに見に行ったのですが
とにかく衝撃的ですっかりファンになってしまいました。
まず床が平坦ではないのです。
床と壁が有機的に繋がっていたり波打っているので、壁沿いに机は置けません。
窓も一つひとつがオリジナルなので大きさも形も異なっていて
それぞれが自由なところについています。
色はカラフルで、壁はほとんどがグッピーも大好きなタイル張りです。
色鮮やかで派手な印象もあるものの、
血が騒ぐような高揚感と居心地の良さがあります。
彼の理念とコンセプトに込められた「人間の要求」や「自然への敬意」を感じるのです。
本の中の彼の言葉を紹介します。


―家は窓からできている

彼は家を社会と置き換えて考えていて、整然と並ぶ窓を哀しいと言っています。
そこには差別問題や宗教観の違いを抑制することへの反発もあり、
それらに対する抵抗が一つ一つ異なる窓や外壁の自由な表現に繋がっているようなのです。
ユダヤ人の彼には、自由への強い要求があったのではないかと思います。
そして、

―広い空の下にあるものは全て自然の一部である


という言葉からは、彼の優しさも感じます。
生命を救ってくれる自然はを自分達の家を建てたことで殺してしまうので、
その大地の一部を自然に返還しないといけないという考えで、
建築の中に沢山の植物を取り入れています。
建築のCO2排出量を削減するために屋上緑化することは、よくある話ですけれど、
同じ生き物に、敬意を払うという姿が、とても美しいなと思いました。
ものをつくる人はもちろん、つかう人も皆が彼の想いを受け継いでゆけたら
自然が消滅しないと思います。



外部の一部。生きてるみたいです。

内部階段もうねっています。

↓こういう作品も考えていたようです。
「丘の草地」模型。愉快ですよね。

フンデルトヴァッサーは絵も描きます。これは切手ですよ。

フンデルトヴァッサー クンストハウスウィーン/TASCHEN/2006

「眼を養い 手を練れ」

2007年07月29日 | 建築本レポート
この本は私の先生の師匠の宮脇壇が日本大学生産工学部の
居住空間デザインコースで教鞭を執っていたときの
教育や熱意を再現することを目的に作られた本で、
宮脇壇氏とともに教壇に立った8人の講師によって
「宮脇壇の住宅設計塾」を再現しています。
建築を学ぶ学生はもちろんのこと、これから住宅を建てる初心者の方にも
わかるように書かれていて、読みやすいです。
これぞ宮脇壇の住宅設計塾のようです。
本人が設計した建築のスケッチ、図面、建物写真、模型写真、
それに丁寧な文章が豊富で、パラパラと見ているだけでも面白いですよ
一番印象に残っている言葉は、
やはりタイトルにもなっている、
眼を養い 手を練れ
です
この本を見ていると、
手を練ることの大切さがわかる気がします。
人間の生活をとても大事にし、暖かい内装を設計する宮脇壇の設計術
是非読んでみてください。
特に照明についての考え方が好きです
おススメです

「眼を養い 手を練れ」宮脇壇講師室編著/彰国社

建物はなぜ作られたのでしょうか

2007年07月03日 | 建築本レポート
「人類と建築の歴史」藤森照信著/ちくまプリマー新書


建築は何を元になぜ作られたのでしょうか

この本には普段何気なく使っている建物の
始まりから今に至るまでが書かれています。
今では様々な様式の建築物が生み出されています。
建築はどのような方向に進もうとしているのでしょうか。
独自性を持ったものが沢山建てられる様になるまでの1万年もの間、
人は神を求め、居心地を求め、快適さを求めてきたようです。

心に残った言葉は、地母信仰です。
生命を生み出す母を信仰すること。

特に起源について詳しくわかりやすく記されています