花日和 Hana-biyori

瀬田貞二の講演会 その2

斎藤惇夫 講演「瀬田貞二のまなざし」、やっぱりちょっとこちらも書いておきます。

絵本『よあけ』 について

英語版『よあけ』(ユリ・シュルヴィッツ)を丸善でたまたま見つけた。とても美しい本で、出版会議にかけたが、約半数が反対。「子どもの本らしくない」中国の宋時代の絵の描き方と、西洋の絵が融合させてある。

何も言わず「こんな本がありました」と瀬田さんのところへ置いていくと、「お」という反応があった。翌朝、8時半に出社すると瀬田さんがおみえになって、もう訳しあげてきてくださった。慌てて版権を取った。瀬田さんは、この本が中国の柳宗元(りゅうそうげん)の詩であることをすぐにさとり、英語訳よりもずっと美しい日本語で訳してくださった。さすが、本業は松尾芭蕉の研究家。

出版後、赤羽末吉から電話があり「これは日本人が描くべきだったよね」と言われたので、編集者のいじわるで「描けばいいじゃない」と答えた。こうしたものが「つるにょうぼう」に結実していった。

※このブログで「よあけ」について記述している箇所

「繰り返し読むべきもの」として4冊を紹介

・『児童文学論―瀬田貞二子どもの本評論集』
・『幼い子の文学』→日比谷図書館での講演。ダントツにおもしろい(本にしたいと言うと激怒された)
・『子どもの本のよあけ 瀬田貞二伝』 荒木田 隆子 (瀬田貞二の評伝)
・『落穂ひろい』→完成前に亡くなられたが、福音館の荒木田さんが、隣で見ていて魂が凍るような努力をされて完成させた。

 * * *

『幼い子の文学』は、私も持っていて、確かに読みやすいし面白いです。どこから読みだしても面白いのでおすすめです。
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