船着場の横に置いてある自転車に荷物を載せる。
わたしのステイ先となる彼の家。
3つ先のバス停がある隣町まで、少しデコボコした道を、
南国の自然を満喫しながらふたりで歩く。
ようやく夕暮れになろうかという空の下、到着したその家。
さすがはオーストラリア、という物件。
彼は、当然のように、わたしの荷物を家の中へ運び入れると、
「日本人なので、土足厳禁ということで。」
と微笑みながらスリッパを差し出してくれた。
そして、「おじゃまいたします」の声を皮切りに、控え目な説明での案内が始まった。
確かに、ひとりで暮らすには、持て余してしまうくらいの空間だった。
1階には、軽く20畳はあるリビング。
巨大な冷蔵庫が平然と置かれているダイニングキッチン。
日本の子供部屋ほどの大きさはあるバスルーム。
2階に上がれば、ダブルとツインの2つのベッドルーム。
なんて、贅沢な間取りだろう。
なのに、なんて、ものの少ない家だろう。
道すがら、勝手に想像していた通りのシェイプアップされた空間。
なんだかとても嬉しかった。
一通りの説明が済み1階へ戻ると、
「コーヒー入れるから、適当に座ってて。」
と言ってリビングを指差すと、無駄のない動きでキッチンに入っていった。
改めて見る。
西陽が差し込む、その静かなリビング。
本当に無駄なものが何一つないところだった。
辛うじて電話は引いてある。
けれど、広大な板の間の上には、座ったら最後そのまま沈んでいってしまいそうなソファと、
自然科学系を中心に、彼を培ってきたことを窺わせる本が、
オブジェのように幾重にも積み上げられているだけだった。
わたしのステイ先となる彼の家。
3つ先のバス停がある隣町まで、少しデコボコした道を、
南国の自然を満喫しながらふたりで歩く。
ようやく夕暮れになろうかという空の下、到着したその家。
さすがはオーストラリア、という物件。
彼は、当然のように、わたしの荷物を家の中へ運び入れると、
「日本人なので、土足厳禁ということで。」
と微笑みながらスリッパを差し出してくれた。
そして、「おじゃまいたします」の声を皮切りに、控え目な説明での案内が始まった。
確かに、ひとりで暮らすには、持て余してしまうくらいの空間だった。
1階には、軽く20畳はあるリビング。
巨大な冷蔵庫が平然と置かれているダイニングキッチン。
日本の子供部屋ほどの大きさはあるバスルーム。
2階に上がれば、ダブルとツインの2つのベッドルーム。
なんて、贅沢な間取りだろう。
なのに、なんて、ものの少ない家だろう。
道すがら、勝手に想像していた通りのシェイプアップされた空間。
なんだかとても嬉しかった。
一通りの説明が済み1階へ戻ると、
「コーヒー入れるから、適当に座ってて。」
と言ってリビングを指差すと、無駄のない動きでキッチンに入っていった。
改めて見る。
西陽が差し込む、その静かなリビング。
本当に無駄なものが何一つないところだった。
辛うじて電話は引いてある。
けれど、広大な板の間の上には、座ったら最後そのまま沈んでいってしまいそうなソファと、
自然科学系を中心に、彼を培ってきたことを窺わせる本が、
オブジェのように幾重にも積み上げられているだけだった。