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【展覧会】宮脇綾子の芸術

2025-03-02 22:53:35 | アート・文化
布が、布の文様が、糸が、紐が。

ああ、そう、そういうかたち、そういう風情でしたね、と。

それは、いつかの台所のまな板の上に見た光景。
根を伸ばした玉ねぎ。葉を繁らす人参。南瓜種のぽやぽや綿。
繊細でふしぎなかたち。
断面は案外、不思議でいとおしいくて魅惑的なのを
ほんとは現物とは似ない素材と柄行なのに、
宮脇さんの手指にかかると、ああ、そう、まさにそんな感じ。

表現材料の選択のセンスのみならず、
端々のかたちの正確な捕捉と再現のすごさ。
柿の皮に入る黒とか、蓮根の結節とか、筍のぶつぶつとか。
リアリティ。
あれですね、
いまどきスーパーにならぶつるっとしたキレイな規格品にはない、
収穫場所に近いところで見かける、野菜や果物の貌。

そして古布の蒐集の側面もあり。
こうして表現の素材になることで消失せずに残されている。

素材をいとおしむ瞳とゆびさきが思われます。
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生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った
東京ステーションギャラリー
2025年1月25日~ 3月16日
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202501_miyawaki.html

(2025.3.1)



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