そう、そのとうり。かかりつけの歯科の先生がおっしゃるとうり、山は危ないし、怖いところなのであった。
時はおよそひと月前、所は新潟県内の某所。いつものように里山ハイクへと出発したはいいが、その日はやけに暑かった。
峰々をぐるり周回して登り口近くへと戻る予定だった。しかし、あまりの暑さに、無理してこれ以上行くことはない、ここまでにしようと、途中から引き返すことにした。
これはこれで悪い判断ではない。
地図によれば、もと来た道から分かれ別の集落へと続く距離の短いコースがあった。そちらを下って車のあるところまで、少々遠いが歩けばいいと考え、そのコースを下り始めた。『〇〇コース』とちゃんとした道標もあったのだ。
が、小さなピークをいくつも越え、行けども行けども集落へ下る気配がない。
道と思しき所は、かろうじて、たまに赤いテープが枝に巻いてあるため、ようやく道だと知れる。ここを歩くのはほかにはクマか、パンダぐらいだろう。
けもの道は茂った笹薮や灌木の茂みの間に続く。いつからあるのかわからないおっそろしくボロボロのトラロープが下がっていて崖のような物凄い急坂へと続き、誘われて滑り下れば、その先でちぎれている。やがて、急斜面の背丈ほどもある笹竹の藪で行く手が遮られ、もはやぷっつりと道は途絶えた。
で、その斜面をさらに下へと進んだつもりの数時間。は、長いため割愛とする。
あとからわかったことだが、そのコース、麓の集落にも立派な『〇〇登山口』の標識があるが、あまりにきついため使われず廃道になっており、地元ハイヤーの運転手さんも「何年か前に同じように迷って下山した人を乗せたことがある。」と言っていた。
山中で身元不明の遺体となって、かかりつけの歯科の先生のところへ連絡が行かなくて、本当に良かった。
歯科の先生曰く、「内陸や西川あたりだと何人かあるんですよ。山は、危ないですからね~、気を付けてくださいよ~。ホント。」