
禁酒中の記憶が怪しくなった男の一人語り『記憶の盆踊り』(町田康)
読んだことあったけど聴くのはまた違った味わいがあった。速さを調節できたので微妙に早くしたほうが、町田康のリズム感のある文体にあっていた。
森絵都の2篇は、1つは部活を渡り歩く「自分がない」女子高生が、ついに天職のような演劇にハマるおはなし。若者があっけらかんと活躍する話でいいな、と思っていたら、もう一つはアラフォー女子らが荒ぶるお話でこれもまたスカっとして良かった。
とある田舎での幼い頃の思い出を綴った『風鈴』は、ある夏のひとこまをしみじみ懐かしむ美しい話かと思ったらそんな生易しいもんではなくひやりとした。ナレーターが一番良かったのがこの短編だった。
しかし『マリー愛の証明』だけは、ナレーターがぼそぼそしていて違和感が強くてそれが気になってしまい最後まで聞けていない。なんか気持ち悪いんだよな…。やはり聴きやすいナレーションは内容がすっと入ってくる。プロだから当たり前だと思っていたけど案外そうじゃないものもあったのだ。