「背中を痛めたようです。」と、夕刻、お母さんに連れられて、サッカーボーイが来院。
4~5日前、部活の練習中に、「思い切り蹴ったら、この辺がグキッといった…。」と言う。今日は背中が痛いため応援に回ったけれど、試合続きだから、早く何とかしたいそうだ。
「私はちょっと用足してきますので。」と、お母さん、息子一人おいて出て行ってしまった。
昨日、一昨日と「整体に行きましたけど…。」というので、「『行きましたけど』、調子はどうなのよ?」と聞くと、うーん、と唸って首をかしげてみせる。
「はっきりモノ言いなさいよ、はっきり!」
「よくわからない・・・。」
シャツをめくると、某接骨院で手当てしてもらったと思しきテープがそこらじゅう張ってあるが、立位での動作痛を確認してから、ベッドに横になってもらう。
背中から腰臀部、足にかけて手で触れてチェックすると、「イテテッ!そこ痛いっす。」「ウヘェ!」「ゲゲッ!」「やっぱり、張ってます、よね。」
痛めたところと、筋疲労があって過緊張を起こしているところとがあること、筋疲労は比較的速やかに解消するが、損傷を起こした部分はそれより長くかかること、などを話して聞かせ、鍼を取り出すと、「えーっ!」と大げさに声を立てる。
(おいおい、あんちゃや、早く治したくて来たなでねぇの?)と、のど元まで出かかったのを飲み込んで、「せっかく貼ってもらったのを、悪いけど剥がしますよ。」
優し~く、しかし、容赦なくテープを剥がし、手早くポイントに鍼を打つ。傍らに温灸をすえ、待つことしばし。
抜針後、再びチェックして痛みと筋緊張の軽減を確認する。
本人も鍼する前より楽になったというが、ここまで終わったけど、まだお母さん戻ってこないよ。
「お母さん来るまで、マッサージしますからね。」と、マッサージをするうちに、あれあれ、サッカーボーイ、寝てしまったようだ。