言葉喫茶【Only Once】

旅の途中で休憩中。

あなたへの手紙

2020-08-17 21:44:05 | 言葉







便箋の上で
じわりとにじんだ想いを
書き直そうとは思わなかった

インクがたまって
つっかえている言葉も
そのまま わたしのこころであった


 言葉は時に
 酷くもろくて
 綴る勇気を
 時には失うけれど

 あなたに
 あなたに
 伝えたいことがあるから

 あなたに
 今こそ
 おくる言葉があるから


持ち慣れないペンを
強く握りしめて

あなたへの
声にならない想いを
一文字 ひともじ したためる

あなたとふたりで
喉がかれるまで話しあいたかった
あんなことや こんなことを

太い文字 細い文字
いびつな文字や
ところどころ
にじむインクで綴る

それらすべて

何も持たないわたしからの
あなたへの贈り物だ



















夜 ―たわむれ―

2020-08-17 21:17:50 | 言葉







星がふるえ
ほそい糸を空に描く

ふわり ゆぅわり

なびく髪がしめした
風のゆくえ

目を閉じれば
まなうらに散らばる
星座は今も真夏のまま

頭上にまたたく
ひかりの群れはみな
明日を 未来を 目指している

ひと吹きの風が
星のともしびを揺らして

ふわり ゆぅわり

藍色の髪が舞い
ぬくもりの失せた夜の吐息をまとう

毛先に絡まる星のかけらを
ほのかにひからせながら

わたしは夜とたわむれよう
おどりあかそう
とびはねよう

この夜に
すべてをゆだねて