はな to つき

花鳥風月

Gravity Blue 65

2012-07-02 04:37:01 | 【Gravity Blue】
静寂を切り裂いたのは、伯父の声だった。

「空くん。この写真は、誰が撮ったものだい?」
「僕が、オーストラリアの自宅の庭で撮ったものですが。」
不思議そうに、伯父を見ながら言った。
「オーストラリアか・・・。それで、この人の名前を教えてもらえるかい?」
何が起こっているのか、理解できずに答えた。
「メグさんといいます。」
「メグさん、ですか。」
その名前を聞いて、伯母は、写真を覗き込んだ。
目を疑った。
「海・・・。」
「えっ?伯母さん、今、なんて・・・」
すべてが、瞬時にストップモーションになったようだった。

そこで、泉が口を開いた。
驚くくらいに、落ち着いた声で。
「そこに写っているのは、青木海。私の姉なんです。」
「・・・。」
泉の方を見たままで、完全な静止状態になった。
「信じられない偶然が、重なったの。」
思考停止になったままで、ようやくひとつの言葉だけが口をついた。
「メグは、いや、海は、僕のことを?」
「ううん。知らなかった。運命としかいえないような出会いだったんだと思う。」
その言葉を聞くと、状況を把握しつつある伯父に促されて、僕はソファに腰をかけた。

「これから話すことは、さっき教会の中で海から託されたことと、
私の中で一気に映像化された、これまでの出来事です。
どうか、落ち着いて聞いてください。
お父さんとお母さんも、そうしていてください。お願いします。」
「わかった。」
伯父は、代表するように冷静に応えた。


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