はな to つき

花鳥風月

Gravity Blue 22

2012-05-19 05:38:33 | 【Gravity Blue】
何なんだ、この制服の集団は。
それも、日本語を話している。

確か、モンゴメリー夫妻によれば、
およそ観光地とは縁遠いこの街には、
ツーリストはほとんどいないとのことだったのだが・・・・。

なのに、この修学旅行生たちは?
まさか、とっておきの島を占領するつもりなのかしら?
そして、ちっちゃなハワイみたいになっちゃうのかしら?
どうか、それだけは勘弁してください。
お願い。

外国ならではの、
控え目を知らない甘さのアイスクリームで水分を補給しながらも、
彼らの行動がすっかり気になってしまっていた。
それには、あの眩いほどの老夫婦を落胆させたくないという思いが、
多分に含まれていた。

誰にだって、思い出の地やお気に入りの場所はあるもの。
そこを、同じ程度に、丁寧に気遣ってくれない者たちに
荒らされる感覚。
それは、本当に堪え難いもの。

目の前にいる高校生がそういう輩だと思っているのではない。
ただ、人間の集団になった時の心理状態と個人でいる時のそれが、
まったく異質のものになってしまうことへの危惧だった。

わたしにだって、ひとつやふたつじゃ足りないほどの悪業の実績はある。
でも今は、それらを、どんなに高い棚に上げてでも、
ふたりの聖地を守ってあげたい。

心底、そう思った。

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