「100分deで名著」(NHK Eテレ)、録画でカフカの『変身』の回を見ました。高校生の頃読んだきりで、絶望的な不条理小説という印象しかなかったけれど、また読んでみたくなりました。
ユダヤ人で、チェコのプラハ(ハンガリー)の裕福な家に産まれたカフカは、作家になりたかったのに叩き上げで事業に成功したお父さんに逆らえず官僚になったというのを初めて知りました。働くのが嫌でひとり孤独に趣味(物書き)に生きたかった人だったようです。
それは今の引きこもりの人たちに当てはまることでもあり、なかなかに驚いてしまいました。この『変身』という作品自体が引きこもりの人の心理そのものを表しているようなものだったので。
カフカは、長年交際した女性がいて婚約もしていたのに結婚には踏み切れなかったといいます。結婚すると決めた瞬間から頭痛に襲われるというのだから筋金入りです。
“ふつうに働いて結婚して子どもをつくる”という人生に絶望していたから、結核でそれらをしなくていいとなった時期には安らぎを得ていたといいます。
極端ではあるけれど、こういう人は今でもいるでしょう。現代にも通じるというよりは昔からある普遍的な事象なのかも。“ふつうに生きる”のが困難な、不安な時代にはなおさらでしょうね。