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花日和 Hana-biyori

小説『薬屋のひとりごと』読書会

『薬屋のひとりごと』日向夏 著(主婦の友社/2014年)のオンライン読書会でした。

薬師の少女、猫猫(マオマオ)が数々の謎を解き明かしていく人気ライトノベル。アニメ放送中でコミックも2種類出ています。

もともと「小説家になろう」という投稿サイトで2011年ごろから連載されていたものだそうです。現在14巻まで刊行されており、この読書会では1巻のみ課題本となりました。

***あらすじ

舞台は中世の中国。薬屋の娘、猫猫(マオマオ)は薬草取りの途中で人さらいに攫われ、宮中に売り飛ばされる。下女として働くなかで後宮で起きた連続乳児死亡事件の謎を解明した猫猫は、帝の寵愛を受ける貴妃のもとで働くことになるが…。

 

***(以下、私の感想も含めたコメント。多少ネタバレありです)

 

私の感想としましては、どハマリするほどではないですが、面白かったです。

去勢された宦官(かんがん)のことは、ここで初めて知りました。美貌の宦官・壬氏(ジンシ)様は、せっかく美しいキャラのはずが猫猫に妙なセクハラしていたのがドン引きでした。

謎解きにあまり興味がないほうなので、猫猫が謎を解く展開はそんなに惹かれず、「後宮も花街も変わりない」と達観している感じのほうが興味深かったです。あと薬品オタクなところとか。

アニメもアマプラで観始めて、より分かりやすくて面白いです。

 

読書会で共通した意見としては、「読みやすく、話は面白い。ただ、文章は物足りなさがある」ってことですね。こんな声がありました。

「たぶん漫画で読んだ方が面白い。文章で読ませていくってタイプではない」

「小説家の文章ではない。脚本のような感じ」

「話は面白いが、途中で飽きてしまった。起きてることしか書かないからだが、私はその背景や隙間の部分が読みたい」

などなど。私も、確かに小説の文章として物足りないと思いました。

ですが、

「展開が早かったのと、いろんな知識をいろんな所から持ってこれる主人公が目新しく面白かった」

「今どんどんメディアミックスされているのも、漫画の原案として割と優秀なのかなと。漫画化して絵で華やかにすれば結構盛り上がれるし、荒いところはちょっと削り落としていけばいい」

という声も。もともと漫画やアニメ向きで、余白をうまく補完できれば面白い作品に仕上がる…といったご意見だったかな。その証拠には

「(エピソードがそれぞれ面白かったけど)不満といえばアードゥー妃の最後、漫画ではスラッとしてて男装の麗人って感じで凄いカッコ良かったけど、(小説では)絵が出てこないことでつまらなく感じた」

という声がありました。

 

 

●「異世界転生モノっぽい」「科捜研の女だ」という話

 

他方、「ネット上にありがちな女性への偏見も全開」「めちゃめちゃヘテロセクシュアルな世界でちょっと引いちゃったんですよね」というご指摘も。

あと「Web小説によくある話のつくり方として、周囲を下げることで主人公を上げる」という類型があるそうで、こんな言葉になるほどーと思いました。

「主人公だけを賢く見せるために周りが無能にされているパターンの一つだなって所に、ちょっと引っかかりながら読んでしまった」

これを聞いて、私も何かモヤモヤしていた部分があったので「こういう話の作り方なんだ」と思えば納得できました。

 

さらに、似たことを別の言い方してらして感心したのがこちらの感想です。

 

「ミステリーというよりは、異世界転生にすごく似てるなって思った。この小説でいうところの後宮って多分異世界で、猫猫は後宮という、ある種異世界で私たちも持っている知識を使って無双していくお話」

 

言われてみればその通りです。

あと他にも色々でましたが、特に笑ったのがこちら。

「猫猫がマッドサイエンティストって話がでましたが、薬物オタクというか、ある特定の分野がすごい好きで研究熱心な人。で、これって要するに『科捜研の女』じゃないかと」

沢口靖子主演の長寿ドラマのことですが、

「本当にもうロマンス的な要素は(初期の設定には多少あったけど)まったくなく、主人公のマリコが科学捜査しかしないドラマ。ちょっとびっくりするくらいそれしかしない。そこがなんか清々しい」

とのこと。ロマンスはもういいんだよっていう視聴者がついて長寿ドラマになっている。だから本書もうまいことやれば「科捜研の女」的な展開もあっただろうけど、このあと壬氏とのロマンス的な展開があるらしい。だから本書よりもっと古い「科捜研の女」の方が、先進的だと思ったそうです。

 

つまりマリコを見習えよって話らしいです(笑)

***

 

褒めているんだか貶してるんだかという読書会でしたが、色んな角度からのご意見が聞けて良かったです。なんかモヤモヤしていた部分がクリアになりました。そうは言っても10年以上も続いている人気作品なわけで、面白い要素はいっぱいあるのだと思います。

 

私は電子で少なくとも2巻までは読み続けるつもりですし、アニメも放送されたものは夫と一緒に全て観ます!

今後は猫猫や壬氏さまの出生の秘密がわかってくるらしく、今後の展開もたのしみです。

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