ブレイディみかこ『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』読書会の皆さんの感想備忘録、続きです。
勝手ながらだいたいの要約といいつつ長くなりまして恐れ入ります。
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●八方美人男さん
最初は「他者の靴を履く」って何のことかと思ったが、どうやら「エンパシー」のことをすごくわかりやすい例えにしてタイトルに持ってきたんだなと。
ただ唐突な気がして、エンパシーのことそんなに知りたいわけじゃないのになって。でもいろんな知識の話がエンパシーに結びついていくので、だんだん面白く読めた。
エンパシーは自分自身を大事にすることにもつながるという話で思い出したのは、『セルフィッシュ』(トマス・レナード)という本。著者はアメリカのパーソナルコーチングを最初に考えた人で、セルフィッシュは「自分本位」という意味。自分勝手ということではなく、要するに自分自身を大事にすることで。
自分自身を大事にできる人は、他人も尊重することができる。それがこのエンパシーにも、もしかしたら繋がるのかなと。
要するに、他者の靴を履くことができる人は当然自分自身の靴を履くことができる。他人の靴を履くという事を尊重することができる。
それって、多分自分がない人はできない。エンパシーは、セルフィッシュという新しい意味での自分本位であるということにつながる所があるなと思った。
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●くらさん
たぶん著者のフィールドではないところを、オファーが来たからやるけど、なぜ私にみたいな戸惑いのある書き方。だけどここを入り口にエンパシーについていろいろ読んでもらえるといいなという、ガイドブック的な側面が結構強い。話題もかなり多岐に渡っている。
やっぱり著者が肌感覚で知っているサッチャーの話とか保育の現場の話になると解析度がぐっと増してくる。
サッチャーって実務が優秀な政治家で頭がよくて、一応労働者としての経験もあるはずなのに、こういう(エンパシーのない)発想になってしまうのが不思議。悪気はなくて、自分とは違う立場の人のことはピンとこない。
私が好きなイギリスの映画作家はケン・ローチを初め、もう大体みんなサッチャーが大嫌い。サッチャーがあれだけ悪しざまに言われるのも、彼女の政策とそれが生み出した結果を見ると納得だし、映画での描かれかたを見ても、これはエンパシーが無いのは、よくわかる。いろいろと思い起こして面白かった。
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ありがとうございました。
まだ続きます!(次回で終わりです)